ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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「おやいらっしゃい。またええタイミングで来はりましたなあ」

 

 マネ女史がクラハムに声をかける。こいつともなんだかんだで付き合いが多いし、トザマと顔を合わせる機会も……そういや一回会ってたな。ダンジョンで飛ばされた時に。

 

「本当に良いタイミングで来たな。お前さんにも紹介できればと思っていたんだが、この間一般部隊から引き抜いたオペレーターだ。前にダンジョンで助けたヤツだよ」

「トザマ・ミユです! その節はお世話になりました!」

 

 頭を下げるトザマを見て、クラハムは合点がいったという様子を見せた。

 

「ああ、あのときの。なるほど、良い勘働きをしているとは思ってた」

 

 そう言ってから、クラハムはふっ、と格好を付ける。

 

「もう知っていると思うがあえて言わせて貰おう。クラハム・エイカ。隊長君という存在に心奪われた女だ」

 

 この台詞だけでまともな神経の人間はどん引く。幸いにしてと言うかトザマは原作という知識でこの女がどういう人間か知っているので、「あ、はい。よろしくお願いします」と若干引きつった顔を見せたくらいですんだ。

 そんな光景を見ていたマネ女史が、ぽんと手を叩く。

 

「上々の顔合わせと言ったところですな。空気もいいところで、商売の話に戻りましょか。まずは隊長さんのご注文ですけど、インフィニティの追加パーツは届いてます。残りのご注文はもう少し手間がかかりそうなんで、少々お待ちくださいな。……インフィニティのパーツだけでも付けていきます?」

「そうだな、頼む」

「それでは銃をお預かりいたします」

 

 マネ女史の傍らに控えていたメイドが一歩出て、トレイを差し出す。俺は懐から銃を取りだし、マガジンを抜いてスライドを引き、残弾がないことを確認。そしてトレイに置く。

 受け取ったメイドは、トレイごと銃をカウンターの端に持っていき置く。それから後ろの棚をあさって工具とパーツの入った小箱を取りだし作業を始めた。

 

「隊長さんは少々待って貰うとして、クラハムさんの方は仕上がってます。こちらになりますな」

 

 作業をしているのとは別のメイドから受け取ったケースをカウンターに置くマネ女史。カチャリとロックを外して、クラハムの方に向けそれを開けた。

 

「【S&W(スマイソン) M500カスタム】。M500の4インチモデルをベースに、先端にコンペンセイターを備えたスタビライザーを追加したものです。上下にピカティニーレールも追加されてますんで、各種アクセサリーを取り付けることも可能。もちろんトリガープル、ハンマーなど加工済みで大分軽い手応えに仕上がってます。うちの職人曰く自信作だそうで」

 

 再販されているハンドガンの中で、恐らく最高の威力を誇るリボルバー。それをさらにごつくした代物だった。トザマが小さく「うわでっか」などと思わず声を漏らしていたが、それを気にすることもなくクラハムは件の銃を手に取る。

 軽く下に向けて構え、バランスを確かめる。シリンダーをスイングアウトし、その状態であらぬ方向へ向けトリガーを引く。ダブルアクション機構はなめらかに作動し、かちんかちんとハンマーの音を響かせた。

 シリンダーを戻し、今度はハンマーを指で起こしてシングルアクションを試す。ハンマーとシリンダーの動きが連動していることを確認。そしてトリガーを引く。シングルアクションとダブルアクションを繰り返し、作動に不備がないかを確かめて、クラハムはやっと納得した笑みを見せた。

 

「素晴らしい。注文通りの、いやそれ以上の仕上がりだ」

「ご満足いただけたようで何より。……隊長さんの方も仕上がったようですな」

「はい、お待たせいたしました」

 

 再びトレイに乗せられた俺の銃が、目の前のカウンターに置かれる。銃口の前に肉たたきのような突起のついたパーツ、ストライクプレートを追加したのだ。その基部はフレームの下部に備えられたレールに固定され、トリガーガードから銃口まで至っており、銃自体が一回り太くなったような印象を与える。

 

「高度スチール製カスタムストライクプレート。見ての通りフレームのレールに装着しまして、これ自体が追加のアンダーレールベースを兼ねてます。取り付けボルトは六角穴(ヘキサゴン)ボルト。強度は十分で、使い方によってはレベル3の防弾ガラスもぶち抜けます。サイズが変わりますのでそれ用のホルスターと、整備用の六角レンチもおつけしますえ」

 

 銃を手に取る。重さとバランスが変わっているが、さほど違和感はない。スライドを幾度か引き、作動を確認。プレートを装着する前と変わらない動きだ。マガジンを装着してあらぬ方向に構える。バランスの差はすぐに慣れた。

 

「いけそうだな。このまま持って帰っても?」

「もちろん。ホルスターもどうぞ」

 

 再び銃をカウンターに置き、メイドが差し出してきた専用ホルスターを受け取る。それを今までの物と付け替えている間に、 クラハムが語りかけてきた。

 

「接近戦を考慮に入れた物だね。趣旨変えかい?」

「そんなところさ。お前さんは相変わらずの大艦巨砲主義か。しかもまた扱いにくい物を」

「火力はいくらあっても良い。最近はGSもダンジョンに潜るご時世だ。何があってもおかしくはないからね」

 

 にぃ、と笑う彼女は、どうやら最近のきな臭さを感じ取っていたようだ。戦力を整え有事に備えようと言うことか。

 

「良い心がけだ。何があるとはっきり決まったわけじゃないが、どうにも雲行きが怪しい。お前さんなら乗り切れるとは思うが」

「そう言って貰うのは素直に嬉しいね。僕だけじゃなく色々な人が動いてるみたいだけど。この間ヒロコ君が尋ねてきたよ」

「お嬢が?」

「ダンジョンの浅い階層で、鍛錬にいいエリアはないか、だって。彼女らも思うところがあるんだろうね」

 

 異世界対策機構はGSと共に現状を把握している組織だ。うちと同じで真っ先に対策を考えるのは当然。同様に動いているようだ。

 

「ふむ、この後対策機構支部に向かうつもりだが、話を聞いてみるかね」

「もし彼女らと共にダンジョンで鍛練を積むというのなら、不肖この僕が水先案内人を務めよう」

「そんときゃ頼むよ」

 

 変な色欲が絡まなきゃ、ホントこいつとは話が合うんだよなあ。付け直したホルスターに銃を収めながら、心の中でため息を吐く。これがなければいい人じゃなくて、これがあるからダメな人だからなこの女。色々な意味で残念だ。

 そんな俺たちの会話をトザマがどんな目で見ていたか、この時の俺は気がつかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




武器調達シーンは、なんぼ入れても良いですからね
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