ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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 不快感と重圧が俺たちを襲い、動きをも鈍らせる。

 効いている。明らかに動きが鈍ったエイカ。次に何かやらかす前に畳みかけるしかあるまい。俺は彼女の意識を刈り取るべく技を――

 マスクのセンサーが不気味な光を放った。

 拙いと反応する前に、落雷のような音が響く。右手のM500に残っていた残弾、そして左腰から引き抜いたモデロ6全弾。その両方が目にも止まらぬ速さで連射されたのだ。

 

「ぐぁっ……」

 

 そのうちの一発をもろに食らった俺は後方に吹っ飛ばされるが、何とか数メートルで踏みとどまる。くそ、流石は454カスール。ジャケット、シャツ、インナーの3重構造防弾の上から肋骨にヒビ入れやがった。500マグナムじゃなかっただけ運が良いがね。

 その上で。

 

「な、ジャマーシステムをあの一瞬で!?」

 

 ダイチ氏の驚愕した声が響く。見れば強化スーツで展開していたジャマー、その基幹となるであろう胸部コントロールユニットが、撃ち砕かれている。あれもかなり頑丈な代物だったはずだが、大口径弾の近距離射撃に耐えられるものではなかったようだ。つうかあの一瞬でなんで的確に当ててくるの。

 もちろんそれだけではすまない。

 突然、吹雪が吹き荒れた。エイカのテックらしいが、さらに威力が上がってやがる。俺もネクスティスの連中も下がるしかない。

 

「ははははは! 益々マスクに力がみなぎってくるのが分かるっ!」

 

 片手でそれぞれの銃をリロードしながら(器用なことだ)、絶好調に吠えるエイカ。これで状況は振りだし、いや悪化してるか。テックジャマーによって能力を低下させ、懐に潜り込んでっていう戦術が使えなくなった。

 俺たちにも読み違いというか、失念していたことがある。エイカのテックを押さえ込んだとしても、銃(・)を(・)扱(・)う(・)技(・)術(・)と(・)銃(・)の(・)威(・)力(・)は(・)変(・)わ(・)ら(・)な(・)い(・)。最低限の戦闘能力は維持したままという、当たり前すぎてすっかり忘れていた事実。それが油断を生んだ。

 ミスだ。だがまだ致命的ではない。

 

「ライト5、レフト5、首尾は?」

「……おけ」

「何とか、いけます」

 

 吹雪に吹き飛ばされそうになりながら、スナイパーの二人に通信をつなぐ。神出鬼没の行動を取っていたエイカに対して位置取りを苦労していた二人だが、ダイチ氏を筆頭とするネクスティスが悪戦苦闘しながら足止めしてくれてるおかげで、やっと位置取りが出来た。

 

「ライト5、先に撃て。レフト5、合わせろ」 

 

 痛みに顔をしかめつつも俺は指示を下した。

 ライト5が使っているバレットは威力があって精度も高いが、エイカくらいになると撃たれる瞬間にその存在を察知されて回避される可能性がある。だがレフト5のSL-9はサプレッサーを備え作動音も抑えるようカスタム化されている。その上使うのは亜音速弾なので射撃音は極小だし、本人も気配を抑えるのは得手だ。ライト5の射撃を回避するなり防御するなりしたところにレフト5が一撃を入れる。そう言う目論見があった。

 ……凌ぎかねんなあ今のエイカなら。そう思うがやらんよりはマシだ。

 果たして。

 マズルフラッシュ。一瞬遅れて射撃音が響いたときにはエイカの元に弾丸が迫り――

 

「無知蒙昧な輩などにっ!」

 

 吹雪の勢いが強まり氷が防壁を形作って、そ(・)の(・)防(・)壁(・)に(・)着(・)弾(・)し(・)た(・)5(・)0(・)口(・)径(・)弾(・)が(・)、瞬(・)時(・)に(・)凍(・)り(・)付(・)い(・)た(・)。

 

「「「「「は?」」」」」

 

 ぼとりと地面に落ちる氷結した弾丸を前に、周囲の全員が一瞬呆気にとられる。避けるとか弾くとかならまだ分かる。50口径の運動エネルギーを完全に殺すとかありえねえだろ常識的に考えて。皆の心が一つになった瞬間だった。(なおそれに次いで撃ち込まれた7.62弾も同様の結果だったが、地味すぎて誰も気づかなかった)

 

「僕は己の欲望のために、エゴを強化された者だっ!」

「いやしてないが!?」

 

 勝手なことをほざくエイカの言葉に、通信機向こうのテンドウ女史が悲鳴のようなツッコミを入れる。彼女にしても想定外が過ぎるらしい。

 

「なんかするんだったら、我々の都合の良いようにするに決まっているじゃないか。最低でもコントロールは出来るようにするさ。……それはそれとして隊長氏、悪い知らせがある」

「手短に頼む」

 

 ここに来ていやな予感しかしないことを言い出しやがったな。

 

「こっちで何とか彼女のコンディションパラメーターを見ることができるようになったんだが、現在の暴走状態、あれは強化されているんじゃない。簡単に言えばスタミナ、生命力を絞(・)り(・)出(・)し(・)て(・)い(・)る(・)ようなものだ。つまり身体にとんでもない負荷がかかっている。このままだと力尽きて、最悪死ぬな」

「なるほど、悪い知らせだ」

 

 異様なまでに力が増大しているのは、そう言う理由だったか。ならばいずれぶっ倒れて無力化するって事だが、それで死ぬ可能性があるとなれば放っておくわけにもいくまい。ここは多少の無理を押して――

 

「やはり自分が散華するしかないでしょう。隊長、後を頼みます」

「だからやめんか。それにあの様子じゃ起爆装置が凍結して、どの道使い物にならん」

 

 ここぞとばかりに突っ込もうとするトザマを押しとどめる。そもこいつテック使いでもなけりゃジャマーを装備しているわけでもないので、ただ凍らされるだけで終わる。無駄死にはさせられんと言うとろうが。

 てなことをやってたら。

 

「ここはヒーローの見せ場ぁ!」

 

 ずどんと飛び出してきたのはジャスティン。気絶から復帰したようだがダメージが回復したわけでもなく、全身ボロボロで頭からは血を流していた。そのままエイカに飛びかかっていく。

 ここでまだ戦闘を継続しようとする根性は買うが。

 

「鎧袖一触とはこのことかっ!」

「あべしっ!?」

 

 しぱたーんと、一撃ではたき落とされた。そりゃ元々相性が悪い上、エイカは暴走し力を増しており、ジャスティンはダメージを受けてボロボロだ。力の差は歴然としている。こう言う結果にもなろう。

 

「何しに出てきたのかね彼女は」

「ノリと勢いだけで生きてるヤツにその問いは無意味だぜ」

 

 テンドウ女史が唖然とした声で言うが、まあ気持ちは分かる。それは良いとしてどう対策するかだが。

 

「エリーターズ各員、対中型超来訪者のフォーメーションでいくぞ。レフト、ライト分隊で二段構えだ。殺す気で――」

 

 そう指示を下そうとしたとき、閃光が奔った。それはエイカの周囲の氷塊を砕き、彼女は意識を向ける。

 

「僕にプレッシャーをかける!?」

「流石に属性までは無視できないようですわね」

 

 エイカの誰何に答えたのは、レールガンを構えた黄色(イワモト嬢)。現れたのは彼女だけではない。

 

『お待たせしました! 今から参戦します!』

 

 響くテレパス。お嬢に率いられたホープブリケイドが勢揃いしていた。

 良いタイミングだ。分かってるじゃないか。

 

「総員、戦術を組み直す。お嬢、指揮を頼む」

「「「「「了解!」」」」」

 

 小気味よい返答に、俺は笑みを浮かべる。

 さて、反撃開始といくか。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




果たして形勢逆転となるか。
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