ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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 ぎぎゃっ、音を立てて急停車。車から飛び出しながら、俺は3人に指示を飛ばす。

 

「戦闘展開! 先行する!」

「「「了解っ!」」」

 

 ライト1が車のリアゲートを開け、ライト2が手早く荷物のトランクを取り出して背後に放る。ライト3はそのトランクを受け取って開け、中の得物を2人に投げ渡した。ライト1にはMP5(サブマシンガン)。ライト2はショートバレルのM4A1(アサルトライフル)。そして自身はM870ブリーチャー(ショットガン)を手に取りコッキング。得物と簡易シールドとなるトランクを手に、3人は散開。それを背後に俺は爆発現場へと駆けつつ声を張り上げる。

 

「GSエリーターズだ! 関係ない者は逃げるか伏せろ!」

 

 周囲の歩行者や車から降りた人間たちは、俺の言葉に従う。慌てていてもパニックが起こらないのは、もう日常茶飯事だからだ。

 現場を見れば、どうやら道沿いの商店を強盗が襲撃したらしい。爆発は手製の爆弾によるものか。派手な音と爆煙は生じるが威力はそれほどのものではなかったらしく、店の正面は原形を保っている。そこに数名の強盗が押し入ろうとして――

 あ、一人撃たれた。店の店員が反撃したらしい。

 俺は懐から銃を引き抜き、走りながら構えを取って撃つ。ろくな防弾装備も持ってない強盗は、1人2人と簡単に撃ち倒された。

 残りの連中は、泡を食って銃を乱射しつつ逃げ出そうとする。しかし中に一人、こちらへ向かってくる者がいた。独特の気配と周囲の大気が歪むような感覚。

 

「テック使いか」

 

 テックを得たことで気が大きくなり、強盗を企てたのだろう。日本語でない言葉を喚き散らしながら、そいつは立ち止まって力を発動させようとした。

 遅い。

 思考速度と銃の威力と弾速を増強。3連射(トリプルタップ)。ゆっくりと時間が流れるように見える中、加速した弾丸は吸い込まれるように男の胴体を貫いた。男は信じられないといった顔で崩れ落ちる。

 それを視界に入れつつ、逃げようとした連中に意識を移す。見当違いな方向に手榴弾を投げて、ショットガンで撃ち倒される奴。反撃しようとしてサブマシンガンで蜂の巣にされる奴。武器を投げ捨て矢も楯もたまらず逃げだそうとし、アサルトライフルでヘッドショットを食らう奴。

 投げられた手榴弾が路上で爆発し、それに巻き込まれた人間がいないのを確認。強盗が残っていないのを見て取って、俺は増強を解除。

 時間の間隔が元に戻る。俺達が車を降りてから1分と経たずに、『よくある騒動』は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやあ、助かりましたわ」

「これが仕事さ。それに俺達が来なくても、そっちでカタがついたんじゃないか?」

 

 交通整理や死体の搬出で忙しなくなった中、俺は襲われた店の店主と会話していた。

 こんな無法地帯で店を出してるような人間は、大概場慣れしている。ダンジョンなんて物が存在しているせいか、この国は俺の前世と比べて治安が悪い。封印都市の外でも普通に銃が売ってあり、免許を取れば所持携帯ができるってレベルだ。海外はお察しである。

 そんな国の中でさらに無法地帯ともなれば、どういうことになるかは火を見るより明らかだろう。タフでなければ生きていけない。

 

「ドンパチやると、バイトの時給上げなきゃならんのですよねえ。店も修理せにゃならんし」

()()()()少しは金になるだろ。それでなんとかするんだな」

「小遣い稼ぎくらいにゃなりますがねえ」

 

 俺が指し示したのは、死体袋に詰められてる最中の強盗ども。ちなみに死体を運び出そうとしているのはGSの職員ではなく、店主が呼んだ()()だ。

 何の業者かは聞かない方が良い。

 

「……う……」

 

 と、袋に詰められようとしていた強盗が小さくうめき声を上げた。どうやら微かに息があったらしい。それを見て取ったマスクを付けた業者は、慌てず騒がず懐から銃を抜いた。

 ばんっ、と音が響き、強盗は動かなくなる。そのまま袋に詰め込まれ運ばれていった。

 重ねて言うが何の業者かは聞かない方が良い。

 そこに、聞き込みを終えた部下が戻ってきた。

 

「組織的な物ではないようですね。思いつきの強盗でしょう」

「ま、そんなもんだろ。あとは一般隊員に任せるさ。……ほんじゃ邪魔したな」

「はいな。お気を付けて」

 

 店主が頭を下げ、俺達はその場を後にし車に向かう。そうしながら交通整理などをしていた一般隊員に指示を出して、後を任せた。

 GSは警察ではない。現場を軽く後片付けしたり交通整理などをしたりはするが、その後の捜査やらなんやらを行うのは業務に入っていなかった。もっともこの町で本格的に警察の真似をしようと思ったら、人手も時間も金も命も、いくらあっても足りない。悪党ぶっ飛ばして去る。できるのはこの程度だ。

 前世の常識からするとあり得ない状況だが、この町では『それが当たり前』だ。俺自身も最早慣れっこになっていた。

 

「早めに出ておいて正解だった。まあ道すがら、またなんかあるかもしれんが」

「ありそうですねえ。ツイてないときはとことんツイてない物です」

「そんなモンさね。……そうそう、お前ら俺が何で良い車に乗らないのかって聞いてきたが……」

 

 唐突に話題を変えた俺は、自身の背後を親指で指した。

 

()()()()()()()」     

 

俺の指した先には、レッカーされていくSUV。強盗の放った手榴弾でダメージを喰らったらしくボロボロだ。そしてドライバーらしき兄ちゃんが、地面に膝をついて泣き崩れていた。

 多くは言うまい。

 

「「「……なるほど」」」

 

 3人は理解したようだ。説得力がありすぎる光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ありがちな展開。
そしてありがちなオチ。
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