ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
はい、説明と尋問のお時間です。
「え? そんなヤバい代物だったんすかアレ!?」
「そうなんだよ造ったヤツらもヤベー連中だが、どんな仕掛けがあるか分からないって意味でもヤベーんだわ。良かったな対処できない事故とか起こらなくて」
クランの主要メンバーを交えて転送装置周りの事情を明かす。ハヤミ以外のメンバーはチャラい外観だが割とまともだったようで、素直に話を聞いてくれた。
なおハヤミ本人は縛り上げられて転がされてそこらに放置されている。しくしく泣いているが自業自得だろう。信用がガタ落ちになってるから今後扱いが酷いことになると思うがそこは知らん。
とにもかくにも、転送装置周りのことを一通り話してある程度の理解を得られたとみた俺は、アンビシャスが転送装置を入手した経緯を聞いてみることにした。
「あ、それはこのアホが怪しい業者から買ってきたっす」
ハヤミを指さして言うメンバー。何でもスラム街にあるバッタ市みたいなところで購入したらしい。
「だって1万円だったんだぜ!? 仮に
縛られてるハヤミがバタバタのたうち回りながら訴える。どうにも冗談のつもりで買ってみたらば本当に転送できたので、これはと思ったらしい。
「で、そっからどうした? 最近の景気の良さから言って、転送装置をただの輸送手段として使ってるわけじゃあるまい」
転送装置と聞いて先ず思い浮かべるのが、輸送手段としての使い方だ。ダンジョン内と外部を繋ぎ、瞬時に物資を運び出せる。ダンジョン内の資源や来訪者の死骸を輸送するのに便利この上ない。だがそれだけではアンビシャスの躍進は説明しきれない物だ。
そして俺は、
「それがこのアホ、思いつきだけは一級品で。
「なるほど。ダンジョンの外でも
大体思っていたとおりの使い方だった。あの転送装置、後期バージョンだと効果範囲の境で容赦なく物質を抉り取る。それを利用したってわけだ。
通常、来訪者はダンジョンの外に出ることは出来ない。当然のように軍事目的やら何やらで、生きたまま運び出そうとする試みはいくつもあった。が、生きたままダンジョンの外に運び出すと、来訪者は5分ほどで機能を停止し、
例外としてダンジョン発生最初期に、その周囲で暴れ回った大型種があるが、これも数日から数週間で機能を停止し、崩れ去っている。いずれにせよ来訪者はダンジョン外では活動できないという、一種の
しかし、生きて外に出しても5分以内に活動を停止するのであれば話は別だ。死骸はそのまま残る事になる。ハヤミはそれに着目し、転送装置を致死トラップ兼輸送手段として使うことを思いついたようだ。これなら労せず来訪者に致命傷を与えて始末できるし、同時に死骸の半分を転送することも出来る。目の付け所は悪くない。
「さてはお前さん、才覚はあるけど調子に乗って身を持ち崩すタイプだな?」
「そ、そんなことはないっ! ……はず……だと……思いたい……今日この頃」
勢いよく反論しようとして今までのことを思い返したのか、しおしおと縮んでいくハヤミ。これで反省すりゃ良いが、多分こいつ喉元過ぎたら暑さを忘れる。クランメンバーがかっちりと監視してたら調子を保っていられるだろうが、愛想尽かされたら秒で奈落墜ちじゃないかね。
「ところで、もしかしたら転送装置の没収とかある感じですかね? うちらの業務に差し障りがあるどころじゃないんですけれど?」
心配そうな感じでメンバーの一人が聞いてくる。確かに今このクランにとって転送装置は生命線だ。没収なんぞされたら元のうだつの上がらないクランに逆戻り。出来れば阻止したいところだろうが、
ま、俺もそこまで鬼じゃない。
「心配すんな、没収は今のところ考えていない。ただし……」
にやりと笑う。
「ちいとばかし、
【another side】
後日。
クランアンビシャスのメンバーは、肩身の狭い思いをしていた。
「ふむ、ダンジョンに立ち入るのは初めてだが、なかなか趣があって良い。滅びの美学というか、心くすぐられる物があるな」
「貴女もある程度自衛できるのは知っているが、ダンジョン内では何が起こるか分からん。気を付けてくれ」
「なんで室長まで現場に出てくるんすか」
「こう言う物は実際自分の目で確かめたい物だからね。それに無理矢理取り上げないという選択肢を選んだ以上、実働しているところを見るには足を運ばないと」
物理的にも狭かった。
ネクスティスを引き連れた天道 アユミ。エリーターズを引き連れたGS技術研究室室長。彼らは直接転送装置を調べるため、アンビシャスの仕事に同行することとなった。
戦闘能力の低いアユミと室長を護衛するため、双方複数人を引き連れていた。ダンジョンはそれなりの広さを持つが、十数名が一カ所に集えば手狭にもなる。
転送装置を没収すればこんな手間をかける必要性はないように思われるが、その仕様上、転送装置はダンジョン内かその周辺でしか作動しない。入手してもダンジョン付近に持っていって調べなければならないので2度手間だ。それにある程度扱い方が分かっているいる人間に使わせた方が確実に作動するという理由もある。
「下手に没収したりぶっ壊したりして賠償とかトラブルになるの面倒くさいしなー」
「分かってても言っちゃダメなヤツだろそれ」
所有者達に扱わせるんなら壊れてもそっちの問題だしなーと、他人事なレフト3の呟きに、レフト2が小声でツッコミを入れる。まあ、うん。そういう理由もなきにしもあらずであった。
「そんで、隊長はクランのリーダー引き連れてどこ行ってんの?」
他者視点になっている所からお気づきの方もいると思うが、
レフト3の問いに、肩をすくめてレフト2は答えた。
「転送装置売ったヤツのヤサに、
「そりゃ隊長にガサ入れされそうになったら、オレでも逃げるわ」
手がかりあったら良い方じゃね? 2人は揃ってそう思った。
来訪者がダンジョンの外に出てこない理由。
もちろん筆者は詳細を考えていない。