ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
リーダーの姿はすぐに確認できた。何しろ派手に道を粉砕しながら駆けているのである。痕跡を辿れば追うのは難しくない。
そして奴も、俺が追ってきていることに気づいたようだ。
「いやああああああああ! 犯される殺される切り刻まれるぅ!」
「超絶人聞きの悪いこと言ってくれんなオイ」
なんでか内股肘曲げの女の子走りになって悲鳴を上げるリーダー。口走ってることが猟奇殺人鬼に追いかけられている被害者のそれである。なんでそんなに怯えているのか。
「随分と風評被害ばらまいてくれてんな。取って食うよな組織じゃないわいGSは」
「嘘だああああああああ! 知ってんだぞあんたらスナック感覚でそこらの犯罪者ボコったり有名どころのクランボコったり米兵ボコったり各国の工作機関ボコったりしてんじゃないかあああああああ!!」
…………………してるわ。
やってることの字面だけ聞くと確かに怖いわな。噂だけ聞いてたら忌避したくなる気持ちも分かる。ここまでビビられるのは納得いかんけど。
とか思ってたら。
「大体からして!」
逃げながらもズビシと指を突きつけてくるリーダー。
「仮にも中堅のソニック属性テック使いの俺が全速力で走ってんのに! なんで低位のアンタが平気な顔してついてこられるんだよ! そこがすでに怖えぇよ!!」
「そりゃ鍛え方が違うからな」
こちとら上位テック使い抱える有名クラン相手におっかけっことかしょっちゅうやってんだ。こんくらい普通に出来るに決まってるだろうが。(←端から見るとジョン・コナー追っかけてるT1000の図)
「そう言うことだから諦めてお縄に間違えた快く尋問に協力しろ。なに抵抗しなけりゃ痛くはしない」
「それ絶対痛くするフラグでしょおおおおおおおおお!!」
「…………………ダイジョウブダヨイタクナイヨアンシンダヨ~」
「一気に胡散臭くなったあああああああああああ!!」
ああ言えばこう言う、我が儘な奴だなあ。走るだけ走らせて力尽きたこところでとっ捕まえる予定だったが、面倒になってきた。しばき倒して連れてくか。
「今なんか不穏な気配! 不穏な気配がしたァああああああ!」
「変なところで勘が良いな? なんでそれでこっちの思惑が分からねえんだよ」
「あんたら予想の斜め上のことばかりやらかすじゃねえかああああああ!」
「現実は、予想通りに展開するものじゃないぞ?」
「せめて否定してェえええええええ!」
「そういうことでそろそろ諦めろ? 往生際の良い方が後々印象良いぞ?」
「どこら辺の誰に対してだよおおおおおおおお!」
「……閻魔様あたり、かな?」
「全然救いになってないってかとどめ刺してるだろソレェえええええええ!」
言いながら加速するリーダー。どうやら俺がしばき倒そうとしているのを本能的に感じ取っているらしい。元から勘が良いのか、それとも窮地に陥って火事場のくそ力的に感覚が冴えたか。
「自由へ! 自由への逃亡! 明るい明日に脱出するんだああああああ!!」
とか何とかわけの分からんことを言い出しているリーダー。ランナーズハイかな? そろそろ力尽きるんなら当初の予定通りで良いか。
……っと、こいつ追いかけ回す事ばかりに集中しててもいかんな。
「ところで一つ言っておきたいことがあるんだが」
「またなんか絶望的なこと言うつもりだあああああああ!」
うむ、当たらずとも遠からず。
「
「なにをう゛ぁっ!」
こっちの方ばっかりに注意を向けていたリーダーは、
見事に轢かれた。
スローモーションで事が推移する。
リーダーは竜巻のような錐揉みで高く宙を舞い、そして頭から落下。
グシャアと音を立てて顔面から地面にめり込み、ゆっくりと倒れ伏す。
そうして時間の流れは戻った。
「馬鹿野郎気ィつけろぃ!」
轢いた方のトラックの運ちゃんが罵声を浴びせ、そのまま消え去る。封印都市には法もモラルもない。ひき逃げなんぞ日常茶飯事だ。とは言え何の咎もない能力無しの一般市民が犠牲者だったら、即座に車ごと仕留めて速攻で償わせてやるところだが。
「とりあえず生きてるから良いか。テック使いだしな」
倒れ伏してビクンビクンいってるリーダー。そのそばにしゃがみ込んで様子を見る。
頭頂部が負傷し、派手に血が流れているが、頭蓋までのダメージはなさそうだ。意識は完全に飛んでおり、白目を剥いて泡を吹いている。突っついてみたら反応するので、生きてはいるようだ。
並の人間よりは頑丈だし、そう簡単にはくたばりゃしないわな。最悪ベルセルククリニックに放り込んどきゃすぐ治るだろ。そう見て取った俺はリーダーの足首を掴んで、ずるずると引きずり歩き出した。
ショギョムッジョ。