ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
【封印都市】。旧首都トウキョウに存在する世界最大規模のダンジョン、シンジュクを中心に封鎖された地域の通称である。
西暦2000年代初頭、世界各国の主要都市に突然出現した変異空間。ファンタジーなどになぞらえダンジョンと呼ばれるようになるそれらは、出現箇所を大幅に変質させると同時に、内部から無数の異形――【
世界的な大混乱。それから100年ほどの時が過ぎた。騒動が収まって秩序を取り戻し、人類と世界は何とか折り合いを付け、ダンジョンの存在は当たり前の物となった。
だが、未だにその正体、存在意義は定かではない。
その謎を巡って、数多の人間が今日も封印都市を駆け巡る。
……というわけで謎のモノローグから始まったわけだが、そういつもいつも初っぱなから何かあるわけでもない。
普通に起きて普通に朝食を取り、ショルダーホルスターを付け愛銃と予備マガジンを突っ込んでジャケットを羽織り、おんぼろのアルトワークスを駆って職場に向かう。
目指すはGS本部。封印都市の秩序を護る牙城……なんだが、その外観は中古の商社ビルを改装して、無理矢理要塞化したものだ。ポスト・アポカリプス感ばりばりの建物の地下駐車場に、俺は車を乗り入れる。
「よう、おはようさん」
「おはようございます隊長殿!」
警備員にIDカードを示し、車を駐め本部へと入った。道すがら出会う人々と軽く挨拶を交わしつつ、エリーターズに割り当てられた部屋に到着する。
「隊長、おはようございます」
レフト1を皮切りに、「はよっす」「はよ~」など声がかけられ、それに応えつつ自分のデスクに座った。メールチェックなどをこなしてから、定例のミーティングを始める。今日の議長はレフト1だ。
「……では外回りで隊長についていくのは……」
「別に一人でかまわんぞ? 他の業務もあるだろ」
「一人にしてたらこの前みたいに誘拐されるかも知れないでしょう。知らない人についていったり厄介ごとに首突っ込んだりされたら困るんですよ」
「お前はお母さんか」
「こんな汎用人型殺戮兵器を息子に持った覚えはありませんが」
「お母さんなのは否定しないのか」
そんなやり取りをしてから業務が始まる。俺は部下3人を引き連れて、外回りへと向かった。
「軽自動車に4人乗りはきついんだがな」
「公用車使えば良いじゃないですか」
「あんなモン使ったら、ここにいますって宣言してるようなもんだろ。普段から目立つもんじゃねえ」
ちなみに公用車と書いて装甲車と読む。カチコミにゃあ重宝するが、普段乗りじゃあ使いにくいことこの上ない。
ひゅおんと軽いタービン音を鳴らして、アルトワークスは走り出す。ろくに整備もされていない幹線道路を、目的地に向かってひた走った。
「道路くらいは整備してほしいものですねえ」
「仕方ないっすよ。まともな業者参入しないっすから」
「うう、お尻痛くなっちゃうです」
ライト1から3までの3人が同行者だ。年頃の娘さんだから、3人寄ればそれなりにかしましい。3人もくっついてくる必要があるのかねえ。
「まだ道路や建物が原形保って使える分、海外のダンジョン周りよかマシだわ」
「行ったことあるんすか海外」
「管理職研修でな。瓦礫の山や荒野になってるのはまだマシで、上海なんか核爆発でクレーターだったぞ」
「あっち未だに内戦続いてますからねえ」
「確かマンハッタンって島ごと閉鎖……っと」
話ながら車を転がしていると、後ろから来た車が俺達を追い越していく。見れば最新のSUVだ。
「良い車乗ってますねえ。【
ライト1が言う。探索者。公的機関や企業などからダンジョンの探索を請け負う、別の世界では冒険者と呼ばれるであろう職業だ。来訪者の駆逐や希少物質の収集など、様々な依頼を請け負う彼ら。その多くがテック使いであり、成功を収めれば莫大な収入を得ることも可能だった。こんなところであんな車に乗っているのであれば、確かに探索者である可能性は高い。
「隊長もああいう車にしましょうよ。乗り心地もいいですよきっと」
「そうっすよ。折角高いお給料貰ってるんすから」
「せめてビンテージのレストア車とかにしたらいいと思うですよ」
3人が口々に言う。うん不満は分かるんだ。なんだったら俺も、できればもっと良い車に乗りたいんだ。
その理由を口にしようとして――
爆発音が、大気を揺るがした。