ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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【商売人の兄】

 

 

 

 

 

 ※キヨシside

 

 

「ちゅうわけで、八方丸く収まりましたな」

「いやちっとも収まってないと思うが」

 

 一通り事が片付いたあと、ワシと隊長さんは並び立って言葉を交わしとる。平たく言えば連れションちゅうやつやな。

 

「俺たちは色々と後始末が残ってる。むしろ忙しいのはこれからだ」

「そりゃすんません。ワシはこれから享楽都市の方に帰らんといかんので」

敵対勢力(商売敵)をやり込めるために、かい?」

 

 ありゃ、バレとったか。用を足した後に手を洗いながら、ワシらは話を続ける。

 

「ま、そんなところですな。連中が雇った警備員(傭兵)はおかげさまで片付きましたんで、後はじっくり意趣返しさせてもらいますわ」

「自分の命を的にして敵対勢力から戦力を引き剥がし、同時に留守を信頼できる人間に任せて敵対勢力に反撃する準備を整えさせた、ってところかな」

 

 思わず手が止まる。うわこっわ。この人こっわ。ワシのやっとったこと丸わかりやないかい。

 

「……いつから気づいてました?」

「気づいたと言うよりはカマかけた。あんたみたいなのは一つの行動で複数の目的を果たそうとする、一石何鳥も狙えるタイプだ。そんなことじゃないかなと思ったのさ」

 

 さすがは封印都市でも名の通った御仁ちゅうことか。勘働きも一流やで。ワシは隊長さんに向き直った。

 

「随分とまあ、高く評価されてますなあ」

「あのキネコさんの身内だ。一筋縄じゃ行かないことは最初から分かってた」

「言い訳やないですけど、キネコが気になって見に来たのは本当でっせ。ついでに面倒事を片付けただけで」

 

 あれでも可愛い妹や。しっかりちゃっかりしとるんは分かっとるけど、身内としては様子見たくもなるやん? たまたまちょっかい出されてたまたま罠張れそうやからこの機会を利用しただけやし。

 

「ま、思うた通りしっかり商売しとって何よりですわ。店は滞りなく回っとるし、コネもちゃんと作っとる。いざとなればドンパチやらかせるくらいには戦力集められるようですしな」

「封印都市での商売のために橋頭堡とするには、十分かい?」

「それも考えんではなかったですが」

 

 そう言うところも読まれとるかあ。享楽都市と封印都市を股にかけた商売、ってのは大企業以外ではなかなかやれるモンやない。客層がだいぶ違うんでな。しかし上手く行ったら儲けも見込めるんは確かや。狙ってなかったちゅうたら嘘になる。けどな。

 

「今のキネコを頼るんは、ちょお荷が重すぎますな。銃器関連に集中しとるから今の商売は成り立ってます。そこにこっちの用事押し込んだら、パンクしかねませんわ。話持ちかけるにしても、まだまだ先のことでしょうな」

 

 封印都市に来て数年でここまで商売できているんは大したモンやが、扱う商品に幅が無い。今のところワシらとは、封印都市の情報収集で取引すんのが精一杯ってところやろな。まああいつもマネ家の女や。将来性は期待させてもらおか。

 それに、人間関係はええ感じで構築してるみたいやし。

 

「でも安心しましたわ。打算ありきとは言え、薄々裏の事情も分かっていながら(タマ)張って手伝ってくれる人間がおる。ちゃんと真面目に商売して、コネを作り上げとる証拠ですわ」

 

 封印都市の半官半民組織、GSとコネが作れたんは強い。しかもその幹部、実働のトップと個人的にも親しいところまでいっとる。うちの家系はなんか胡散臭いと思われがち(それすらも利用できて一人前と思うけど)なんやが、商売に関しては誠実にと心がけとる。それを理解してくれる人間が周囲におるということは、ちゃんと人脈を作っていった証やろう。

 ありがたいこっちゃで、理解者がいるっちゅうんは。ワシは真面目な顔を作る。

 

「隊長さん、図々しいお願いやとは思いますけど、これからもキネコのこと気にかけたってください。あいつは見ての通り誤解されやすい人間です。でも中身は真っ当な人間やとワシらは信じとる。道を踏みはずさんためにも、気にかける人間が側におってくれたら心強い。面倒でしょうけど、お願いします」

 

 頭を下げる。短い付き合いやが、この人は信用できるとワシの勘が言うとる。それにコネとしてもキープしておきたい人や。頭下げる程度で済むんやったらなんぼでも頭下げたる。つーか金払いたいくらいや。それくらいの価値はある。

 ワシが頭を下げる先で、ふっ、小さく笑う気配がした。

 

「頭を上げてくれ。キネコさんとは持ちつ持たれつだ。信用できる補給元は俺も手放しがたいんでな。言われるまでも無く気にさせて貰うさ」

 

 それにと、頭を上げたワシの前で、隊長さんはにっと笑った。

 

享楽都市(そっち)に出張ったら、サービスしてくれるんだろう?」

 

 ……かなわんなあ。色々な意味でええ人やでこの御仁。もしかしたら今回のこと、思った以上に収穫があったかも知れん。人脈的な意味で。

 キネコ、このコネ手放すんやないで?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、なんやったらキネコに手ェ出してくれてかまいませんで? 性的な意味で。ちゅうか身内になってくれたら、色々融通させて貰いまっせ」

「多分そう言うところだぞ。キネコさんがぞんざいに扱う理由は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ※キャラ紹介

【マネ・キヨシ】

 

 

 漢字で書くと【間根 澄志】。実は澄んだ志を持つと言う意味と、京都あたりで使われる、~しよし、招きよし(招きなさいよの意)から。ダジャレである。多分マネ家の人間は全員そう。

 

 キネコの実の兄。チャラい感じで胡散臭い外見と雰囲気。言動も一見軽薄だが、その実態は冷静さと義理人情が同居した大阪商人。かなりのやり手であり、実家の商売の多くを任されている。

 

 人を巻き込むことを躊躇しない、いい性格をしているが、そのことに対して頭を下げられる、それなりに筋を通す人間。身内にも容赦ないが、その分アフターフォローはしっかりしているらしい。

 隊長曰く一石何鳥も狙えるタイプ。信用するのと利用するのを同時にやってのけるので、好意や愛情が分かりづらい。と言うか大体情がなく抜け目の無い人間と思われている。半分当たりであるが。

 しかし内面を知っている人間からは絶大な信頼を寄せられている。意外なほどに人情派であり、親しい人間や借りのある人間の窮地には必ず手を差し伸べ力になろうとすからだ。これは情ばかりでは無く、人脈は宝という理念から来る行動である。情けは人のためならず、巡り巡って己がためを体現している人物。

 

 ゲーム的には多分ゲストキャラなので、これから先、再登場しないのではと思われるが、果たして。

 

 外観モデルはどっかのドブカスとか13㎞やの人たち。ああいう雰囲気で関西弁喋っていたら大体あってる。イネージソングは吉本新喜劇イメージソング【ECSTASY-Osaka-】。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




話にオチを付けられずにはいられない業を持つお兄ちゃん。
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