ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
マネ女史の店の次に訪れたのは、マッドな医療関係者の巣窟。ベルセルククリニックである。
……俺もホントはこんなとこ来たくなかったんだけどなあ。
「
俺の問いに、ナガバヤシ先生はう~むと考え込んだ。
「確かにテック能力はダンジョンに由来する物。いえ、正確に言えば
そう言って先生は立ち上がり、部屋に備えてあった本棚から分厚いファイルを取り出し俺の前で広げた。
「これはテック使いの脳をスキャンしたものです。脳の中枢、この部分が明るくなっているでしょう? テック使いはこの部分が発達していて、ここがテック能力を発生させている元になっています」
ファイルに載っている脳の写真には、確かに一部変化している箇所があった。テック能力に関する概要は習ったが、詳細は知らなかったので新鮮ではある。
「この部分から周囲に物理的な干渉を及ぼす波動が発生し、それが連鎖反応を起こして様々な現象を発する。これがテック能力です。この部分の発達自体が、ダンジョンの発生した時期から確認された物ですので、先ず間違いなくダンジョンの存在が影響を及ぼしている物と考えられるのですけれど」
とんとん、と彼女は写真をつつく。
「この部分の発達は、
「たかだか100年で、人類という種の遺伝情報が書き換えられていると?」
「放射線や電磁力の影響で、一世代で遺伝子に変異が起こるのはあることです。全世界にダンジョンが発生したのですから、全人類が影響を受けてもおかしくはないでしょう?」
なるほど。テック能力の基本となる部分は、遺伝子レベルで全人類に広がっている、と。
「ともかく機能を司る部位は、簡単に消失する物ではなさそうです。であればあとは、テック能力がジャミングされる可能性でしょうか。これはすでに一部のテック能力で可能な話ですので、あり得ることなんですけれど」
先生は腕を組んで椅子の背もたれに体重を預けた。
「
鼻を鳴らす先生。
「ですがダンジョン内に限定されても、今度は
「まあ広範囲のジャミングってのは、得てして敵も味方も影響を受けるものだしな」
先生は益々難しい表情となって話を進める。
「そも
「普通に考えれば、確かに」
「が、
「そう言われるとぐうの音も出ないのですが」
先生は苦笑した。
「よくもまあそこまで悪い状況を思いつく物です。大概はそういった物は見て見ぬ振りをするのに」
「見て見ぬ振りをして問題が消え去ってくれるんなら苦労はせんだろ。こっちは現場で現実と相対せにゃならんのだ。いきなりテックが消え去って何もできないまま死ぬ、なんてのは御免被るんでな」
「これまた否定できないお話で。……ですけれど、テック能力の消失やジャミングに関しては打つ手がないのもまた現実なんですよ」
ふうむと再び考え込む先生。
「次善策としては強力な武器を使う、強化フレームやパワードスーツなど身体能力を補う装備を使う、などが挙げられますが……貴方のことです、もうその辺は手を打っているのでしょう?」
「まあな。根本的な解決策とは言えないが、手っ取り早くて確実な効果が見込める。問題は予算だけだ」
「世知辛い世の中ですね。……それ以外の対策となると、こっち由来の技術である生体強化やサイバー化は影響を受けませんから、それを施すというのも有りですね」
そう言ってから虚空を見上げ、先生はまたう~んと考える。
ややあってこっちを向いた彼女は、良い笑顔でこう言った。
「施術しときます?」
「再起不能な大怪我したら考えるよ」
そんときにゃあ、引退考える方が先だろうがな。
実はテックに関する説明係だったせんせー。