ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
『カナさんを中核に! ラウディさんは全力でデバフ! 残りのみんなは手はず通りに! ネクスティスとエリーターズの皆さんは米軍の人たちとデバフの効果範囲外まで退避してください!』
矢継ぎ早に指示を飛ばすお嬢。
「やっぱ
俺の呟くような言葉に応えたのは、エイカを追っていたミナセ嬢の通信だ。
「そうですね、自分のデバフも通用しませんでした。同属性も無効化されるようです」
弱点である属性以外は通用しないらしい。ミナセ嬢の言葉をレフト4が次ぐ。
「無属性も同様ですな。レフト6もデバフが通用せず拗ねてるようで」
「拗ねてないよ!? 僕拗ねらせたら大したもんだ!」
「分かったら米兵下がらせろ。巻き込まれんぞ」
言葉を交わしつつ俺も後退する。回復力を強化しているとは言え、肋骨の罅はまだ完全に癒えていない。この状態でも戦闘できんことはないが、そこまで無理を押すところじゃなかろう。
後は主人公に任せるさ。
『任されました!』
「いや何も言ってないが」
『心の声が聞こえた気がしたので』
こえーよお嬢。テレパスなんて能力が使えてるんだからしゃれになってねえよ。内心ちょっと引いてる俺をよそ目に、戦況は動く。
『さあて、耳かっぽじって良く聞きやがれ! アタイの
瓦礫の上に登ったラウディが、エレキギターをかき鳴らす。ぎりぎりまでエイカの行動を阻害していたネクスティスの連中が、効果範囲外に逃れた。
それと同時にエイカを襲うプレッシャー。ジャマーとは違う、属性の乗ったシャウトが全ての能力を低下させる。
「いただきますわ!」
間髪入れず黄色がレールガンを連射し――ながら駆け出した。おいちょっと待てまさか。
「当たらなければどうと言うことは無い!」
殺到するレールガンの弾幕を、獣のような動きで回避するエイカ。いつもなら踊るようにスタイリッシュに回避するはずだ。マスクの影響もあるだろうが、デバフの効果も動きを阻害しているのだろう。それは黄色――イワモト嬢に付け入る隙を与える。
「女のロマンはっ! ゼロ距離射撃でしてよっ!」
槍のようにレールガンを構えて突撃するイワモト嬢。彼女の悪癖、ここぞと言うときになぜか至近距離でとどめを刺そうとする意味不明な行動だが、相性の良い相手、しかもデバフによって能力が低下している場合には絶大な効果を発揮する。
……場合もある。
無理な回避により体勢を崩したエイカの懐に飛び込む。そのままレールガンの砲口を腹に叩き込んで――
「なんとぉっ!」
崩れた体勢から無理矢理身体をねじるように砲口を回避するエイカ。だが同時にぶっ放されたレールガンの衝撃波までは防げず、吹っ飛ばされる。
「ここで追撃のぉ、セカンドレールガンっ!」
淀みなく後を追うイワモト嬢は、再びレールガンを叩き込もうとする。
しかし。
「見えるっ! そこぉ!」
吹っ飛ばされながらもM500を撃つエイカ。その狙いは、レールガンの先端。
「くぅっ!?」
500マグナムの弾丸は、頑強に作られているレールガンを破壊するには到らなかったが、その衝撃はイワモト嬢の突撃を押しとどめるには十分だった。弾き飛ばされそうになったレールガンを構え直した時には、すでにエイカは距離を取っている。
そのまま離脱――しようとしたらば。
「おねえちゃん、ナッコーっ!」
『効くとは思えないけどねっ!』
……いやな、近接戦に持ち込めば逃げられにくいってのは分かるんだよ。けど黄色と言い、君らね。
姉のマグナックルとカティナの鋏が絶妙な時間差で襲いかかる。普通なら避けきれないタイミングだが。
「僕の命の見積もりが低かったと証明せねばなっ!」
旋風のようにエイカが動く。下からすくい上げるような回し蹴りでカティナ攻撃を弾き飛ばし、モデロ6を姉に向けて撃つ。反撃を受けた二人は「くぅっ」とか呻きつつかろうじて防御。そしてその隙にねじ込むように黄色が三度の突撃を敢行する。
「わたくし結構しつこくてよ!」
タイミングは悪くないんだが、やってることはさっきと同じだ。そんなもんエイカに通じるはずもない。案の定回避され反撃を喰らっていた。
エイカの足止めはできちゃあいるんだが、3人とも
「なんであの子達
訝しげに眉を寄せるトザマ。そう、あの3人はラウディのデバフが自分たちにも影響を及ぼすと分かっていて、接近戦をやっているのだ。カザマツリとカティナは接近戦専門なのでまだ足止めとして分からんでもないが、黄色。お前黄色。
『いえ、
お嬢のテレパスが響いた。つまりこの状況、嬢が画策したとおり、と言うことか?
「何を企んでる?」
『一つは……
お嬢が告げると同時に、すぐ側で突然気配が現れた。
『ちょ、ちょっと……人使い……荒くない……?』
ゼーハーゼーハー荒い息を吐いているのは、ズタボロになったジャスティンを担いだグラジア。なるほど、彼女にジャスティンを救出させるため、エイカの注意を逸らしたのか。気配を消せる彼女ならではの役割だ。
『そしてもう一つ』
お嬢が不敵な声を出せば、少し離れたところで爆発的なテックの気配が生じた。
だが、これは……?
本来の主人公チームがまともに戦ってる珍しい展開。