ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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 で、瞬く間に時は過ぎて。

 

『総員、配置についた感じですか?』

 

 お嬢のテレパスが飛ぶ。闇オークションが開催される会場を、渦巻く十字団を中心とした襲撃者たちが、密やかに包囲している。

 今回はGSのガサ入れという名目で、件の銃を強奪する予定だ。とは言ってもGSから参加しているのは俺一人。後は渦巻く十字団の主要メンバーと(自称)親衛隊。加えてホープブリケイドからお嬢と緑と黄色。プラス……。

 

「あによ。なんか文句あんの?」

「いや、特にないが……別に今回本部と連絡取り合う必要ないだろ。なんでお前さんいるの」

 

 機動指揮車のドライバーズシートに座っているのは、オペ子こと【タカミ・ツタエ】。開け放ったドアからこちらの方を睨んでる。最早取り繕うことすらせず、彼女はやさぐれた態度で受け答えしていた。

 

「基本運転手よ。この子ら免許持ってないから。それに()()の目付役も頼まれてんの」

 

 彼女が指し示したのは。

 

『なんでアタイこんな所に連れてこられてんだよ』

 

 ふてくされている様子のパンク女。確かに探索者として教練受けてるはずなんだが、どうしてここに居るんだろう。

 

『犯罪組織に対する襲撃のプロだから連れてきました』

『プロっていうか好きにやってただけだっつーの』

 

 ……ん?

 

「お嬢、英語できるようになったのか?」

『いえ、テレパスだと通じるみたいで』

「便利なもんだな」

 

 ご都合主義と言うヤツか。まあ通じるなら何でもいいや。

 

「マウザ嬢、裏手の方も万端だな?」

「ああ。裏手は【ヒラコ】と【ルガワ】が、こっちと反対側は【ワルサワ】が待機している」

 

 いずれもマウザ嬢の側近で渦巻く十字団の主要メンバーだ。マウザ嬢と同じく軍服風のコスプレイヤーだが、有能な高位テック使いでもある。普通に任せていれば、まず間違いは無い、はず。

 目的の会場は、旧世代の体育館かホールを無断借用したもののようだ。一応周囲に警備の人間は配置されているようだが、見たところそれほど質は高くない。

 

『は、楽勝じゃねえか。……アタイ来た意味ホントにねえんじゃねえの』

『気分転換だと思ってよ。こっちに来てなれないことばかりやらされて、ストレスたまってるでしょ?』

『そりゃ確かに好きで強盗してたけどよ……なあんか調子狂うヤツだな』

 

 戸惑う表情を浮かべるパンク女。それを見てニコニコ笑っているお嬢だったが、そんな彼女を不意に後ろから抱きしめる者がいた。

 

『ひろこちゃんはあげません』

「そも貴女のものじゃありませんわよミドリさん」

 

 警戒心バリバリの緑姉と呆れてる黄色。今回お嬢のお守りを担当しているらしい。

 

「ふふ、戦友は人気者であるな」

 

 余裕のある表情のマウザ嬢。後方親友顔というヤツであろうか。

 とにもかくにも、合わせてこれだけの面子が居れば、普通の裏組織くらい軽く制圧できる。問題は相手側に高位テック使いが複数いて、組織的な連携を取られたりすると対処が難しくなると言うところだ。

 そのあたりの確認がそろそろ取れるはずだが……。

 そこで俺のリングコムが着信音を奏でた。立体映像で表示された相手を確認し、通話に出る。

 

「ご苦労様。そちらの様子はどうだ?」

「今のところ問題なしよ。お目当てはまだみたいね」

 

 通話の相手は777マフィアの幹部が一人、【ハルナガ】。ハスキーな声とグラマラスな肢体が魅力的な美人さんである。

 だが男だ。

 

「内部戦力は、そこそこやりそうなのが3人くらいかしらね。手こずりそうなのはそれくらい。あとはそう難しくないわ」

「悪いな、面倒をやらせてる」

「良いわよここで適当に食って帰るし。性的に。……まあそれは冗談として、一応付き合いで顔を出したって言い訳はしとかなきゃいけないしね。気にしないで」

 

 彼女(あえて彼女と言うが)には別組織からの推薦という形で潜入して貰っている。俺たちの襲撃に居合わせることで疑いの目をそらすという意味合いもあると言っているわけだが……できたらついでに男つまみ食いするってのも本心だろ間違いなく。

 

「っ! 来たわ、お目当てよ。結構良い値しているわね」

 

 ハルナガから盗撮された映像が届く。会場のステージ。そこでスポットライトを浴びているのは間違いない、件のC96であった。

 

「マウザ嬢、どうだ?」

「そろそろ総統と呼んでくれ。……間違いないな。我が家の家宝である」

「よし、お嬢!」

「りょーかい! 『各員武器の再チェック! 合図と共に突入――

 

 お嬢のテレパスは最後まで続かなかった。

 どん、と言う轟音が会場とリングコムから響き、通話が雑音だらけになる。

 

「ハルナガ!? おいどうした無事か!?」

「やら……た! 目……ツが、強……たわ!」

 

 雑音混じりの通話から、何らかの襲撃があったと推測。そしてその目的は。

 

「お嬢! 目標変更だ!」

『分かってる! 各員会場から出てくる――

 

 またもやテレパス中に、会場へとバックで飛び込んでくる黒塗りのデリバン。それは入り口をぶち破ってから各所の扉を開放。降りてきた黒ずくめのフルプロテクターを纏った連中が周囲に威嚇射撃を行い、その最中、内部から飛び出してきた同じく黒ずくめが、デリバンの後部から中に飛び込む。僅かだが見えた。奴らがデリバンに持ち込んだのは、件のC96が収められたアクリルケース!

 

「追うぞ! 乗れ!」

 

 俺は手近にいたお嬢とパンク女の襟首をひっつかんでアルトワークスの後部座席へ放り込み、マウザ嬢が助手席に飛び込んだのを確認してドライバーズシートに着きキーをひねる。

 ドアを閉めるのもそこそこに、俺が駆るアルトワークスは、会場から逃亡していくデリバンを追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こうして冒頭に続く。
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