ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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若い内はやらかすこともある。そしてそれは大概迷惑
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【another side】

 

 

 シンジュクダンジョン。それは世界最大級と称されている。そう言われるだけの理由はあった。

 表面上の面積は旧シンジュク区の半分ほど。それだけならば、まだ広いダンジョンは世界にいくつかある。問題はその中身であった。

 地下に広がるダンジョン本体は、かつてのシンジュク地下を原型としているように見える。だがその構造は遙かに複雑怪奇な物に変貌しており、その広さ、深度、共に常識外の規模となっていた。そしてその変貌は僅かずつではあるが、未だに続いている。

 

 現在確認されている床面積の合計は、23区の土地面積を超える。もちろん単一の階層だけでなく、現時点で判明している最下層、地下138階層までの探索が出来たエリア全てを合計したものだが、それにしても広大すぎた。そして未だに理屈は判明していないが、ダンジョン周辺を掘削しても、()()()()()()()()()()()()()()()()。いくら掘ってもただの地面。その他の手段でも、複数存在する正式な入り口以外からアクセスしようとすれば、どのようなアプローチもダンジョンには到らなかった。これは他のダンジョンも同じではあるが、地表面のエリアと本体の容量がこれほどかけ離れている物は他に類を見ない。

 探索できていない部分と未だ見えぬ最深部。それらまで含めればどれほどの規模か、想像すら出来ないのが現状であった。

 

 ……まあ、つらつらと語ったが、要するに、シンジュクダンジョン内で()()()()()()()()()()()というものは、かなり……どころか大半の部分だったりするわけで。

 

「こっちは準備できた。誘導、いけるか?」

 

 あちこちが崩れかけた通路。大型の機材を運び込むための物……を形取ったその一角に、複数の人影があった。

 壊れかけの明かりがぼんやりと灯り、時々点滅して消えかけたりしているその場は薄暗く、人影の姿形ははっきりしない。何やら機器を設置して弄っているようだ。1人がハンディ無線機のような物で、どこかと連絡を取り合っているらしい。

 

「クワガタが1、釣れそうだよ。後続(トレイン)はなし。大きさも手頃」

 

 無線機からの返答を聞いて、その人物は頷く。それから再び口を開いた。

 

()はどうだ?」

「こっちも問題な~し。周囲はクリア。いつでもいけるべさ」

 

 おどけたような答えが返ってくるが、内容は準備が十全に整っていることを示している。ならば後は――

 

「OK。じゃ、野郎ども覚悟は出来たな? 状況を始めるぞ」

 

 ――やるだけだ。

 装置を弄っていた人影が四方に散り、物陰に潜む。そうしてから程なく、振動が通路に響いた。

 それは徐々に大きさを増し、やがて通路の向こう側から姿を現す存在がある。

 まずは2台のオフロードタイプ電動バイク。戦闘に対応した実戦用のフルプロテクターを纏ったライダー2人は、時折後方を確認しながら巧みに障害物を避けて駆ける。その後ろから、つかず離れずといった距離感で来訪者クワガタが追いかけていた。こちらは障害物など容易く蹴散らして、真っ直ぐに突き進んでいる。

 命を賭けた追いかけっこ。それは存外容易く終わりを迎えた。

 2台のバイクが、機器を据え付けられていた箇所を通過する。僅かに遅れてクワガタが同じ箇所を通過しようとしたそのとき。

 

 リモートコントローラーのスイッチが押された。

 

 ぼず、というエアクッションから多量の空気が漏れたような、そんな音が響いて、()()()()()()()()()()()()()()()

 残った後ろ半分は、体液をまき散らしながら慣性に従い突き進み……崩れ落ちて地面を滑走し、そのまま動かなくなる。しばしの時が過ぎて、周囲に潜んでいた者たちが動き出した。

 アサルトライフルやショットガンなどの武器をかまえ、レーザーサイトの狙いをクワガタの()()に向けたまま、そろりそろりと近づいていく。慎重に残骸を調べ、機能が完全に停止していることを確認すると、1人が無線機に語りかけた。

 

「機能停止を確認。そっちは?」

「数秒暴れたが、こっちもくたばった。……成功ってことで良いんだよな?」

 

 しばらくの沈黙。そして。

 

「「「「「イェエエエエエエエエエァ!!」」」」」

 

 歓声が上がった。

 喜び浮かれながら肩をたたき合ったりハイタッチしたりする者たち。そんな彼らにバイクを降りた2人組が歩み寄ってきた。

 

「上手く行って何よりだね。囮になったかいがあったよ」

「命賭けたんだから、その分は考えてほしいわ」

 

 声からすると男女のペアらしい。声をかけられた人物――どうやらリーダー格らしい男は、親指を立て(サムズアップし)て応える。

 

「おう、良くやってくれた。もちろん報酬ははずむぜぇ。これからバンバン儲けられそうだしな」

 

 そう言って男は、仲間の方を振り返った。

 

「とは言え勝って兜の緒を締めろって話だ。車を回せ、解体して運び出すぞ。それと装置のチェック。念入りにな」

「あいよう」

「任された」

「そう言うこった。そっちも解体を始めてくれ。一通り片付いたら、もう一度仕掛ける」

「あいさー。準備が出来たら連絡くれや」

 

 無線からの返答を聞いて、リーダー格の男はほくそ笑む。

 

(運が回ってきやがった。あの胡散臭い連中に押しつけられたときには、どうしようかと思ったが)

 

 ちらりと視線を向けた先には、仲間がチェックを行っている機器が在る。パソコンとエンジンとバッテリーが一体化したような装置。それが彼らの運命を変えた。

 

()()()()。眉唾モンの代物だったが、こいつは金の生る木だ。大事に使い潰してやらねえとなぁ)

 

 この日を境に、それまで大して名の売れていなかったクランが、羽振りを良くしていく。

 もちろんそれは、騒動を呼ぶことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




うん、アレ手に入れたんなら、こういうこと考えるヤツも出てくるやろ。
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