ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
その後はもうしっちゃかめっちゃかである。
好き勝手絶頂に暴れ回るあんぽんたん。神出鬼没な立ち回りで、訓練場を縦横無尽に駆け回り、反撃する隙を与えない。いつものスタイリッシュさとは大違いだった。
「なりふり構わなくなった……だけじゃねえな。明らかに能力が上がってる」
速度、膂力、テック。全ての能力が向上していた。件のマスクの力だろう。なんつう物を作り出したんだあのマッド姉ちゃんは。
せめて米兵だけでも撤退させたいところなんだが。
『No,sir.ありゃ背中見せた途端に撃たれます。反撃してた方がまだ生き延びられる目がある』
中隊を纏めている中尉の言葉である。全くもって俺も同意見だよこん畜生。あいつこっちの動きに緩みが出てきたらそこをついてきやがる。下手に背中を向けよう物なら集中攻撃食らわせてきそうだ。簡単に撤退させるわけにもいかなくなった。
「M4とMCX配り終えたのは良いが、なっ!」
じゃきりとバレットXM109のボルトを引く。
「回避も防御も桁違いですね。流石はレイドボス化、と言ったところでしょうか」
M249を構えたトザマが言う。流石に大声では話せない内容なので隙を見てちょこちょこ聞き出したんだが、今回のはレイドバトルのイベントで、暴走したアレを倒すのが目的らしい。
……ゲーム的には囲んで延々とボコりゃあ良いんだろうが、生憎現実じゃそう簡単にはいかない。単体で中型の来訪者を鼻歌交じりで狩るような人間が、オーバースペックで襲いかかってくるんだ。もう人型の台風と言って過言じゃない。
幸いにして、エリーターズとミナセ嬢のフォローを受けた米兵達は反撃に徹し、攻勢に出ていない。そのおかげで何とか保たせちゃいる。が、それも長くはないだろう。
「ヒロコさん達が最初からいれば話は別だったんでしょうけれど、このあたりも変わっちゃってますね」
本来であれば主人公であるお嬢達は、最初からイベント戦闘に関わっているはずだった。しかしタイミングが悪かったせいでこの状況だ。シナリオから外れることが良いことばかりではないと言うことだろう。まあそこら辺は割り切るしかない。今はどうやってこの状況を乗り切るかだ。
「接近戦に持ち込めりゃ勝機もあるんだが、あの女郎機動性もテック能力も桁違いに跳ね上がってやがる。しかもそれを十全に生かしていると来た。さてどうする」
懐に潜り込む以前の問題で、距離を詰めることも難しい。第一間合いを詰めたとしても、強化されたテック能力で氷漬けにされるのがオチだ。そして今までの戦い方と全く違うことも、攻略法を見いだせない原因となっている。
「仕方ありません。ここは一つ自分が散華しクラハムさんの隙を誘発したところで隊長がとどめを」
「だからなんかあっちゃあ自爆を仄めかす言動はやめろください」
ガンギマリの目線で戦場を見据えるトザマにツッコミを入れた。笑えないブラックジョークを言っているんだったら良いが、こいつの場合一から十まで本気の可能性が高いからな。かと言って本気で自爆なんかさせるわけにもいかん。特に今回みたいなしょうもないイベントで命の無駄遣いなんせさせてたまるか。
と、そのとき本部から通信が入った。
「隊長、ネクスティスの面々が到着しました。今そちらに――」
オペレーターが言い終わる前に、黒いデリバンが訓練場に乗り込んでくる。けたたましいブレーキ音を立てて急停車。ほぼ同時に各所の扉が開き、強化装備を纏ったネクスティスのメンバーが飛び出してくる。
……なんか微妙にボロボロだな?
「隊長氏! 無事かね!?」
続けてテンドウ女史が飛び出してきたが……彼女もあちこちに包帯を巻いた痛々しい姿だ。
何があった……と聞くまでもない。多分エイカの暴走に巻き込まれたのだ。
「怪我を押してきているところ悪いが緊急事態だ。まずは手短に説明を」
俺の言葉に、テンドウ女史はふ、と息を吐いてから口を開いた。
「そうだな、一言で言うと――」
彼女はきっぱりと言い放つ。
「どうしてこうなった!?」
「「「「「アンタがやったんちゃうんかい!!」」」」」
俺を含めた周囲が一斉にツッコミを入れた。
「いやほんとにあんな暴走をするはずはなかったんだ。第一テックジャマーによるフィールド内で安全策を複数用意してたのを、一気に全部吹っ飛ばすなんて予想外にもほどがある」
ツッコミどころは色々あるが、ともかくエイカを何とかするのが先決だと軽く打ち合わせをし、彼女のテック能力を抑えるためネクスティスのメンバーが散開してる最中に、テンドウ女史の話を聞いてみる。
予想通りというか、フリーであるエイカに目を付けたテンドウ女史が試作強化マスクのテストを持ちかけ、エイカがそれを引き受けた。そしていよいよテスト開始とマスクを起動させた途端、いきなり暴走したという。本人言ってたとおりテックジャマー含む安全策を用意していたというのにこのざまだ。まあ強化という意味では成功と言えるかも知らんが。
「コントロール出来んようでは片手落ちか。緊急用の停止措置とかは?」
「あるんだが、なぜか受け付けない。今までこれほどの失策はなくてね、自信を失いそうだよ」
ご都合主義か修正力か、途中で止めることも出来ないようだ。つまり力尽くでなんとかしろ、と。レイドバトルらしくなってきたじゃねえかふぁっきん。
「
「それが出来れば良いのだが……
「少しでもあいつの能力が下がりゃあ御の字さ。後は無理でも押し通す」
何にせよやるしかないんだ。あいつに余計な人殺しっていう、無駄な業を背負わせないためにも、な。
さてどうやって痴女を倒そう(考えてない筆者)