ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
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「ということで、通常部隊から
「し、C13改め【トザマ・ミユ】です! コールサインはエリーターズマムになります! 皆様末永くよろしくお願いいたします!」
真新しいオペレーター用のスーツを身に纏ったC13――もといトザマはカチンコチンに緊張した様子で敬礼を行った。エリーターズメンバーの方はと言うと、大丈夫かなという視線が半分、微笑ましい物を見る目が半分と言ったところだ。
「確かにうちは
疑っていると言うよりは心配そうな雰囲気で尋ねるライト1。それに応えたのはレフト3だった。
「大丈夫ですよ姐さん。この子見た目と違って随分と細かいところに気がつくんで。この間のダンジョン制圧じゃあ敵勢力追い込むのに相当役に立ちましたし」
「姐さん言うな。……まああんたが太鼓判押すなら間違いはなさそうね。良いでしょう、期待はさせて貰います」
「び、微力を尽くします!」
緊張が解ける様子はないが、まあそのうち慣れるだろう。この世界にも順応したんだ、推しと同じ部署で働くくらい大したことはあるまい。多分。
久しぶりに現れた新規のメンバーを囲むエリーターズを後方師匠面で見やりつつ、俺はトザマとの会話を思い返していた。
「落ち着いたか?」
「……はい」
パニクっていた
「あ、ありがとうございます。……あの、隊長も転生者……なのですよね?」
おずおずと尋ねてくる彼女に答える。
「大分おぼろげになってきちゃいるが、この世界と別の人生を送ってきた記憶がある。どういう死に方をしたかは、さっぱりだがね」
「それじゃあその……
見上げてくる表情は、なんかうち捨てられたような哀しげな物だった。
「いんや。実はカマかけたんだが、この世界の
「原作を知らないって……CMとかもバンバン打ってて、結構有名だったと思うんですけど」
「俺は元々FPSやアクションメインにやってたんでな。大手のゲームはいくつか小耳に挟むくらいはしてたが、流石に全部はね。……で、原作の俺もこんな感じだったわけ?」
俺の問いにトザマは頷く。
「ええ。エリーターズ隊長。ゲーム開始時チュートリアルで主人公に戦い方をレクチャーしたところからチュートリアルおじさん、通称チューおじと、スレとかでは呼ばれてました。出番は多めでイベントではほぼ必ず巻き込まれてて、なんだかんだでアクション映画張りに乗り切るんで、実質上の主人公とか言われて……どうしました?」
「心当たりがありすぎて頭抱えてんだよ」
特にゲーム開始のチュートリアルあたり。間違いなくお嬢との出会いの話だろう。原作とか知らんで行動していたつもりだったが、丸々原作をなぞっていたとか。いや別に原作ブレイクしようとか思ってたわけじゃないんだが、結構好き放題やってたんでむちゃくちゃになってんだろうなあと思ってたわけで。なんの成果も得られていませんでしたとか、現実は実に無情だ。
「……でも、なんか安心しました」
「ん? なにがだ?」
トザマの方を見れば、彼女はてへりと笑う。
「転生者であっても、隊長は隊長なんだなあって。……すみません、上手く言えないんですけれど」
なるほど、原作と同じような中身なんで安堵したらしい。まあまともな神経していたら、こんな世界に転生とか心細いじゃすまんよな。推しが心の拠り所とか、そんな感じだったんだろう。
気持ちは分かる。
「まあいい。俺のことはさておいて、原作はFPSじゃなさそうだな? 実銃出てくる近未来って舞台なら好物だ。ましてや売れてるってんなら知らんはずはない」
「はい。キャラゲーのシミュレーションRPGですね。ダンジョン攻略が主幹で、ストーリーで人間ドラマが繰り広げられていく、よくあるタイプです。男性向けなんで女性キャラが多めですが、その分男性キャラは個性的で魅力がありますね。個人的な感想ですけど」
「俺がやらん系か。気になるのはあったんだが、時間取られるのが嫌でなあ」
「隊長さんが好きそうなと言えば、【ビスクドールフロントサイド】あたりですか? これも近未来荒廃系SRPGで実銃もりもりですけど」
「……聞いたことないな。ここの原作ゲームの名は?」
「【ランペイジ・バレット】ですけど……聞いたことありません?」
「生憎覚えが……」
いや、待てよ? もしかして。
「……つかぬ事を聞くが、FGOって知ってるか?」
「あ、流石にそれは知っているんですね。もちろんです」
「正式名称は覚えてるな?」
「【
……予想が当たってるっぽいなおい。
「ドラクエの正式名称は?」
「【
「FFは?」
「【
わけが分からないといった様子のトザマ。俺は深々とため息をついて告げた。
「大変残念なお知らせ……かどうかはわからんが。……多分、俺とお前さんの前世は
前世の世界が一つだと、いつから錯覚していた?