ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
「レフト4でござる。ミナセ嬢と共に目標を追跡中。なかなか思うように動いてくれず、苦戦しておりますな」
ミナセ嬢と合流し共に行動しているレフト4からの報告だ。エイカの行動パターンを割り出すために追跡させてるんだが、どうにも上手くいってないらしい。最低でも動きを鈍らせなきゃどうにもならんか。
「そう言った制御もこっちじゃできないと」
「うむ。壊れた……と言うよりオーバーフローだな。想定以上にクラハム君のテック能力が向上し、その影響を受けてコントロールシステムがバグったようだ」
テンドウ女史はそう言う。今の状態ではモニタリングもまともに出来ないらしく、先ほどから機能を回復させようと、タブレットで遠隔からのアプローチを試みている。それもなかなか苦戦しているようだ。
「システム的な干渉は望み薄、と。……ダイチさんよ、そっちは?」
通信をつなげば、向こう側からダイチ氏が応える。
「現在散開し、彼女の周囲を固めようとしている最中だ。だが動きが速い。間合いを詰めるのにも一苦労、といったところか」
上位テック使いと互角の運動能力を誇るネクスティスの強化者。以前テック使いを翻弄していた彼らが手をこまねいているのは愉快……なわきゃあない。彼らはそもそも
もっとも普段のエイカであれば、十分に対応できたんだろうが。いつもと違う暴走状態は、今までの行動パターンに当てはまらない。手をこまねくのも当然だった。
「不幸中の幸いは、なんでか演習場の外に出ないことか。封印都市中を駆け回られたらお手上げだったぞ」
「その辺の理由も分からないね。攻勢ではあるが、
考え無しに暴れ回っているから致命的なことになっていない、そう思っていたんだが、テンドウ女史の目から見るとそうではないらしい。理由は分からないが、何か目的があって演習場に居座り暴れ回っているようだ。もっとも。
「未熟未熟ゥ!!」
「会話が成り立たねえから何考えてるのかさっぱり分からん」
正気を失っているのは間違いない。本能的な何か、それが彼女をここに留めさせているのだろう。
……なんかろくでもない、しょーもない理由のような気がしてきた。
「いずれにせよ止めにゃならんのは同じか。……トザマ、手伝え。エイカの気を引く」
「それは構いませんが、正気を失っているクラハムさんは乗ってくるんでしょうか?」
眉を寄せて言うトザマ。確かにいつもなら俺の方に突っ込んで来るはずのエイカが、ただ暴れ回っているという状態だ。俺のことを判別できるかどうかも怪しい。
だが、今のあいつが
「乗らなきゃ、乗せるさ。……各員に通達。俺が前に出る。何とかヤツの気を引いてるうちに体勢を整えろ」
あちこちから戸惑ったような了解の声が聞こえる。まあ半信半疑にもなるわな。俺だって確証があるわけじゃない。
だがやらなきゃ埒は開かんのさ。
銃弾が飛び交う中、俺はXM109を担いで演習場の真ん中に歩み出る。遮蔽物を利用したタクティカルな移動ではなく、身をさらし、堂々と歩く。
意味? もちろんある。
「
自分自身に増強をかける。身体能力などではない。テックの波動、
今のエイカは基本的に隙がある人間に襲いかかってはすぐさま離脱、という行動を繰り返している。同じように隙があってもどこを襲うかは全くランダムなので、何を目標として判断しているのかが分からない。ゆえに行動が読み切れないわけだが。
もし
もちろん穴だらけの仮説の上で、賭けであることは十分理解している。が、何もしなけりゃ手をこまねいているだけだし、失敗したとしても俺が恥かくだけだ。そんときは全力でおっかけっこに混ざるとするさ。
そう言ったわけで、わりと気楽に構えている俺だったが、果たして。
「戦うと元気になるなぁ!」
「オイオイ本当に来たよ」
瓦礫を蹴散らし空を飛ぶように駆けてくるエイカの姿に半ば呆れる。一か八かの博打に易々と乗ってくるんじゃないよ。いやありがたいけどさ。
「ま、折角だ。足止めに付き合って貰おうか」
即座にXM109を構えて撃つ。狙いはエイカ……ではなく、足場にしようとした瓦礫だ。使用する弾丸は
狙いは違わず、爆発が生じ瓦礫を粉砕する。しかし。
「榴弾ではなぁ!」
咄嗟に引き抜いたM500を発砲。その反動と爆発の衝撃を利用して、彼女は跳ぶ。さらに銃をぶっ放し空中で姿勢と方向を制御。加速を得て俺に迫る。
「ざけんな益々有能になってんじゃねえ!」
せめて爆発には巻き込まれとけよこの女郎。俺はXM109を投げ捨て、インフィニティと脇差トンファーを抜き駆ける。
距離を詰める絶好の機会だ。この機は逃さ――
構えた銃と刃の先が、瞬時に凍り付いた。
テックの発動速度と威力がさらに上がっているだと!?
「神の世界への引導を渡すっ!」
その場を飛び退こうとした俺に向かって、銃口を向けるエイカ。当たろうが当たるまいが一発撃って離脱する気か? だがさせんよ。
「トザマ!」
「了解っ!」
ライトマシンガンの掃射が、エイカの出鼻をくじき退路を断つ。後からこっそりついてきたトザマの援護射撃だ。 その間に得物をしまってテック耐性を増強。エイカの懐に飛び込む。
「接近戦ならテックを使う間もあるまいが!」
「冗談ではないっ!」
張り付くような位置で技を振るう。エイカも接近戦は不得手ではなく、ガンカタじみたアクションをこなすが、武芸では俺の方が上だ。
大口径の銃を持つ腕が流れるように振るわれるのを弾き、巧みな足技を返す刀で捌く。テックを使う隙など与えない。もちろん簡単に逃がすつもりもない。
加えて言えば、長々と引っ張る必要もない。
「ダイチさん! いけるか!?」
「待たせた!」
良いタイミングで展開を終えたネクスティスのメンバーが、周囲から一斉に現れ強化スーツのジャマーを展開する。
ジャマーによる不快感が俺とエイカを襲って――
やったか!?(フラグ)