ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
「ご注文の7.63x25mmモーゼル弾です。60発ケースが1ダース。これでよろしおすな?」
「うむ、確かに」
キネコ店長から、注文していた弾丸をまとめて受け取る。やはりこの店に任せると確実だな。
100年ほど前に
キネコ店長は目を細めて言う。
「運がよろしゅおしたなあ。
後ろ暗い連中の癖に気が利く輩だったようだ。稼働状態にあるほうが値が付くからだろうが、粗末に扱わなかったことだけは評価してやろう。
「店長にも世話になった。それに相変わらずいい腕の職人のようだ。このような古い銃まで扱えるとは」
「喜んでましたで。こんなロマンの塊を扱わせてもらえるとは、て」
この店で抱えている職人は、めったに表に出てこない。直接礼を言いたいところであるが、無理強いもできん、か。
「ならば感謝していると伝えておいてほしい。頼む」
「へえ、確かに承りました」
店長に別れを告げ、供を引き受けていたワルサワを連れ店を後にする。
「総統は随分とあの店、いえマネ・キネコ店長を信頼しておられますね」
我より頭二つ分は背の高いワルサワが、落ち着いた声で言う。我はそれに答えた。
「最初は胡散臭いと思っていたのだがな。隊長殿が贔屓にし、戦友が人格を保証する御仁だ。その上で仕事を任せれば確実にして誠実。人は見た目ではないという典型よ。もちろん油断はならんが」
我ら渦巻く十字団のような趣味人集団の無茶ぶりに、よく応えてくれているだけでもありがたいことである。多少の胡散臭さは目をつぶるさ。
「それに胡散臭いという点では、我らも人のことは言えまいよ」
何しろ格好いいからという理由で旧世代のコスプレをし、旧世代の武器を愛用している趣味人集団だ。戦力や効率よりもロマンを取った変人どもと指をさされても仕方あるまい。
……そんな我らすらも霞むとんでもないのが、この街にはうじゃうじゃ存在するのだがな! 変わり者であることには結構自信があったのだが、その自信が揺らぐ日が来るとは思わなんだ。世の中は広い。
「まあすんなりと世界の覇権が取れても面白くない。無理難題を打倒し強敵と切磋琢磨して勝ち取ってこそである。そうは思わんか?」
「然り。我らはロマニストでありますから」
我らが世界の覇権を握ると口にしているのは、ただのノリではない。それぐらい大きな目標をもって生きるべしと思うゆえにだ。
世界はダンジョンの出現によって大きく変わった。多くの国が壊滅的な被害を受け、長く混乱が続いた。その爪痕は現在まで色濃く残り、治安は低空飛行を続けている。
この状況を根本的に改善するには、最大の脅威であるダンジョンを無力化することが必要だ。そしてそれを成すことができた者は、世界に対し大きな
もちろん容易い道ではない。なにしろ我らが挑んでいるシンジュクダンジョンは世界で最も探索が進んでいるといって過言ではないが、それでも未だ底は見えず、無力化など夢のまた夢だ。またダンジョンを資源や知識の宝庫とみなしている勢力もあり、無力化には難色を示すところも多い。
山は高く、頂は見えない。だがそれでこそ、挑みがいがあるというもの。そしてどうせなら、目標か大きいほうがよいではないか。我が世界の覇権を握ると言い出したのは、その程度の理由である。
その程度の理由に賛同し、我についてきた団員たちは実に酔狂者であろう。だがそれが良い。馬鹿は馬鹿らしく、派手に突き進んでやろうではないか。
「さて、明日からまたダンジョン攻略だ。誰よりも先に、誰よりも高い頂を目指すぞ」
「御意」
我が言葉にワルサワが恭しくうなずく。こやつもクールなくせに内面は熱いロマニスト。ほかの団員も似たり寄ったりだ。
このような酔狂者どもを引き連れて、我は征く。
※人物紹介
マウザ・チナ
漢字で書くと【舞坐 智菜】。探索者クラン【
某第三帝国風ミニスカコスプレに眼帯、独特の偉そうな口調と中二病感満載だが、中身も重度の中二病。
重度の中二病ではあるが、その実力とカリスマは確かなものであり、クランのメンバーからは慕われ忠誠をささげられている。そして彼女自身もそれに応えるべく己を高める努力を惜しまないため、さらに信奉を集めるというスパイラルが成立している。なんだこの光の中二病集団。
某第三帝国風の服装や武器を好んでいるが、あくまでも格好いいからであって、かの国の思想ややり口に賛同しているわけではない。「武器や何やらはロマンにあふれているが、やり口のまずさは好かん」とは本人の談。コスプレロマニストと己を評してはばからない。
実家は戦国時代から続く銃職人の家系。太平洋戦争前から国の銃器設計、開発に関わっており、海外にも学びに出るほどの熱意がある。現在でも防衛軍関連企業で銃器の設計開発に携わっているようだ。彼女がマニアなのはそのあたりの環境による影響が大きい。
使用する銃は本文の通りモーゼルM712をベースに再設計しモダナイズしたもの。MP7A1と同じ弾丸を使い、バレルを上下から挟むようにピカティニーレールを備えたスタビライザーを追加。その他本体やグリップも扱いやすいようにデザインが変わっている。
さらに今回の話から実家で家宝扱いされていたC96を追加で使うようになる。こちらはもとのまま無改造。新旧の銃を2挺拳銃で操るようになった彼女のロマン度は跳ね上がった。
なおクラン本拠地にもM712が2挺額入りで飾ってあるが、こちらはチナ本人がまっとうなオークションで競り落としたオリジナル。基本飾る用らしいが、いざというとき使えるよう、整備は怠っていない。
眼帯を愛用しているが特に目に何か支障があるわけでも秘密を抱えているわけでもない。ファッションと己の鍛錬を兼ねたもので、実は時々左右付け替えている。そのためいわば本気を出していない状態だが、本人曰く「いや目が見えるようになったからと言って爆発的に力が上がるとかないわ。視界と距離感が変わる程度であろう。隊長殿なら理解するさ」とのこと。この中二病現実がよく見えている。
おぱんつ見られたくらいでは動じない、むしろ見えて得しただろうと言うくらい男前。
見た目のイメージはゲーム【勝利の女神NIKKE】の【ギロチン】。ちんまりつるぺた。色々ちっこいがヒロコと同年代。イメージソングはゲーム【Dies irae ~Acta est Fabula~ 】オープニング【Gregorio】。
そんなわけで手術前に予約投稿。これが読めるようになってるころには手術が終わっているはずです。
手術直後ですので、さすがに次の投稿は遅れると思います。投稿できない詐欺? 信じれ。