ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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今回推奨戦闘BGM、ゲーム【モンスターハンター】より【閃烈なる蒼光】


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「……そう言ったことがあって、我々はどことも知れぬ場所に飛ばされたわけだが」

「どこに向かって何喋ってるの」

 

 あらぬ方向を向いて言う俺に対し、ジト目を向ける紅の子。

 

「なんとなくノリだ。特に意味は無い」

「ストレス溜まってんの? 適当に仕事休みなさいよ」

「気を付けるさ。……さて現実逃避はここまでだ。ここまで来て誰も訪れた気配がないって事は、このあたり未到達域ってことだな?」

 

 気分を切り替えて尋ねれば、紅の子は頷く。

 

「カニやクモばっかりってことは、2階層あたりで間違いないと思う。探索者は下の方を攻略していくのがほとんどだから、めぼしい拾得物がなければうろつき回ったりしないからね。浅い階層なら余計よ」

 

 何しろダンジョンには来訪者という敵性体がうじゃうじゃうろつき回っている。必要が無ければ誰も細かく探索したくないだろう。結果拾得物が望まれそうな場所や、下の階層に続く区域以外はあまり調べられていないのが現状だ。浅い階層とは言え、誰も足を踏み入れていない箇所などいくらでもある。

 加えてダンジョン自体の空間がおかしな事になっていて、元のシンジュク地下よりも遙かに広大な面積を有している。全てを調べ尽くすには、人手も時間も足らなかった。

 

「飛ばされた先が浅い階層だったってのは不幸中の幸い、か。……しかし連中、あんな装置どこで手に入れやがった。明らかにオーバーテクノロジーだろ」

 

 俺たちをここの場所に転移させたであろう機械。多分あの機械が添え付けられた場所と任意の、あるいはランダムな場所の()()()()()()()()物だと見た。所謂瞬間移動(テレポート)とは似て非なる物だろう。一方的に跳躍させて()()()()()()なんて間抜けな事が起こらない仕組みのようだ。

 ちなみになんか見覚えがありそうだったC13に聞いてみたらば。

 

「その、なんか見たような機械だなって思っただけで、こんな物だったなんて思わなくて。……紛らわしいことしてごめんなさい」

 

 とのことだ。しゅんとしてる彼女が本当のことを言っているのか誤魔化しているのかは定かでないが、今はそれを追求している場合じゃないし、そも彼女の責任でもない。

 

「あれがあったから逃げ切れると高をくくってたんだろうな。動かす直前で俺たちに襲われておじゃんになったが」

「だからあんな袋小路で拠点構えてた、って事でしょうね。もしあんなのが大量に作られてるとしたら面倒になりそう」

「そうでないのを祈りたいところだがな。……っと、またお客さんか」

 

 歩きながらアカサカ嬢と会話していれば、また新たな気配が生じる。俺たち以外が発している音と、サングラスのセンサーが捉えた動体反応。来訪者が現れたと推測されるんだ……が。

 

「……なあ、2階層って中型以上の来訪者は出ないはずだよな?」

「ええ。それ以下の階層はカニやクモが出てこないし」

『ちょっと、あんたたち?』

 

 足を止めて言葉を交わす俺たちに、訝しげな顔をしたカティナが声をかけてくる。

 

()()()()、今回は先手を打つ。戦闘準備だ』

『は? よほどの相手じゃなければ戦闘は仕掛けないって……』

 

 戸惑う彼女に言う。

 

()()()()()()だよ』

 

 俺の言葉に目を見開いたカティナだったが、すぐさま悟ってコートから鋏を取り出し臨戦態勢に移る。

 

「隊長!?」

「お前さんは支援と周囲の警戒。増援から背後を突かれちゃかなわん」

「は、はいっ!」 

 

 C13に指示を出す。次いで2人に。

 

「俺が正面で引きつける。アカサカ嬢は側面から揺さぶれ。『カティナ、お前さんは遊撃だ。好きにやれ。フォローはする』

「了解」

『……当てにはしないわ』

 

 俺が中央。アカサカ嬢とカティナが前面左右を取り、背後にC13と言う配置。そして広い通路の先、その曲がり角から迫る気配が()()

 のそりとそいつは曲がり角から姿を現した。

 

「【クワガタ】! 右から仕掛ける!」

 

 言うが早いかアカサカ嬢は飛び出し、カティナも続いて無言で駆ける。

 クワガタは名の通りクワガタムシに似た来訪者だ。体長は5~7メートル。全高は2~3メートルで、中型に分類される。カニやクモと同じく甲虫に似た外骨格構造で、頭部前面にはその名の由来となった、鋏を思わせるクラッシャーが備えられている。

 こいつはカニと違い、ダンジョンの侵入者に対し容赦ない攻撃を加えてくる。そして本来であれば4階層以下に出現するはずの存在だ。当然ながら、2階層あたりに出現する来訪者とは、戦闘力の桁が違う。

 

「だがやらにゃならんよなあ!」

 

 言いながらMCXをぶっ放す。逃げようにもこいつは遭遇した敵を執拗に追い回す性質があるらしい。逃走して体力と精神消耗することを考えたら、ここで仕留めておくしかなかった。

 増強され放たれた弾丸は、クワガタの表皮に食い込む。が、見た目大したダメージを食っているようには見えない。ヤツの表皮はキチン質に似た構造をしているが、その構成材はチタンやモリブデンなどの強固な素材だ。強化したメタルジャケットでも簡単には有効打を与えられない。

 が、注意が引ければ当面の目的は果たせる。

 

「せいっ!」

 

 アカサカ嬢が斬撃を喰らわせ。

 

『っ!』

 

 カティナは前足の関節に鋏を突き込む。

 双方一撃を食らわせてすぐさま離脱。クワガタは2人を追おうと頭を巡らせるが、そこに俺の銃撃と、C13が構えるM249(ライトマシンガン)の弾幕が降り注ぎ、クワガタはいきり立ったかのように唸り声じみた駆動音を発した。

 さて、データでしか知らない相手にどこまでやれるかね俺は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




実はクワガタとは初遭遇初交戦なチューおじ。
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