ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
最初に謝っておく。スマンかった。
ドジった。
シンジュクダンジョン攻略における縄張り争いという名目で、またも騒動を起こした阿呆どもを鎮圧する任務。それ自体は滞りなく終了したんだが、任務を終えて帰還しようとした直前で、何者かの奇襲を受けた。
弾薬を消耗し、さらに幾人かの阿呆の身柄を確保していた俺達は、まともに応戦するより撤退する方を選んだ。そこで俺は殿を受け持ち応戦しながら後退しようとしたのだが。
そしたら最後に車で轢かれたよこんちくしょう! 耐衝撃機能も備えたスーツだから気を失うだけですんだけど、一歩間違えたら死んでたぞ!?
で、気がついたら拉致監禁、拘束されてたってわけだ。
「……まさかお前さんが敵に回るとはな」
椅子に縛り付けられた状態で、俺は下手人に皮肉めいた言葉を投げかけた。
「ふふ、手荒い事をしたのは悪かったよ。でも貴方に敵対する意思はないんだ。それは信じて欲しい」
【クラハム・エイカ】。フリー傭兵を生業とする女性で、ワイシャツにベスト、スラックスという格好と
今まで特に悪事を働いたことはなく、
「遠距離の狙撃で足止めした上で、ハッキングさせた無人の
「それくらいしなければ、貴方の油断は誘えなかったからね。少々高くついたけど、その甲斐はあった」
いけしゃあしゃあと言いやがる。わざわざ
まあそうだとしたら素直に喋るとも思えんが。
「あ、ちなみに誰かの依頼とかじゃないからね。僕が個人的にやったことさ」
「は?」
今なんて? さっぱり分からない事言い出したぞこの女。
「なにどういうこと!?」
「まあそう慌てないで。……そうそう、貴方の銃は回収しておいたよ」
そう言ってテーブルの上に置いた俺の銃を手に取った。
「ふうん……スピードリロードを意識してスライドストップを延長、マガジンキャッチボタンも大型化してるのか」
なめ回すかのように銃を見る。
「高度鋼のカスタムスライド。前後に施された滑り止めのセレーション加工。フレームとのかみ合わせもタイトでガタつきもない」
マガジンを抜き、スライドを幾度か引く。
「スプリングの手応えはしっかりあるのに、動きが軽い。そして引っかかりもない。抵抗を減らすようパーツを選択し、オイルも各所ごとに変えているんだね。そしてトリガーは」
銃を適当に構え、引き金を引いた。かちん、とハンマーが落ちる。
「
うっとりとした表情で銃の解説を行う。この女俺と同等以上のガンマニアで、愛銃は【マテバ・モデロ6 ウニカ】。こいつはリボルバーのくせにオートマチック機構を持つという、ド変態かつマニアックすぎる代物だ。しかもこの女は454カスール弾という大口径の弾丸を使うタイプをチョイスしてやがる。ド変態の上に大艦巨砲主義という救いがたい人物だった。
にしても、何がしたいんだこいつ。
「で、別に俺と銃談義がしたくてかっさらったわけじゃあるまい。何を企んでる」
「もう、せっかちさんだね。……いや、回りくどいやり方じゃ伝わらないか」
彼女は肩をすくめてから銃と中折れ帽をテーブルに置き――
ぷつ、ぷつ、とシャツとベストのボタンを外し始めた。
……はい?
「ちょっとちょっとちょっと!? 何してんの!?」
「脱いでるんだけど」
なんのてらいもためらいもなくそう言ってから、ふと手を止め、ちょっと考え込む仕草をする。
「……下から脱いだ方が良かった?」
「ちがうそうじゃない」
何で脱ぐの!? ねえなんで脱ぐのこの人!? 混乱する俺を余所に、彼女は服を脱ぎながら俺ににじり寄る。
何か目の色が明らかに正気のそれじゃないんですけれどお!?
「お、落ちつけ! 正気に戻れ!」
「これ以上無く正気だとも。……いや正気じゃないのかな? なにしろ
……はい? ……はいぃ!?
「何言ってんの!? ホント何言ってんの!?」
「ぶっちゃけ貴方に劣情を抱いたから性的に喰おうかと」
「色々と飛びすぎだあああああ!!!」
叫んでも状況は変わらない。そうこうしているうちに下着姿になるクラハム。レースが施されたいろっぺえヤツだ。
こいつ普段男装しているんで気づきにくいが、かなりスタイルが良い。こんな状況でなければ大変ありがたけしからん光景なんですがねぇ!!
「何で発情してんだよ痴女かっ!?」
「そうだけど?」
「お前そんなキャラだったか!?」
「堅物を籠絡せんとすれば、痴女にもなろうという物。そうだろう?」
「どういう理屈だあああああ!!??」
「世の中には無理を通せば道理が引っ込むと言う言葉があってね。……まあこの場合、貴方の『無理』で僕の『道理』をこじ開けて貰うわけだけど」
「歯に衣着せろやぁぁぁぁぁ!!」
言ってる間にクラハムは俺の身体にのしかかってくる。ああああああ、柔らかな女体の感触が、肉食獣に舌で舐められているようにしか感じないぃぃぃぃぃ!!!
「
「ルビー! ルビが不穏ー!!」
艶っぽく息を荒げながら、クラハムの手が俺のズボンに伸び――
そのタイミングで、部屋の扉が蹴破られた。
「ここかぁ! 人のモノに手を出そうとはいい度胸だ……あぁ!?」
部屋に飛び込んできたのは、
全員が、時間が止まったかのように動きを止めた。
そして。
「なにやっとんじゃ貴様らああああああ!」
青筋立てた代表がマシンガンを容赦なく乱射。クラハムは瞬時に身を翻してそれを回避……ってちょっとォ!?
「いていていていて弾ー! 弾当たってるううう!!」
「当ててんのよ!」
なんでクラハム狙わないで俺撃ってんだよ! 着てるのは防弾仕様だけど痛いモノは痛いってーの!
ちょっと助けろという視線を手下どもに向けてみれば。
「右の2さん~、なんで目隠しするの~」
「お、お嬢は見ちゃダメっす教育に悪いっす!」
「あ~、そういうこと。なるほど理解した(分かってない)」
「え? 代表ってもしかして……」
「いやありゃ自分の持ち物に手を出されてムカついてるだけだべ」
「これ写真に撮ってたら隊長の弱みにならないかね」
「やめとけ後でしばかれるぞ」
誰一人助けようとしやがらねえ。てめら後で覚えてろよこの野郎。
そうこうしているうちに自分の服とかを手早く回収したクラハムは、シャツだけを羽織った姿で荷物を小脇に抱え、開けた窓枠に飛び乗る。
「ふふ、ここまでと言うことかな。貴方を墜とすには、まだまだ難関を越えなければいけないらしい」
「いけしゃあしゃあとこの泥棒猫が! GSナメってっと火傷じゃ済まさないわよむしろ焼く」
完全にヤンキーの表情で代表が睨め付けるが、クラハムは意に介さずにやりと笑う。
「業火に焼かれても拾う価値のある、火中の栗と言うことか。ならばその業火、見事くぐってみせるとも」
そう言い放って彼女は身を翻す。
「ではしばしの別れだ! また会おう、諸君!」
「下着姿でかっこつけてんじゃないわよ痴女があああああ!!」
窓から飛び出したクラハムを追って代表が駆け寄るが、流石に飛び降りる気はなかったようで地団駄を踏んでいる。
……ってェ!?
「いていていていて! だから何で俺撃つの!?」
「八つ当たりに決まってんでしょこの野郎。簡単にかっさらわれやがって」
容赦なく俺にフルオート叩き込んでくる代表。攫われたのは不可抗力なんですけどだから痛いってば!
代表の八つ当たりは、弾が尽きるまで続いた。
こうして、ただでさえ面倒な状況に、予想外の方向からややこしいのが絡んでくることになった。これによって俺の周囲はさらに混迷を深めていくことになる。
……勘弁してくれませんかねえ。
人物紹介
クラハム・エイカ
漢字で書くと【蔵食 詠歌】。もちろん名前は某気持ち悪い極限ガノタからいただいた。元々この名前ではなかったが、書いてるうちにキャラが暴走してそれっぽい台詞を吐くようになったため、筆者がティンときてこの名前に変えられた。
封印都市でフリーの傭兵を生業とする女性。常日頃男装している格好良い系のお姉さん……だったはずだが、なぜか主人公という存在に脳を焼かれ、彼限定の痴女にクラスチェンジ。ことあるごとに主人公を性的にいただこうとするようになってしまった。どうしてこうなったのかは筆者にも分からない。
人格的にかなりぶっ壊れたが、普段は普通に有能。マニアックなハンドガンを愛用し、最低限の動きと最低限の射撃で事を為す凄腕。そして行動が一々スタイリッシュで格好良い。大口径のハンドガンで精密射撃とか狙撃とかしちゃう。
使っている銃を見て分かるとおり、相当なガンマニア。主人公と熱く銃談義を交わせるド変態貴重な人材。そっち方面から主人公と仲良くなれば良いのに、「銃に対する冒涜だ」と、よく分からないこだわりを見せる。
恋愛脳になったがぽんこつにはならず、むしろその有能さで主人公を追い込んだり周囲の人間を出し抜こうとしたりする。手間も金もかけるため、大体主人公がかっさらわれる羽目になってしまう。もしかしたらイベントなのかも知れない。
外観のイメージは、ゲーム【ペルソナ4】の【白鐘 直斗】。実はスタイルが良いところもモデルと同じ。普段格好良いけど実はちょっと抜けてる……っていう風にしたかったんだけどホントどうしてこうなった。
イメージソングはアニメ【推しの子】2期OP、【ファタール】。
なお普通に主人公へ告白してたら、普通に付き合えてた可能性が高い。
はいそう言うわけでまた続きができてしまいましたが……違うんですよ。なんかライバルキャラっぽいの書くつもりだったんですよ。どうしてこんなことになってしまったんだ。
おかしい主人公と銃の好みで対立するような関係になるはずだったのに、何でいきなりエロ全開になってんでしょうか。筆者の本心がさらけ出されたとでも言うのか。
ともかく、なんか筆者の思惑を易々と乗り越えてきそうなキャラが誕生してしまいました。なんか自分の作品それぞれに一人はいるなこういう奴。癖か性癖なのか。
まあ、思いついたらまた続きができるかも知れませんが……これ、続けて大丈夫なのでしょうか。舵取りができるのかどうかって言う意味で。
漠然と不安を抱きつつ、今回はこの辺で。