ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
教導をひとまず終え、米兵たちを本国に送り返した翌日。俺たちは代表から新たな任務を言い渡されていた。
「
機密保持のため紙の資料に記された概要を読んで、レフト1は眉を顰める。
GSは基本、犯罪組織や反社会勢力的なものを積極的に摘発したりしない。ダンジョンとテック使いの管理に邪魔でなければ放置している。逆に言えば
「この国の常識で考えたら気が狂ってるとしか言いようのない発想ですが……香港あたりからの密入国者なら、やりかねませんな」
資料を読みながら、俺はそう言った。前にも言ったが香港――九龍城は人類と来訪者が共存している……いや、
そんな所だから、犯罪組織やら何やらが乱立している。そう言った連中は国内外に手を伸ばし、コネクションを築いているものだ。もちろん封印都市にもその手は伸びている。だからやらかす人間が出てもおかしくはない。
「ダンジョンからもたらされる富を掠め取る。探索者にちょっかいを出す。どちらが狙いにしても中に拠点があれば便利は便利でしょう。コスパ的に見合うかどうかはともかく」
「向こうの
そう言って代表は皮肉げに唇の端を歪める。
「邪魔よね?」
その言葉は代表個人だけのものではない。GSと言う組織、その背後にある国やスポンサーの意向。最重要課題であるダンジョン攻略および管理の障害となるものは許すまじ。そういったものが乗った言葉だ。
「今回に任務における目標は、目標勢力と拠点の
「場合によっては香港の
「そっちはあたしたちの管轄じゃないけど、そう言うこと。もう警告のレベルは超えてるってのを示すためにも容赦はいらない。髪の毛一本細胞の一欠片も残さないつもりでやんなさい」
国際問題にする気満々だった。昔のこの国であれば外交やら何やら、弱腰とも思える姿勢が多く見られたが、こちらではダンジョン出現以降世間に揉まれまくった上でエネルギー大国としての地位を確たる物にし、加えて鎌倉やら葉隠やら兵子やらのヤベえ血が覚醒しまくったようで、普段は温厚だがナメられたら君が泣くまでついでに銭出せやオランと殴りまくる温厚系武闘派ヤクザ国家と化していた。そも武器の携帯が大した手間もなく普通に許可される時点で、俺の知っている国とは別物である。
「今回は通常部隊も使うわ。A、B、C大隊から選抜した中隊を3つ投入。それぞれの中隊はレフト1から3が仕切りなさい」
合わせて360人を超える規模。これほどの戦力を1度に投入する事など滅多に無い。代表に対して俺は一言。
「大盤振る舞いですな」
「ダンジョン内での大規模作戦行動、経験させておきたいでしょう? それと今回は異世界対策機構に
妥当な判断だ。俺たちGSはダンジョンでの戦闘経験がほとんど無い。が、今回の件ではそうも言っていられない。だからダンジョン対策のプロフェッショナルといえる異世界対策機構の助力を得るのは理にかなっている。
これが終わったら訓練にダンジョンでの活動を加える必要があるな。そう考えつつ言葉を発した。
「任務については了承しました。決行の日時は?」
「5日後。時間は無いけれど最低限の仕上げはしておきなさい」
随分と急な話だ。だが代表は妥協する気はないらしい。
彼女は真剣な表情で、こう告げた。
「丁度良い機会よ、慣れておきなさい。……準備ができていないから何もできませんでしたじゃ、すまされないのだから」
俺とレフト1はその言葉に反論せず、ただ居住まいを正して敬礼を行った。
短い準備期間を経て、仕事の時間がやって来る。
「各員配置についたか?」
「レフト1、Aグループスタンバイ」
「レフト2、Bグループいけますぜ」
「レフト3、Cグループ問題なーし」
インカムから野郎どもの声が響く。シンジュクダンジョンは出入り口となる箇所が多く、また内部も複雑怪奇で、なんの案内もなければ迷うことは確実だ。有志の探索者や関連組織などからの援助である程度設備が整っている箇所はあるが、大半は手つかずのままである。
当然慣れていない
この人たちです。
『私とミドリ、お姉ちゃんがAグループと行動を共にします。今回のミッションでは私のテックの効果範囲を超えますので、主力であるAグループの直接指揮のみとなりますが、問題ありませんね?』
はい。異世界対策機構直属クラン、ホープブリケイドの皆さんです。そりゃそうなるわな。いや別に嫌とかいうわけじゃ無いが。
「ダンジョン内じゃお前さんの方がプロだ。手間をかけるがよろしく頼む」
『私たちも無関係じゃないですから。こちらこそよろしくですたいちょーさん』
本来俺が主力の指揮を執るべきかも知れんが、流石に慣れてない状態でそれをやるほど無謀じゃない。そういった事情もあって、お嬢にご足労願った。
そして彼女に面倒を押しつける代わりに、俺は別な役目を果たさなければならない。
「それは当然のことなんだが……なんでこの人が?」
「
ものすごく不機嫌な様子のカティナを指して俺が問えば、疲れた様子の紅の子がそう答えた。
俺が受け持ったのは、
米兵たちとは別で、彼女らヴィラン組はしばらくこの国に残るらしい。徹底的にダンジョンの流儀を仕込むつもりなのか、その辺はよく分からん。
『正直アンタと組むのめっちゃ嫌なんだけどぉ~?』
『そこんとこは我慢してくれや。こっちもいつ
そっちも不本意だろうが俺も不本意じゃい。
「ヌシビトさんのテックが届かないところはこっちでフォローします。各自位置情報を適時確認しながら行動してください。……特に迷うんじゃねーわよスタイリッシュヤクザ」
「精々足引っ張らないように誠心誠意努力するよ」
インカムを通じて
……まあ俺の女運の悪さは置いておこう。ともかくこっちは最低限のメンバーで行動することとなる。若干不安要素はあるが、GOサインが出たと言うことは問題なしと判断されたと言うことだ。是非も無しである。
「エリーターズリーダーよりGS各員時計合わせ。これより指揮権をヌシビト・ヒロコに移す。……頼んだぞ。お嬢」
『はい、了解です。総員、ミッションを開始してください』
お嬢の命が下り、俺たちは一斉に動き出した。
豆設定。この世界のこの国では、国軍と防衛『庁』が存在する。