ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

179 / 179
強化というテコ入れはありがち
1


 

 

 

 

 

 納得できない終わり方ではあったが、ともかくあほな騒動は終わりを告げた。

 幸いにして、GSとしては被害がほとんど無い。暴走したとはいえ、ただ単に俺の目の前で格好つけたかっただけのエイカは、訓練場の外に出ることなく、また本能的に手加減もしていた。怪我人くらいは出たが、まあそれは普通の訓練でもよくあるレベルに押さえられている。不幸中の幸いと言ったところか。

 その代わりと言っちゃあ何だが、エイカ本人は散々な目に遭った。

 具体的にはベルセルククリニック送り。健康以外の色々なモノが犠牲になったようだ。加えてテンドウ女史が原因解明のために徹底した調(・)査(・)を行ったらしい。詳細は察するにあまりある。

 ……確かに加害者なんだが、同時に被害者でもあるし受けた仕打ちがあまりにもあまりなんでちょっとかわいそうになってきた。今度一杯おごってやるか。

 で、やらかしたもう片方、テンドウ女史の方はと言うと、事後速攻で各方面に土下座行脚を行い、自(・)費(・)で(・)各損害の賠償や損失の補填、武器弾薬の費用をしばらく持った上で、お詫びの品の爆撃を敢行してきた。米兵中隊にはビールやら何やらトン単位である。俺にも見たことのないような銘柄のバカ高そうな酒送りつけてきやがった。ここまでやられると溜飲を下げるしかない。彼女が原因ではあるが予想外の事故ではあるのだし、いつまでも引きずるものでもなかろう。

 

「人死にが出なかっただけマシな騒動だろ。そうそうなんでも上手いことはいかんさ」

 

 肩をすくめて俺は言った。今回のことは戦力底上げの試み、その一端だ。失敗することもあると割り切って考えた方が良い。

 

「まあクラハムさんも能力の向上を図りたいという思惑はあったみたいですね。焦りというか、貴方にアピールしたくて」

 

 くすりと笑いながら言うのはナガバヤシ先生。ちょっとした野暮用があって彼女のもとに顔を出しに来ている。

 

「確かに頼りがいのあるに越したことはないが、なんかズレてんなあいつ」

「いつものことじゃないですか。……それで? 今回は何が聞きたいんです?」

 

 先生に促された俺は、当初の目的を果たすことにした。

 

「テンドウ女史からある程度のデータは受け取ってると思うが……今回の暴走、何(・)ら(・)か(・)の(・)手(・)段(・)で(・)、似(・)た(・)よ(・)う(・)な(・)こ(・)と(・)は(・)出(・)来(・)そ(・)う(・)か(・)?」

 

 あのあまりにも強力な力。元がトップクラスのテック使いだったとは言え、何もかもが桁外れだった。

 性質は違うが、どこぞの化け物(カントウ・メガ)にも迫るほどの。

 すう、と先生の目が細まった。

 

「切(・)り(・)札(・)として考えられると?」

「どうしようもない最後の最後、的なモノならな。ネクストテクニクスも技術そのものは封印したとはいえ、アプローチとして考えないはずはなかろうよ。俺たちの方でも一考しておくべきかと思ってね」

 

 自分たちが使わなくとも誰かが似たような手段を使う可能性は十分にあった。そのときの対策も必要になる。

 ん~、と考えた先生は、ややあって話を続けた。

 

「……いくつか考えられますね。インプラント、ホルモン等薬物の投与、催眠暗示。けどどれもデータで見た出力に届くかは、疑問」

「あれほどの効果は期待できないということか」

「手段を選ばない、それこそ本格的な人体改造を施せば可能性はある。けれどもそれはあくまで可能性であって、確実性はないですね。それにそこまで改造したら、寿命を著しく……どころかほとんど使い捨て。その場限りのモノに成り下がるでしょう。上位テック使いをそんな風に扱うとか、ナンセンスにもほどがある」

 

 手軽さを求めれば性能面で折り合いがつかず、能力だけを追求すれば実現の可能性はあるが、実用的ではない。その上ナガバヤシ先生クラスの技術を持たなければ、まず不可能な施術。手段として使える物ではなさそうだ。

 

「やはりそうそう上手い話はない、か。……しかしそうなると、カントウ・メガ、あ(・)り(・)ゃ(・)何(・)だ(・)?」

 

 前々から思っていた疑問が、つい口から漏れ出る。上位テック使いを使い捨て前提で魔改造して、やっと追いつけるかどうかという存在。テック使いとして隔絶しすぎた……いや、テ(・)ッ(・)ク(・)使(・)い(・)な(・)の(・)か(・)ど(・)う(・)か(・)も(・)怪(・)し(・)い(・)人(・)物(・)。その力の根源は全く解明されていない。

 だが、俺はヤツの力にどこか既視感があった。最低でも同じようなテックには心当たりがないというのに、何かが引っかかっている。それがどうにももどかしい。

 俺の疑問に、先生は眉を寄せた。

 

「正直私もデータでしか知らないから、確たることは言えませんね。ただ、さっき言った強化手段を用いているわけではなさそう、って推測は出来ます」 

「その心は?」

「まず簡易的な手段ではあの域に至れない。次に本格的な強化なら、そも貴方と交戦した次点でメッキがはがれるでしょう。いくら強力でもその場限りの使い捨てに、貴方が手こずるとは思えませんから」

「エイカの件から考えるに、そうとも言えんがね」

 

 買いかぶりに近い評価に、俺は苦笑した。実際カントウ・メガにもエイカにも苦戦したわけだし。

 ともかくアレに関しては、先生の思いつく強化手段を施されているわけではなさそうだ。

 

「じゃあ何が思いつく? 俺はどうにもアレの力に既視感がある。だがそれが何を連想させるのかが分からん。先生はどう見る」

 

 俺の問いに、またもや考え込む先生。

 

「難しいことを聞きますね。まともなテック使いじゃないと言うことは分かるけど、じゃあ何だと言われれば答えに詰まりますよ。解剖すれば分かるかも知れませんが」

 

 肩をすくめる。そりゃ実際相対したわけでもないのに、どうのこうのは言えんわな。愚問だったとちょい反省。

 

「すまんな、つまらんことを聞いた。アレとテック強化については別アプローチで考えるさ」

 

 そう言うと、先生はにっこり笑った。

 

「通常の強化処理ならすぐにでも出来ますよ? やっときます?」

「おまけみたいなノリで強化手術勧めんなや」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どくたーヤエに聞いてみて!
聞いてみた。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

初期実装☆2盾キャラ(人権)の話(作者:POTROT)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

サービス開始から3年くらい経ってインフレもそこそこ進んだけど、未だに強くて殆どのパーティに採用されてるような低レアキャラが、とんでもない味方達に囲まれて苦労する話。


総合評価:26654/評価:8.77/完結:29話/更新日時:2026年06月06日(土) 22:41 小説情報

可愛い銀髪美少女天使カードとして転生した私、マスターを導く(作者:にゃっとう)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

DCG風TCG販促アニメ的な世界に美少女カードとして転生した俺……もとい私。▼暗躍する教団組織に神殿で祀られるレベルの激ヤバいわくつきカードだったがために当初こそ自由には動けなかったものの、生贄にされかけた少女と共に脱走を決行!▼晴れて自由の身になった私は少女をマスターに定め、カードゲームの強さがすべてを決める世界を共に生き抜いてきた……のだが。▼「デュエル…


総合評価:15133/評価:8.78/連載:81話/更新日時:2026年10月24日(土) 12:27 小説情報

恋愛要素ありの死にゲーに転生して鉈を振り回す転生者(作者:エヴォルヴ)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

エロゲーとギャルゲーの皮を被った死にゲーと名高いゲームの世界に転生した男。▼最大コンテンツたるハクスラ(最大コンテンツではない)とメインヒロイン(ヒロインではない)と導きのメインウェポンに脳を焼き尽くされた男は恋愛要素など知ったことではないと言わんばかりに突き進む。▼え?関わってきた人達の好感度ですか?(彼にとっては)知らない子ですね。子ではない?じゃあ、そ…


総合評価:17461/評価:8.28/連載:108話/更新日時:2026年10月01日(木) 21:40 小説情報

ディストピアゲーに転生したら行政側だった件について(作者:我等の優雅なりし様を見るや?)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

ディストピアゲーに転生したら圧政する側だった主人公の話。▼プロット、及び設定を修正する為に一時更新停止→更新再開▼小説家になろう、カクヨムでも連載中▼


総合評価:53582/評価:8.86/連載:48話/更新日時:2026年10月28日(水) 00:35 小説情報

【2巻発売中!】スレ主がダンジョンアタックする話(作者:ゲスト047562)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

【2/17 ②巻発売!】▼【DAG】ワイ将、ダンジョンアタッカーの資格獲得するwww【特攻野郎】▼ネットの掲示板でとあるスレッドが立ち上がった。▼スレ民はそんなスレ主を煽ったり心配したり、スレや配信でワチャワチャしながらダンジョンに潜っていく。▼スレ主が国内どころか、世界を揺るがす大騒動の中心になるのは、まだ先の話。▼小説家になろう、カクヨムでも連載中。▼カ…


総合評価:17158/評価:8.37/連載:191話/更新日時:2026年10月30日(金) 17:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>