ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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 で、数日後。

 

『遠路はるばるノコノコとやって来やがったなファッキンキッドども。歓迎しよう』

 

 米国から送られてきた者たちを前に、フェバリット女史が英語で声をかけている。

 居並ぶのは2種。一方は強化フレームと重装備を纏った歩兵部隊。もう一方は厳重に拘束されたテック使いらしき集団だ。歩兵の方は緊張した面持ちで、テック使いの連中は殺しそうな目でフェバリット女史を睨め付けていた。

 

『貴様らのやるべき事は分かっているな? 貴様らはここで叩きのめされ這いつくばり、自分が便所虫以下の塵屑だと言うことを徹底的に理解して貰う。ご大層なオモチャやちゃちな手品など、糞の役にも立たないことを身体で覚えろ』

 

 しっかし口悪いなあ。俺は仕事の関係上、一応英語は使える。だからフェバリット女史が話してる内容も分かるんだが……鬼軍曹かな?

 

「隊長、歩兵の装備って最新の物ですよね」

 

 俺の隣に立っているライト4が小声で尋ねてきた。

 

「ああ、【AAU11】。最近米軍で配備されるようになった歩兵火器(アサルトユニット)だ。22口径極細弾(ニードル)を使用する本体に、多機能サイトを兼ねた複合センサーユニット、対ドローン用レーザー発信器、12番ゲージショットガンを兼ねたマイクログレネードランチャー。てんこ盛りの装備だが、その分重量もかさむ。強化フレーム無しじゃ使いたい代物じゃないな」

 

 俺の前世には存在しなかった、いかにも未来武器といった様相の火器である。てんこ盛りの機能は単なる自動小銃(アサルトライフル)のカテゴリーから外れ、アサルトユニットと称されるような物となった。

 強化フレーム、所謂ロボットスーツと呼ばれる物に近い強化装置を身につけて運用することを前提としたものだ。正直あんなに電子装備を付けて実践で役に立つのかとも思うが、スペック上は強力な電子妨害にも耐え、過酷な状況でも運用できるとされている。

 まあ実戦部隊に配備して実用性を確かめてみようという思惑なんだろう。テック使いに対してどれだけ通用するか。そう言ったことも試されているとみた。

 

「あんなごてごてしい装備って、いるんでしょうか~」

 

 のんびりした声を上げるのはライト4の隣に立つ人物。黒スーツとサングラスが死ぬほど似合っていない見た目ほんわか系、ライト6だ。

 

「兵力の底上げって意味じゃ、間違いじゃない。テック使いに通じるかどうかは使い方次第だな」

「その使い方を教えてくれ、って事なんでしょうかね~」

「歩兵に関してはそうだろうな。恐らく最近編成された、新規の兵力だろう」

 

 最新装備を扱うことを叩き込まれた兵士。もちろん通常の訓練を受け、そこから選抜されたのだと推測される。もしかしたら低位のテック使いも混じっているかも知れない。新たな対テック戦術の模索。この国に送り込まれたのはそれが目的かね。

 多分彼らは人格的、性質的に問題はあるまい。

 問題があるのは。

 

『……ごちゃごちゃうっせえなあビッチ。こんなサルの島までつれてきて、アタイらになにさせよってんだい』

 

 ブロークンイングリッシュで言ったのは、パンクロッカー風の格好をした髪を七色に染めている女。ぶいっとい首輪と手錠を付けられているが、GPSやら自爆装置やらを内蔵した物だろう。犯罪者かそれに類する危険人物、と言うことだ。

 

『かよわいうちに大したことはできないと思うんですけどー。これってきょーせーろーどーでパワハラー?』

 

 こちらはチューブトップにミニスカ網タイツ、ハーフコートを肩出しで着崩したお水風の女。もちろん首輪手錠付きだ。

 

『うふふ、つまり呪われたいのね。ああ、忌々しくて妬ましい……』

 

 お次はスエットの上下にざんばら髪の、引きこもり風。伸ばし放題にして垂れ下がった前髪の隙間から、恨みがましい目を向けている。

 ここまでは普通になんかやらかしそうな雰囲気だ。しかし最後の人物はというと。

 

『納得がいかん! この私が何をしたというのだ!』

 

 え~、格好から言うと、カラフルな全身タイツに目元を隠したマスクの女。

 要するに、アメコミのヒーローみたいな格好をした人物だった。まあある意味やらかしそうではあるが。

 いきり立つその人物に、呆れた様子のフェバリット女史が言う。

 

『自覚無しとは脳に重大な欠陥でもあるのか貴様は。貴様がヒーロー気取って行った破壊活動。ヴィラン気取ったドブカスどもだけならまだしも、居合わせた警官隊、周囲の一般市民、その他諸々。どれだけの被害が出たと思っている』

 

 その言葉に、ヒーローっぽい女はふっ、となにやら格好を付けて答えた。

 

『丁度良い。この国に習って東洋の言葉で説明してやろう。ブッディストの言葉に、鬼に会うては鬼を斬り、仏に会うては仏を斬る、と言うものがあるという』

 

 どうやら行き過ぎた正義漢(漢という言葉がこの場合適切かどうかは置いておく)らしい。己の正義に酔っ払っているタイプか。

 とか思ってたら、女はくわっと目を見開いてこう吠えた。

 

『つまり! 目の前に立ち塞がる者は全殺しOKというブッダの教え! 我が前に立ち塞がり我が正義を邪魔する存在は全て悪! ブッディスト的宗教観でもそれは正しいと証明されている!』

 

 正義漢なんかじゃなかった。

 ただの狂人だった。

 ……ふむ。

 

「なるほど。これが米国か」

「違いマスヨ違いマスカラネ!?」

 

 得心した俺の呟きに、フェバリット女史が全力でツッコんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




米国って、こんな感じでは(偏見)
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