ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
1
薄暗く、だだっ広い通路。
崩れた壁。消えかけ瞬く電灯。どこからともなく響く、したたる水滴や調子の悪い空調の音。
そんな終末感漂う
「なれないことはするもんじゃないな。とはいえ仕事上、放っておくわけにもいかなかったんだが」
自身の感覚と
「多分2階層部分だと思うんだけど、全部見て回ったわけじゃないから、確たることは言えないなあ」
頭を掻いて気を抜いているように見えつつも、しっかり周囲への警戒を怠っていない紅の子こと【アカサカ・ユウカ】。
『ちょっとお、いつになったら外に出られるわけェ? これだから男ってのは……』
英語でぶつくさ言いつつ周囲を警戒(俺も含めて)しているのは、場違いどころじゃない格好のお水――【カティナ】。
「うう……なんか私足手まとい……」
自信なさげに呟く戦闘装備ゴーグルの女性。GS一般隊員でコールサイン【C13】。
もう説明するまでもないとは思うが、現在俺たちは
どうしてこうなったかと……おっと。
「客だ、戦闘準備。『いけるな、お水』
英語混じりで指示を出し、紅の子やC13が得物を構える中、
『誰がお水よ名前で呼びなさいよォ』
『名前で呼んだら呼んだでお前さん不機嫌になるだろうが』……来るぞ」
円陣を組んだ俺たちの周囲から蠢く気配。ややあってのそりのそりと姿を現したのは。
「……【カニ】か。食えりゃ食いでのありそなでかさなんだがな」
物陰かいくつか姿を現したのは、来訪者の一種。カニと称されるそいつらは、もちろん似たような姿をしているだけで、水生生物ではない。それどころか生き物ではないと考えられている。
来訪者と呼ばれるこいつらは、
ダンジョンの中にはこいつらを《産出》するものがいくつか発見されているが、それはどうやら転移装置のようなもので、こいつらを生産しているわけではなさそうだ。どこで生まれ、あるいは生産されているのか一切が不明である。
ただダンジョン内を徘徊し、侵入者に対して攻撃を行う。来訪者とはそういう存在だった。
「奴らの
日本語と英語の両方で言って、俺たちは構えを取ったまま待つ。命令を聞かなさそうなカティナですらも、緊張した面持ちで構えを維持したままだ。
カニは好戦的なタイプではなく、敵を観察して戦闘力が自分たち以下と判断すれば攻撃を仕掛けるが、そうでなければ逃亡する。どうやら偵察のような役割を持たされているらしい。そう考えたら先に仕掛けて、ここで片付けておくべきかも知れないが……。
10匹程度のカニと睨み合う時間が続く。永劫にも思える数秒を経て――
カニの群れはごそごそと物陰に引っ込み、そのまま散り散りに去って行く。完全に警戒範囲から気配が消えたのを確認して、俺は息を吐いた。
「警戒解除。『もう良いぞ』
一斉に息が漏れる。体が姿を現して、攻撃もせず身をさらしたままというのは心理的にかなりのストレスがかかるものだ。だが俺たちには闇雲に仕掛けるわけにも行かないわけがあった。
「残弾に余裕があれば反撃もできるんですけどね」
「あっても
『こういうのって救助が来るまで動かないのがセオリーじゃないのお?』
ぼやくC13と話していれば、意外とまともなことをカティナが問うてきた。
『ここがダンジョン内じゃなきゃな。なんの用意も無く待ちの姿勢してたら、来訪者に集中して襲われる可能性がある。休むんなら安全地帯を確保してからだ』
できれば鍵のかけられる扉がある、破損のない部屋があればいいんだがな。そういった場所は少ないが、大体は探索者用のセーフハウスとして機能している。未発見のものだったとしても、休むくらいはできるだろう。
とはいえ。
(まあ、年貢を納めるのも覚悟しておいた方が良さそうだな)
状況はよろしくない。
改めてどうしてこうなったのか。それは数日前まで遡る。
ついに主人公がダンジョン突入。