ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
『『は?』』
吹っ飛ばされて昏倒したパンク女を見て唖然とする2人。そして。
『ぺぐぎゃっ!?』
棒立ちになっていたお水も吹っ飛ばされる。遅れてドン……ドン……という
そう、俺は前もって、演習場にスナイパーを潜ませていた。使わせた得物は【バレットM82A3】。模擬弾とは言え12.7ミリの不意打ちは、高位テック使いでも一発で意識を飛ばす。
後は引きこもりだけ……と?
『……降伏しまーす』
見れば彼女はぺたんと座り込み、いつの間に用意したのか小さな白旗を左手でパタパタ振っている。
ふむ。
「はいどーん」
すぱぁんと豪快な打撃音が響き、引きこもりも吹っ飛ぶ。白旗とワイヤー付きナイフがこぼれ落ちた。
『降伏するって言ったのにぃ!?』
悲鳴を上げて彼女も倒れ伏す。 あいにくだが、
3人が意識を飛ばしているのを確認し、サングラスのインカム越しに言葉を放つ。
「良い仕事だライト5」
「……あざっす」
短く帰ってくる返事。彼女は寡黙な職人肌の人間だ。淡々と仕事を果たす。
「そっちはもう良い、撤収してくれ。ご苦労だった」
「……りょ」
こういう隠し球が使えるのは1回だけだ。最早潜ませている意味は無い。どういう人間が来るか分からなかったので一応用意だけはさせてもらってたんだが、早速役に立つとはね。
さてこっちはこれでいい。蒼の子の方はどうなってるか。
『ぐはぁっ! ば、ばかな、こんなばかなァ!』
『どうしました。貴女はヒーローなのでしょう? この程度で音を上げるというのですか』
やっとるねえ。テックの出力はヒーロー女の方が上だが、彼女は攻撃属性なのに対しミナセ嬢は技量属性。相性が悪い上にデバフ付きだ。結果一方的に圧倒されている。
『立ちなさい。立たないというのであれば……
豚 の よ う な 悲 鳴 を 上 げ な さ い』
『ぴぃぎゃああああああああ!!』
それにしてもあの蒼の子、ノリノリである。
こうして、初戦は俺達の圧勝で終わった。
『『『『納得いかねええええ!!』』』』
意識を取り戻してからライト6の治療を受けつつ、4人は声を張り上げた。
『ひっきょお! お前ら超卑怯! なんだよ2人だけのはずだろずっけえぞ!!』
パンク女が吠え、残りの3人がうんうん頷く。この程度の策で言われてもなあ。
『誰が2人だけだって言った? それにそこのヒーロー女は蒼の子が真正面から相手してやったじゃないか。何が不服だ』
『それはそうだが、その、もうちょっとこう、あるだろぉ!?』
『あ?』
『ぴぃ!』
文句を言うヒーロー女だが、蒼の子に無表情の視線を向けられて小さく悲鳴を上げる。ちょっとトラウマになりかけてるようだ。
と、今まで口を挟まなかった代表が、4人に語りかけた。
『要するに、真正面から小細工無しで正々堂々と勝負しろ、と言いたいのね?』
もちろん代表も流暢な英語だ。彼女の言葉にヒーロ女が激しく頷く。
『そ、そうだ! 我が真価は小細工無しの真っ向勝負にて発揮される! それを見ずして私の何を理解できるというのだ!』
『『『そーだそーだ!!』』』
主張を述べるヒーロー女。便乗する
『だったらおあつらえの相手を用意するわ』
そうして代表は声を張り上げる。
「先生! せんせーい!」
「どおれ」
現れたのはピチスーにフライトジャケットの女丈夫、大佐だ。彼女の登場に、クランリーダーたちは一斉にうげっとでも言いたげな表情となった。
「大佐けしかけるとか、えっげつない事すんなあ」
ギンボシ女史の言葉が、リーダーたちの心境を如実に表している。そんな背景など知ったことではなく、代表は言葉を紡ぐ。
『彼女はGSで最強とも言えるテック使いよ。もし彼女を倒したら、そうね……貴女たちが無罪放免になるよう、働きかけるわ』
『代表殿! それは越権行為です!』
フェバリット女史が食ってかかるが、代表はすました顔だ。
『大丈夫よ。だってこの娘らに彼女は倒せないもの』
完全に見下した言葉と態度。それに対して4人は激高する。
『『『『やったらあああああ!!』』』』
で。
どがむ、という最早音を超えて衝撃となった爆音が奔った。
嵐のような粉塵と爆風。しばらくしてそれが収まった後に残るのは瓦礫の山。それに半ば埋まった4人が、白目を剥いてびくんびくんいってる。生きてはいるようだ。
ふふんと胸を張る代表。ドヤ顔の大佐。チベットスナギツネの表情となるクランリーダーたち。顎を落として唖然とする米国歩兵部隊。
『なん……なん!? あれ一体何がどうなって!?』
瓦礫の山と俺を交互に見つつ、呻くような声しか出せないフェバリット女史。俺はため息を吐いてから説明する。
『今のは大佐のテック攻撃、【ムスペルヘイムパーティ】。簡単に言えば、
サーモバリック、燃料気化爆弾とは、固体の化合物を気化させることで粉塵と強燃ガスの複合爆鳴気を作り出し、これを爆発させる爆薬である。
ものによるが広範囲に威力を発揮することができ、下手をすれば戦術核並みの破壊力をもたらす。大佐はそれをテックとして運用することが可能だった。今回は死なない程度に手加減してはいる。
『伊達にうちの切り札と呼ばれてるわけじゃない。見ての通り野外であれば、彼女は属性とか関係なく
同時に大佐が探索者をやれない理由でもある。こんなもんダンジョンで使ったら一発で生き埋めだわ。そして下手すりゃダンジョンの自己防衛、自己進化機能が働いてダンジョンの規模が拡大するわ。探索者としては使えないにもほどがあった。
『あの、あれ、敵に回ったらどう対処すれば……?』
おずおず聞いてくるフェバリット女史に対し、俺は投げやりに答えた。
『国防省に連絡入れて、巡航ミサイルで戦術核とかぶち込むしかないんじゃね?』
ゲーム的にはそれほどでもないけれど設定は盛られてるタイプ。
それが大佐。