ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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 ※数日前

 

 

 いよいよ米兵達が訪れる日が迫り、俺たちは受け入れの準備に追われていた。

 

「またしてもお世話になりますデス」

「前よりは余裕がある。手はず通りならば問題は起こらない」

 

 ミーティングの席でフェバリット女史と言葉を交わす。スケジュールを確認しながら、俺はため息を吐いた。

 

「……といいんだけどなあ」

「こういうときに限って妙なtroubleが起こるのは決定事項みたいなもんデスからネ~」

 

 前の時は精々大佐がヴィランどもを吹っ飛ばしたくらいだが、ここ最近の傾向から考えると、何らかのアクシデントが起こるという予感がある。具体的にはイベント。

 

「ショージキ、今の封印都市で教導を行うのは気が進まないデスが、国が絡んでいる事なのでワタシ一人の考えじゃドーにも出来ないんデスよねえ。せめて死者だけは出ないように祈るくらいしかできそうにないデス」

 

 何をやっても無駄に終わるんだろうなあという諦観の表情を見せるフェバリット女史。実際のところおどけているように見せて、トラブルに備えるため裏で色々動いているんだとは思うが(←買いかぶり)、徒労であるという虚無感はあるだろう。現実はいつも斜め上の方から殴りかかってくる。

 

「まだドンパチで何とかなるんならマシな方さ。殴って片付かない方が面倒だ。政治とか」

 

 哀しき半宮務めの身分だ。不安があっても一度動き出した計画を止めることなんぞ俺にも出来ない。ならば現状でやれるだけのことをやるしかない。開き直りとも言うが。

 

「お互い雇われの身分は世知辛いデスネ~」

「その分の給料は貰ってるんだ。あまり文句も言えまいよ」

 

 不平不満を抱きつつも、ミーティングを続ける俺たち。この辺アクシデントが起こるからって手抜きは出来ない。投げ出したいのはやまやまだが。

 投げ出したところで、余計面倒なことが起こるのは目に見えているんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして面倒なことの兆しが舞い込んだ。

 

「メールは見させて貰ったが……眉唾物にしか見えないのは俺の気のせいか?」

 

 タブレットでの対面通話。言葉を交わしている相手は。

 

「うむ、そう思われるのは致し方ないところだ。実際胡散臭く見えるのは確かだしな」

 

 ネクストテクニクス代表取締役、テンドウ女史だ。彼女は何やら()()()使()()()()()()()()を試作したらしく、そのモニタリングを方々に依頼しようとしていた。その中には俺たちGSも含まれる。

 ……胡散臭い以外の何物でもない。

 

「実のところ、今回のアイテムは()()()()()()()()()()()なんだ。常人の身体能力をテック使いの強化同様に引き上げる、そう言った技術の応用さ」

「それは良いのか? テック対策はそちらの根幹技術だろうに」

 

 そもそもが対テックを目的として結成されたのがネクストテクニクスだ。その技術がテック使い(こちら)側に流出するのはよろしくないどころではないと思うのだが。

 テンドウ女史は気にした風もなく、快活に笑う。

 

「なあに、スペックと対費用効果(コスパ)の折り合いが合わなくてお蔵入りになっていた技術さ。単純に肉体を強化したところで、テック使いに対抗できる物でもなかったしね。言わばリサイクル。流出したところで痛くもかゆくもない」

 

 それに、と続ける女史の表情が、挑むような笑みに変わる。

 

()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()。そういった実験的要素も兼ねているからね、今回の話。ぶっちゃけ体の良いモルモットをやって貰いたいというお願いだよ」

 

 ホントにぶっちゃけやがったなこの女。正直なら何でも良いってもんじゃねえぞ。

 

「そこまで言って良いのかよ。本音は隠しとくモンじゃないのか」

「この場合、下手に隠し立てすれば余計に話が拗れると判断したまでさ。潜在的な敵対関係とは言え、テック使い達と正面から事を構えるつもりは、今のところないのだし」

 

 そこまで言ってテンドウ女史は、ふっと力を抜く。

 

「それに貴方に対しては、()()()()()()()。そうだろう?」

 

 ……なんともまあ、否定しにくくこそばゆい評価をしてくれる。実際誠実に対応してくる相手ならば、それなりに扱っているという自覚はある。誠実じゃないのが多いからそうは見えないかも知れないが。

 マッドサイエンティストに見えて、結構な雌ギツネかも知れんなこの女。いや普段のあれも素で、そう言った面があると言うだけの話だろうが。あるいはダイチ氏から入れ知恵とかされているかも知れん。

 

「正直なところ隊長氏、私は貴方を封印都市テック使いの中でも最重要人物とみている。こういったことは真っ先に話を持ちかけて筋を通しておくべきだと判断した。私なりに誠実であろうとするのは、敬意であり牽制と言うことさ」

「買いかぶり……とも言えんか。そういう立場であるというのはそれなりに理解しているつもりだ」

 

 最早ちょっと強いだけのモブ、などとは口が裂けても言えなくなった。まがりなりにもGSの現場責任者を務め、多くのテック使いと関わり影響を与えている。俺が望むと望まざるに関わらず、この街の中心地に近い場所に在った。そのことを否定しても仕方がない。

 まあそれはそれとして。

 

「折角そんな評価して貰ってなんだが、しばらくは力を貸せそうにないな。なにしろ米兵教導(大仕事)が控えている。俺筆頭にGSは期待には応えられんよ」

 

 何しろてんてこ舞いの忙しさだ。余所にかまけている時間はない。

 それに――

 

「む、それならば致し方がない。元々あわよくば、といった程度だしな。それに我々が試作品のテストを依頼して回っているという()()()()()()。最低限の目的は果たさせてもらったよ」

 

 最初から俺たちが引き受けるのは難しいと判断していたようだ。その上でなにかあったときのために、情報を流しておくという強かさだ。雌ギツネ疑惑が深まったぞ。

 ……なんとなくだが、テンドウ女史も予感があったのかも知れない。

 最終的に、俺らも巻き込まれる(確定)ということを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




フラグしかない。
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