ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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レベルを上げて殴るのは基本
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 アクシデントはあったものの、ダンジョンに拠点を構えようとしていた勢力の掃討は成った。

 問題はそこからである。特に謎の転送装置については大騒ぎになっていた。そりゃそうだろう。あれが狙い通りの場所に大量の人や物資を転送できる物だとすれば、ダンジョン攻略どころか世界的な輸送システムの在り方すらがらりと変わる。戦略的な利用価値も計り知れないとあって、もうてんやわんやといった様子だ。

 もちろん俺たちも事情聴取やらなんやらあった。特に俺は現場責任者と言うこともあって、GSの()とも話をしなけりゃならんので、めちゃくちゃ面倒である。

 

「……なるほど、君は機材に関しては一切の操作をしていなかったと」

「はっ、デバイスのメモリーを参照にして頂ければお分かりかと思いますが、該当の機器はアイドリング状態にも見えました。不用意に近づきすぎと言われれば、返す言葉もありませんが」

 

 GSのスポンサーと政府関係者。現在彼らとネット会議を行っている最中である。

 

「いや、状況を鑑みるに油断していたとは言えないだろう。そも転送装置とは予想もできまい」

「左様。一見して爆発物の類いにも見えないしな。君の行動にミスは無かったと判断する」

「お気遣いいただき、痛み入ります」

 

 いや冷静な人たちが多くて助かる。GSや異世界対策機構の技術関係者なんか阿鼻叫喚だか狂喜乱舞だか分からない騒ぎようだったぞ。まあ上の人たちには実感が湧いていないからかも知れないが。

 

「機器そのものに関してはこのくらいで良かろう。今まで上がってきた情報と差異はない。……ここから先はオフレコと考えて欲しいが、件の機器に関して君はどう見ている。直接触れた者の意見を聞きたい」

 

 ここからが本題か。俺はできるだけ客観的な意見を述べようとする。

 

「自分の見解ですが、あれはまだ()()()()のものではないかと」

「ほう? なぜかと聞いても?」

「はっ、かの装置を運用しようとしていた勢力が、九龍城からのものだと言うことはほぼ確定していますが、実用段階であるならばむしろ九龍城で、あるいは()()()()()()()で運用が試みられていてもおかしくはないと考えます」

 

 現地の最大勢力とは……まあ言うまでも無いだろう。向こうならヤクザの上前をはねたり顎でこき使ったり、当たり前でやってるような連中だ。

 

「ですがわざわざ危険を冒して、この国で使()()()()()とした。確実性がないか、危険性があるか、あるいは両方と見受けられます」

「勢力ごと使()()()()()()()。そう見ているのだね?」

「推論ですが、恐らく向こうのお偉方も眉唾物と考えていたのではないでしょうか。でなければ戦略をひっくり返せそうな代物を、他国に放り投げようとはしますまい」

「ありうるな。何しろ()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。最初から1回で壊れる物だったのか、正しく転移したのか、そういった一切が不明。聞いただけなら我々でも眉唾物と考える」

「さすがにこれで油断させて、完成品を用いて一気に……などと言うことはないと思いたいが、万が一はあり得る、か」

「ただでさえダンジョンという面倒が存在するというのに、また話をややこしくしてくれる。情報戦略が1からやり直しだよ」

 

 お偉いさん方も頭を悩ませている。実感はなくとも問題は正確に理解しているようだ。そりゃ頭も抱えたくなるだろう。

 この後しばらく会話は続いたが建設的な意見は出ず、例の装置の徹底的な解析と関係各所の洗い直しと言うことで落ち着く。

 

「君との質疑応答はこのくらいにしておくか。ご苦労だった」

「はっ」

「こちらの方からも調査を入れるが、君の方でも引き続き調べておいて欲しい。面倒だろうが頼むよ」

「微力を尽くします」

 

 会議が終わり、俺は椅子の背もたれを使って伸びる。

 余計な仕事を増やしてくれたもんだ。しばらくダンジョンの方にも関わらにゃならん。()()()()()()()()()()()()()()()()しな。

 

「……都合が良いと言えば都合が良い、か」

 

 ダンジョンに関わらなければならないという()()()()()()。鍛え直すには丁度良い機会と言える。

 心の贅肉とは誰が言った言葉だったか、俺にもそのような慢心だったり油断だったりするような物があったようだ。これだけ強ければもう十分だろう、そんな思考の停止。自称エンジョイ勢としては恥ずべき怠惰であった。

 そうでなくとも現実的な問題として、中型以上の来訪者に対し火力が不足している。手持ちの火器の火力を上げるのにも限界はあった。ダンジョンに関わろうというのであれば中級以上との交戦は必須。対策は必要となる。

 鍛えねば、ならない。心身を、そしてテックを。最低でも武器の威力を増強する効率、強化率を上げねば話にならない。()()()()()()()()()()を乗り切るためにも。

 と、いうわけで。

 

「装備だけでなく全ての隊員の地力を底上げする必要があると具申します」

「納得はできないでもないけれど理解が追いつかないから順序立てて説明して?」

 

 会議終了後、代表の元に乗り込んでみた。

 うむ、確かに気は逸っているような気がする。俺は咳払いしてから説明を始める。

 

「ぶっちゃけ、我々がダンジョンに潜るには経験も戦力も足りません。対テック使い……()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()ですね」

 

 ま、これは理解できるだろう。そもGSは来訪者相手の戦闘を想定していなかった。来訪者相手に多少の経験は積んでいるが、ダンジョンに関わる以上それではすまない。

 そんな俺の意見を聞いた代表は、こめかみを指で押さえながら聞いてきた。

 

「で、あんたどのレベルまで鍛えることを考えてんのよ」

 

 それに応える。

 

「個人的には、素手で中型を爆散させられるくらいにはなっておきたいですね」

「どこを目指してるわけあんた!?」

 

 悲鳴のような代表の声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




実際事件の後の方が面倒くさい
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