ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

52 / 158
2

 

 

 

 

 

「それは当然、()()を乗り切れる程度にはなっておくべきかと」

 

 当然のことを言った俺に、代表は眉を寄せる。

 

「あんたが言う最悪って、どういう状況よ」

「来訪者が多量にダンジョン外に出没する。というか()()()()()()()()状況ですかね」

 

 その言葉に、代表は唸る。

 

「うわ、ぐうの音も出ないほど最悪であり得る可能性じゃない。見たくなかった現実叩きつけてくるんじゃないわよ」

 

 代表の言うとおり可能性だけならみんな頭の隅にあったと思うんだよな。怖くて誰も言い出さなかっただけで。

 そう、俺は来訪者がダンジョンの外に出てきて害を為す可能性を想定していた。どういう仕組みか未だ解明されていないが、来訪者は基本ダンジョンの外に出てこない。唯一と言える例外は、ダンジョンの形成初期に周囲を制圧する為、大型の来訪者が暴れ回ったときくらいだ。(それで世界が無茶苦茶になったと言っても良い)

 それ以降は色々と思惑(兵器として利用とかそんなヤツ)のある連中が、生きてる来訪者をダンジョン外に運び出そうとしたり、来訪者の死骸を蘇生させようとしたり試行錯誤していたようだが、幸いにしてそれが上手く行ったケースは一つも無い。

 そのような感じで今まではダンジョン以外で来訪者と遭遇する可能性はほぼ皆無だったんだが、これからはそうも言っていられない。

 

「件の転送装置のおかげで、その可能性は格段に跳ね上がりましたので。意図的でも事故でも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()、なんてことがあり得ます。対来訪者戦闘の経験は積んでおくべきでしょう」

「あ”あ”あ”あ”あ”あ”、次から次へと見たくない現実ぅ」

 

 ついに代表が机に突っ伏す。俺もこんな事は言いたかないんだがね。気づいたからには立場上言っておかなきゃならんのよ。何せなんも対処しないでおいたら、真っ先に酷い目に遭うのは現場の俺たちだ。やっときゃ良かったと臍をかみながら死にたくはないんでね。

 

「……ってちょっと待ちなさい。そこから何をどうして中型の来訪者を素手で爆散させるって発想になるのよ」

 

 ガバッと身を起こして代表が聞いてきた。うん? 今までの話の流れからしたら、そんなおかしな事言ってないと思うんだが。

 

「恐らく中型が主力となるでしょうから、それを手早く片付けられるくらいにはなっておいた方が良いかと思いまして」

「また否定しにくいぐうの音も出ない意見だけど、素手で爆散っていう理由になってないのよ。大体できるの、そんな事」

()()()()()()()()()()()()()()()ので、テックの上乗せも考慮に入れて鍛え上げれば、不可能ではないかと」

「待てや初耳やぞ」

 

 ……あれ? 代表には言ってなかったか? 最低でも履歴書には書いてた覚えがあるんだけど。

 

「自分は元々接近戦が得手でして。これまでは銃の方が効率が良いのでそちらをメインに使っていましたが、これから先はそうも言っていられないでしょう。使える技術は全面的に鍛えておくべきと考えます」

「……そういやワタシが伸された時にも格闘の技で投げ落とされたんだったわ」

 

 ヤベー事実でおなかいっぱいなんだけど。そう呟きながら頭を抱える代表。色々いっぱいいっぱいなのは分かるけど(←大体こいつのせい)、現実を飲み込んで貰わにゃ困る。

 

「そも()()()()()()()()()()の考えも分かりません。連中のさじ加減一つで一斉侵攻、なんてこともあり得ますから」

「最悪の情報更新やめてくんない!?」

 

 そう言われても、立場上想定してしかるべきだから。おもしろおかしくてやってるんじゃないから。つーか俺もこんな現実直視したくなかったわ。エンジョイ勢ソウルがなければ絶望のあまり即死だったぞ。

 

「自分が想定している状況をさらに上回ることが起きる可能性だってあるんです。嘆いているより行動した方が建設的では」

「正論だけど腹立つわね。誰のおかげで嘆いてると思ってんのよ」

「基本ダンジョンをこの世界に作った連中が原因で、自分はその事実を述べているに過ぎないので一切悪くありませんが」

「ちくしょうその通りなのがゲロムカつくわ。……で、あんたはともかく隊員達はどこまで鍛えるのを想定してんのよ」

 

 開き直った様子の代表が問うた。

 

「エリーターズは自分に準ずるくらいにはしておきたいですね。そして一般隊員は基礎体力とスタミナの向上に加え、強化フレームや重火器などの追加装備が必要になるかと」

「一般隊員をそこまで? ダンジョン戦の主力にするわけでもないでしょうに」

「場合によっては()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()。何しろテックがダンジョン由来の物であるのはほぼ確実ですから、向こう側がバックドア仕込んでいてもおかしくありません。その場合は彼らを主力として頼りにすることになるでしょうし」

「その悪魔的発想どこから来るのデモンズブレインなの!? いっそあんたが黒幕だったって言われたら納得するレベルだわ! 最悪の想定に底がないダークサイドの住人かなんかなのあんたは!?」

 

 ムキャーとか発狂する代表。つっても思いつくんだからしょうが無いでしょう。これでも自分たちで対策が取れるレベルの物選んでんだぞ? 現状からでも世界滅亡クラスの発想なんかいくらでも浮かぶわ。

 

「逆に考えてください代表。自分の考えるレベルなら、まだ対策が取れるからマシだ、と」

「その言い方は対策が取れないレベルまで思いついてるって事ね!? 分かるわよワタシは詳しいんだ」

「……詳しく話した方が?」

「いらないから絶対いらないから! 振りじゃないからねこれ!」

 

 この後、錯乱しかけていた代表を宥めるのにえらい苦労した。う~む、あり得る事かつ俺たちが関わる可能性が高い事なんだから、しっかり認識して貰わないと困るんだが。まだ若いとは言え俺らの頭張ってるからには、そのくらい飲み込んで貰わにゃ。(←自覚のない無茶振り)

 とにもかくにも、俺たちの訓練と装備の見直しに関する許可は下りた。

 さて、やれるだけやっておきますかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




実はよくある世界が滅亡しかけてる舞台背景かも知れない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。