ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
いくつかの思惑があってトザマを身近に置くことにしたんだが、意外なことが判明した。
「はい、こちらが提出用の報告書の書式になります。いくつかフォーマットがありますので、それを組み合わせてもらえれば自動で調整しますから、当日の業務内容に合わせて組み合わせてください」
「た、助かるっす。マジ恩に着るっす」
「副長、武器弾薬の在庫管理ですけれど、管理ソフトをもう少し扱いやすくできますが、どうします?」
「できるんですか? 具体的にどのように?」
「仮に変更後の物を作ってみたんですが、このような感じになります。扱いはこんな風に」
「どれどれ。……あ、随分見やすくなりましたね。操作感は……こう、と。うん、良いじゃないですか。これなら是非ともお願いしたいですね」
「分かりました。これをベースに三日で仕上げます。不都合があれば言ってもらえれば修正しますので」
「トザマ、この発注書は下にスクロールで良いのね?」
「はい。足らなくなったら別シートの書式をそのままコピーしてください。もし元の書式が消えたりしたのなら、自分に言ってくれれば新しいのを送りますので」
「このページ自体が足らなくなったら、新しいシートを作れば良いのね?」
「そうですね。シートの名前はそのときの日付でお願いします」
「この間のは助かったよ。机仕事以外で手助けできることある?」
「じゃあ罵ってください」
「…………ゑ?」
「失礼しました。何かあればお願いします」
「あの、今、罵ってとか……」
「気のせいですあるいは幻聴です」
「いやでも……」
「貴方は何も聞かなかった。イイデスネ?」
「アッハイ」
一部を除いてめっちゃ有能なんだがこの子。
元々俺を含めて机仕事は苦手な連中だったってのはあるが、それを差し引いても全く様相が変わって、やりやすくなってきた。うれしい誤算どころじゃない。
で、機会があったので聞いてみた。
「自分前世では事務職でして。これでも割と有能だったんですよ? ……事務処理がおぼつかない部署をたらい回しにされるくらいには。マワされるくらいには」
「おいおい闇出てる闇出てる」
何かよっぽど嫌な経験をしてたのか、薄暗いオーラを身に纏っているトザマ。苦労してきたのだと窺える。
「オペレーターの仕事じゃないかもですが、皆さん素直に指示聞いてくれるんで、つい改正できるところはやっちゃうんですよね。今のところやりがいがあります」
「給料分の仕事してくれればそれでよかったんだが……お前さんが納得してやりがいがあるんならそれで良いさ」
さて、現在俺たちは
関係各所に顔見せ、と言う名目だ。実際それもあるが、トザマの知るキャラクターやその周囲の環境と差異があるかないか、それを確認してもらうためでもあった。
「これから先、関わる機会も多くなる。早めに慣れておいた方が良いだろ」
「そうですね。緊張しっぱなしってのもお互いやりにくいでしょうし」
俺に対しては随分となれてきたが、それは転生者という秘密を共有しているからだろう。他の
「まずはマネ・キネコ商店からだ。彼女はどんなだった?」
「売店とガチャ担当でしたね。胡散臭い笑顔と態度が魅力的な割とエロい系美人さんです」
「なるほど、そのまんまだな」
「あ、でも……プレイアブルキャラになったような……どうだったかな」
う~むと考え込むトザマ。マネ女史がプレイアブルキャラ、ねえ。彼女自身も銃器の扱いは心得があるようだし、店員には何人かテック使いもいたはずだ。戦えないわけじゃあないんだが、積極的に戦いに介入する理由はない。何かに巻き込まれた系か?
「まあいい。そう言うこともあるだろうと頭の隅に置いておけば良いさ。いずれ嫌でも分かる」
「ですね。前世の知識に足を引っ張られるなんてないようにしないと」
そうこう話しているうちに、目的地へとたどり着く。
「いらっしゃいませ。お持ちしておりました」
相変わらずの胡散臭い笑顔で出迎えたマネ女史。早速俺は彼女にトザマを紹介することにした。
「彼女が新しくエリーターズのオペレーターとなったトザマだ。俺たちの代わりにこの店に顔を出すこともあると思う。よろしく頼む」
「トザマ・ミユです! 色々とお世話になると思いますので、よろしくお願いいたします!」
「これはご丁寧に。この店の店主、マネ・キネコです。こちらこそよろしゅう頼みますわ」
緊張気味のトザマとマネ女史が、互いに頭を下げて挨拶を交わす。初手は悪い感触ではなさそうだ。
「エリーターズにはもう慣れました? 中々激務ですやろ」
「おかげさまで。一般部隊の実働上がりですから、何とかこなせてます」
「へえ? なんでまた実働から引き抜いたんです隊長さん?」
普通に考えたらオペレーターとしての経験がある者を採用するだろうに、と言う疑問があったのだろう。そんなマネ女史の問いに答える。
「彼女は中々勘がよくてな。現場でも役に立ってたんだが、オペレーターとして才覚があると見て引き抜いた。それ以外にも事務仕事が有能なんで重宝しているが」
勘が良いってことにしておけば、なんかの弾みで原作知識がポロリしてもごまかせる、と言った観点からこのような言い訳を用意していた。事実原作知識を抜きにしても、トザマは良いセンスしてるんでな。説得力はある。
「なるほど。ま、そのあたりはおいおい聞いていくってことで、隊長さんが注文した品ですけれど……」
そこでカランとドアベルの音が響いた。
「邪魔をさせて貰う。……おっと、これは嬉しい偶然だ」
店を訪れたのは、格好良い系はっちゃけ女子、クラハムだった。
実は有能系女子だったトザマさん