ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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 しばしの沈黙。そして。

 

「おいおい、オレらを甘く見てねェかァ? 狙われたところで返り討ちにしてやんヨ」

 

 カワサキ嬢は嘲笑うが、他の全員は押し黙った。

 

「……いやオメェら、なんで黙る?」

 

 訝しげに問うカワサキ嬢だが、それに応えたのは、真剣な表情をしたナガバヤシ先生だった。

 

「確かに我々、クランのトップであればそれなりに対処できるでしょう。ですが()()()()()()はどうでしょうか」

「……あっ」

 

 カワサキ嬢もやっと気づいたようだ。ここに集った連中が率いるクランは、ホープブリゲイドを除いてどれも大手。それぞれ結構な数の構成員を抱えている。その多くが低位のテック使いだ。

 そしてそいつらは、なんかあっちゃあつまらない騒動を起こすアホの子が大半である。キノコタケノコで争うとか粒あんこしあんで争うとか。ついでに検体になれ、なると言え!とかやる。なんか美味しそうな餌吊り下げてたらホイホイ付いていきそうだった。

 

「言われてみりゃァ、そうだった……」

 

 カワサキ嬢が頭を抱えた。柄の悪いヤンキーに見えてもクランの長。それなりに頭は回るしそれなりに苦労もしている。構成員のやらかしを尻拭いするなんてのはしょっちゅうだ。思い当たることは多いだろう。

 けどそれだけじゃないんだよなあ。

 

「構成員のことばかり心配している場合じゃないぞ。お前さん方も他人事じゃないんだから」

「我らにも直接干渉があると? 先のカワサキ嬢の言い分ではないが、それは流石に無謀であろう」

 

 アルトウ嬢がむっとして言うが。

 

()()()()()()()()()()()どうするよ」

 

 オレはバッサリとぶった切り、「あ」と間の抜けた声が上がる。

 そう、彼女ら自身にいくら強者としての自負があろうが、構成員はそうじゃない。そして彼女らはどんなアホの子でも構成員を見捨てられないくらいには責任感もある。そりゃ搦め手考えるだろうよ。

 分かってた人間、理解した人間。全員揃ってう~むと唸る。

 

「高位のテック使いは扱いにくいだろ……っていう()()が通用したら、拉致監禁なんてやらねえわなあ……」

 

 ギンボシ女史の言葉が、彼女らの心境を表していた。

 大体大国はテック使いを軍事利用しているが、高位のテック使いは能力が高くなるのと正比例して我が強くなる傾向にある。当然ながら軍隊という組織と折り合いが付かなくなり、出奔すると言うことは多く見られた。うちのスペシャルズやギンボシ女史などはその類いだ。

 ともかく、高位テック使いは軍人として扱いづらいというのは軍事関係者の中では常識である。もちろん各国切り札的な存在として抱え込んでいるが、それも決して多くはない。 そも軍人やるより探索者やった方が自由だし圧倒的に儲けられるじゃない。と言う身も蓋もない事実があった。

 だから余計に高位のテック使いは軍や公共機関に入りたがらない。俺からすれば軍隊は色々規律が厳しいんで遠慮するけど、GSとか給料安定してるし経費で銃撃ち放題だし最高か。ってなるが、少数派だ。

 だがどこの世界にも、大艦巨砲主義というか、強いテック使いを集めれば最強の軍隊が作れる!とか夢見てる人間がいる。この間の連中の裏にいるのはそういう輩だろう。お嬢という指揮チートを狙ったって時点でちょびっとだけ頭が回るのだろうが、目くそ鼻くそだ。

 今になってそういう輩が動き出した理由は分からんが、実働部隊が一つ二つ潰れた程度で諦めるとは思えん。しばらくは動けないとはいえ油断は禁物。同様に、似たような主義主張で動く連中は虎視眈々と機会を窺うだろう。全くもって油断のならない状況になってきた。そういうことだ。

 

「だからこそGSや異世界対策機と協力関係にあるクランに声をかけて、相互協力や情報の共有をしようと言うことさ。全てのクランに声をかけるってのは非効率だし、有力なクランがそう言った互助関係を作り上げれば、便乗する連中も出てくる。一つ協力してくれないか」

 

 別段、全ての探索者やテック使いを手助けしようとか考えていない。ある程度相互協力して自衛する意識を持たせて、GS(俺ら)の手間を省こうというわけだ。探索者は登録制だが、公的な互助組織はないので、こう言った場合取れる手段は限られてくる。()()()()()()()()()部分はあるんだが、これから先はそうも言っていられないかも知れん。 

 さてどう説き伏せようかと思っていたら、控えめに挙手する人間がいた。 

 

「あの、付き添いで来ただけですが、意見よろしいでしょうか」

「別に構わんが、どうした?」

 

 手を上げたのは蒼の子、ミナセ嬢だ。俺に促されて、彼女は淡々と言う。

 

「今までの話を聞いてて思ったんですが。……この中で一番狙われそうなのって、()()()()()()()()()()()()?」

 

 ……はい?

 俺はちょっと唖然。しかし集った連中は『おお!』と声を上げた。

 

「そうよねえ。何しろ単一テックだけで封印都市の上澄みテック使いやってるもんねえ」

 

 確かにそうだが?

 

「理論上鍛え上げりゃあできるって生き証人だ。そのノウハウだけで千金の値ってヤツだろうよ」

 

 いや頑張ったけどさ?

 

「…………」

「低位のテック使いを鍛え上げて指折りの実戦部隊を作り上げた実績もあると、頭目は申しております」

 

 必要に迫られてだけどね?

 

「ちょっと検体になってくれませんか? なに解剖(バラ)してもちゃんと戻します」

 

 多分あんたらと何一つ変わらないと思いますが?

 

「つーか増強使うだけで走ってるバイクに追いつくとか、明らかにおかしいだろおめェ」

 

 君も似たようなことするじゃん?

 

「精神性、技術、戦術。どれ一つとっても一流と言って過言ではないしな」

 

 そうならなきゃいけなかったわけなんだが?

 

「テック戦力の底上げ、と言う点では肩を並べる者はあるまいよ。むしろ大国の軍でも欲しがるのでは?」

 

 そこまで?

 

「はっきり言って、私よりよほど求められる人材じゃないかな」

 

 そう言われればそうかも知れないけどさ?

 

 

 ……あれ? ……あれ!?

 

 

 ……あっっっれェ!!??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読者様に予想されていた隊長の現状w
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