ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
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GS本部にて、俺は事の顛末を報告していた。
「……以上になります。これからこういうことは増えるかと推測されますが」
「でしょうね。多分
代表は鼻を鳴らして不機嫌さを隠そうともしない。余計な仕事を増やしやがってとか思っているのだろう。俺も全く同意見だ。
「あ~のぽんぽこ詐欺師、あえてお嬢ちゃんを餌に呼び込んでるんじゃないでしょうね?」
「さすがにそれは……やらないと言えないところがなんとも」
ぽんぽこ詐欺師とは言い得て妙だ。異世界対策機構日本支部長は、ふくふくとしてコミカルな、穏やかおもしろおじさんにしか見えない人物だが、その実態はかなりやり手である。目的のためなら身内や自身を餌にすることなど、平気でやりかねない。
目的があれば、の話だが。
「この地に不適切な勢力を呼び込むことで、異世界対策機構に利が生じれば遠慮なくやるでしょう。自分にはそれが思いつかないので、無いと判断しますが」
「こっちには理解できない理由があるかも知れない。……とか疑ってたらきりがないわね。今回は見た目通りの理由……お嬢ちゃんを狙った勢力の排除、と見ておきましょうか」
支部長の腹を探るのは疑心暗鬼になる。代表はそう判断したようだ。ため息を吐いてから、彼女は身を乗り出し問うてくる。
「それで、アンタは
俺はその問いにこう答えた。
「彼女は軍にとって『使いどころのない名刀』と言ったところでしょうね。
お嬢のテック、天の眼は、確かに現場指揮官としては最上と言える能力だ。軍系列の勢力から見れば垂涎の的……のように見える。
しかし各種装備やシステムを揃えることで、似たような情報網を構築することは可能だ。当然コストはかかるが、逆に言えば
彼女の能力で指揮が可能なのは、精々が歩兵1個大隊程度。高位のテック使いを揃えればかなりの戦力になるだろうが、代用のシステムを使って3倍の戦力を揃えれば事足りる。そして彼女を討ち取ってしまえば、天の眼に頼った戦術は瓦解してしまう。リスクを考えると、実戦投入は難しかろう。
加えて
要するに、
異世界対策機構とも何らかの取引があったのだろう。封印都市で彼女が活動したデータの提供とかな。そのあたりは、あの狸親父が暗躍したに違いない。
「命の危険はあれど、ダンジョンに潜って調査を行う方がよほど有意義でしょうね。さすがは世界の危機と相対して50年といったところでしょうか。人材の使いどころが分かっている」
「あのぽんぽこ詐欺師が中間管理職ってだけで、油断ならない組織だってのは承知の上よ。……それで、こっちで確保した遺体と機材から、何か分かった?」
代表もデータに目を通しているのだろうが、俺の私見を交えた報告が聞きたいのだろう。それに応える。
「DNAデータ、パワードスーツの製造番号。その他諸々全てが抹消されていましたね。スーツの形式や装備品などは東側のものに思えますが、西側でも入手可能なものばかりですので断定はできません。我が国と米国ではないと思いますが」
「その心は?」
「
「……そのあたり、
「異世界対策機構とは協力関係を維持したいところです。
「現場レベルではともかく、組織としての思惑はどうかしら。今のところ互いに利があるから手を組めるでしょうけど」
代表は溜息を吐く。うちの組織はただの治安維持組織―-警察の代替的な存在ではない。その本来の目的から考えれば異世界対策機構とは、ある部分では協力し合えるし、またある部分では反目しあうだろう。俺としては余計な敵を作りたいわけではないので、協力し合えるんならそうしたいところだ。
「……そうね、現場レベルでも各クランとすり合わせをしておきたいわ。頼める? ワタシは支部長と話をしておくわ。……気が進まないけれど」
再びのため息。あの御仁と腹の探り合いをするのはさぞ疲れることだろう。
……俺の方も一筋縄ではいかんだろうなあ。
「ホープブリゲイドおよび、彼女らと協力関係を結んだことのあるクランの代表者を招集して、対話の席を設けようと思います」
「お互い、胃が痛くなりそうね」
確かに。俺と代表は、揃って溜息を吐いた。
お嬢が軍に抱え込まれなかった理由。