ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
「そっちの
意味の分からんことを叫びつつ飛び起きたアンビシャスのリーダー、【ハヤミ・ハヤト】。その横でしゃがんでいた俺は、軽く手を上げて言ってやる。
「よう、良い夢見てたか?」
「あへひゃぅわぁ!!」
俺を認識した途端、悲鳴を上げて飛び上がり凄い速度で物陰に隠れようとする小動物ハヤミだったが、周囲がおれらとクランのメンバーに囲まれていると知ると、その場に蹲ってブルブル震えだした。
「お、オレに酷いことするつもりなのね!? えっちな本みたいに! えっちな本みたいに!!」
「こいついつももこんな調子なのか?」
「追い込まれるとなんでかこんなんになります」
俺が問えば、メンバーの一人が答え、残りの面子もうんうん頷く。
「普段はわりとしっかりしてんですけどねえ」
「そりゃ仮にもクランリーダー張って、ここまで大きな被害もなく生き延びてきたんだ。しっかりしてなきゃ困る。……ってなわけでいい加減正気に戻れ」
すぱんと軽く頭をはたいてやる。「ぺぎゃ」とかいう声を出して倒れ伏したハヤミだが、そのまましくしく泣き出した。
「うう……金なら、金なら良い感じで儲け出てきたからそのうち返すよう。もうちょっと待ってくれよう」
「また人聞きの悪いこと言ってくれてんな。誰が借金取り……ん?」
はて、こいつ確か俺たちがGSだって認識しているはずだが。なんで借金返す返さないの話してる?
「何でそんな話になってんだ。
「だってあんたらんとこ隣でサラ金やってんじゃないか!」
ガバッと顔上げて訴えるハヤミ。まあたしかに、お縄をかけた連中に保釈金を貸し付ける金融業者がGS本部の隣に立っちゃいるが、あれはあくまでウチのバックがやってることであって、俺たちはその運営に全くタッチしていない。結構知れ渡ってると思ってたんだがな。そう思ってる間にも、ハヤミは言いつのる。
「
「何ソレ知らん」
こいつ封印都市の外で借金しまくって、逃げ込んできたらしい。俺だけじゃなく、周りのクランメンバーも初耳と言った様子だ。そのあたりを上手く取り繕っていたようだな。
しかしGSの隣に金貸しがいるだけで、妄想逞しいこと。
「生憎お隣さんの仕事は請け負ってねえ。取り立て屋なら専門の人間がおるわい」
「じゃあアレか!? 綺麗なお姉ちゃんが色々とサービスしてくれる店で
「「「「「ほう?」」」」」
俺の周囲で声が上がった。この話もメンバー達は聞いていなかったらしい。気のせいか気温が下がったような。ってか大概酷いなこの
「お前さんのツケとか知らんがな。なんで借金とかツケの取り立てなんてケチな仕事を、おれらがやると思われてんの」
「それじゃあアレだな!?
「「「「「……ほぉう?」」」」」
今、明確に気温が下がったんだが? 気がつけば俺たちの周囲にはクランメンバーの
……もしかしてこいつ、この女性陣全員に粉かけてたのか? お前ホント、ホントお前。
「「「「「ちょっとコレとお話したいんですけど、よろしい?」」」」」
「え? ええ!?」
がし、と周囲の女性陣から捕縛されるハヤミ。自分が何を口走っていたのか自覚がなかったようで、狼狽えた様子を見せている。
俺はため息を吐いた。
「……尋問が出来る程度にしといてくれ」
「「「「「Yes,sir」」」」」
「いやあああああオレに酷いことする気なのね!? グロ漫画みたいに! グロ漫画みたいに!!」
ずるずると物陰に引きずり込まれていくハヤミが悲鳴を上げるが、もちろん誰も聞いちゃくれない。
折角テックで治療したのに、また治さなきゃならんのか。すっごい無駄骨のような気がして肩を落とす俺であった。
「どうしてオレがこんな目に……」
「自業自得って言葉知ってっか?」
ボッコボコにされたハヤミが愚痴るが、命があるだけでもマシだろう。幸いというか、クランメンバーの女性陣に粉はかけていても深い関係には到っていなかったようで、フルボッコにされた挙げ句、総スカンを食っただけですんでいる。……今後のクラン運営がギスギスした物になるとは思うが、そこまでは俺の知ったこっちゃない。
まあそんなことはどうでも良くて。
「もう色々面倒くさいんで単刀直入に言うぞ。お前らのクラン、最近怪しい転送装置的な物を手に入れたか? そいつを確認したい」
そんな問いを放てば、ハヤミはぽかんとした表情で俺を見た。そして口を開く。
「……あの、オレ個人の話は全く関係ない?」
「端からピコグラム単位も関係ねえな」
沈黙。そしてハヤミの表情がみるみる変わっていく。そして彼は叫んだ。
「最初からそう言ってェえええええええ!!」
「言う前におめえが逃げたんだろうが!!」
叫び返した俺はハヤミをはたき倒した。
人の話はちゃんと聞こう。