ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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 今日も今日とて仕事日和だ。まあ俺たちの仕事は雨が降ろうが槍が降ろうが実際弾雨が降ってたりもするが年中無休なんだがな。

 

「それでもまあ、クラン同士のアホな諍いが減っただけマシか」

 

 そう呟く。以前よそからちょっかいかけてくる勢力対策、名のあるクラン同士の同盟関係が一時的に結ばれた(そのすぐ後であまり意味は無くなった)が、それ以降大手のクラン同士でつまらない小競り合いが起こることは格段に減った。小規模なクラン同士や個人間の諍いは尽きることはないが、馬鹿みたいな大騒動が減っただけでも気分的に楽だ。知り合いをばかすか撃つのはちょっと気が咎めるし。(←でも撃つ)

 そんなことをつらつら考えつつ俺が向かっている先は、マネ女史から紹介された工房である。

 彼女に銃器ではない、()()()()()()()()()を作れないかと聞いていたのだが、一応の伝手が見つかった。ただし彼女曰く。

 

「結構独特な感性の持ち主のようでしてなあ。作って欲しいなら頼んだ本人が顔を見せろっちゅう話でして」

 

 ということらしい。職人が偏屈だったり変わり者だったりするのはよくあることだから、それほど気にはしていない。それほど面倒な物を頼むつもりはないが、顔を見せるのが礼儀だというのならば店に行くしかあるまい。その時点でお互い気に食わなけりゃ物別れに終わるかも知れんけど。

 そんな用事だから仕事の合間に一人で行くつもりだったんだが。

 

「むふふ、隊長殿を一人で行かせるわけには参りませんのでな」

「むしろ何でお前さんがついてくるのかが分からんのだが。しかも上機嫌」

 

 今にも鼻歌でも歌い出しそうな小太りの男。エリーターズメンバーであるレフト4だ。態度からはそうは見えないが、戦闘時にはM60E6(ライトマシンガン)振り回し暴れ回る制圧射撃と支援担当で、その身体は脂肪で太っているのではなくレスラーや力士のような重厚な筋肉を秘めている。

 そんなこいつがなんでついてきたのやら。

 

「何やら隊長殿が()()()()()の制作を所望していると小耳に挟みましてな? 一人のロマニストとして興味を引かれまして」

「そういやお前けったいな武器大好きだったなあ」

 

 普通の銃器も大好きだが妙ちきりんな武器も大好きなのがこいつ(レフト4)である。が、こいつにとってはクラハムのモデロ6も普通の銃器の範疇に入る。どれ位が妙な武器の範疇なのかというと、分かり易いのが某緑の姉の殴り銃と蒼の子のギミックソードだ。

 アレを現場で目にした時、こいつは興奮冷めやらぬ様子で二人に詰め寄り、結果姉っぽいのに良い感じのアッパーで殴り飛ばされている。(流石にトリガーは引かなかった)

 天高く飛ばされ車田落ちし(頭から落ち)た時には死んだかと思ったが、そのすぐ後に「いやいや中々腰の入った良い拳ですな」と起き上がったときには皆ドン引きしてたわ。咄嗟に防御力を増強したからだと気がついたのは俺と蒼の子くらいだったな。

 ともかく妙ちきりんな武器を目の当たりにすると落ち着きがなくなるのがこの男だ。……しかしなあ。

 

「そこまで妙な物を頼むつもりじゃないんだがな。期待外れかも知れんぞ?」

「何をおっしゃるやら。かのマネ女史が工房を探し出さねばならなかったほどの物ですぞ? ロマンあふれる得物に相違ありますまい」

 

 自信ありげにきっぱりと言う。勝手に期待値上げて勝手にがっかりされるのも困るんだがね。

 そんなこんなで目的地までたどり着く。非合法な作業所が並ぶ一角、いかにも町工場でございといった風情の建物。その前に俺は車を駐める。

 建物には【タネダ製作所】と書かれた看板が掲げられており、その正面にある左右開きの大型シャッターは閉じられている。中から作業機械の作動音が響いてくるから、留守ではなさそうだ。

 

「さてどんな偏屈が出てくるか」

「愛想良いとは考えられませんな」

 

 言葉を交わしながら、【御用の方はこちらから】と書かれた通用口のドアをノックする。インターホンもないのは一々反応するのが煩わしいからだろうか。もうこの時点で嫌な予感しかしない。

 ノックして待つことしばし。なんの反応もない。まあ思ってたとおりだ。

 

「反応無いなら仕方が無いな。お邪魔しますよ、っと」

 

 そおっとドアを開けて中を覗いてみる。どうやら奥の方で何やら作業をしているようだ。アーク溶接機か切断機の火花らしき光が、奥の壁を照らしている。

 普通に声をかけても、熱中してて気づかないかも知れんな。俺はすう、と息を吸い込んだ。

 

「たのもー!!」

 

 おまわりじみたことをやっているのは伊達ではない。でかい声には自信があった。果たしてどんな反応があるか。どんがらがっしゃんとひっくり返るのはまだ可愛い方で、激怒して工具が飛んでくるなんてこともありうる。どう出てくるかね。

 ややあって作業の音が止む。そして。

 

「……元気がええのお。どこのどいつかな」

 

 のそりと現れたのは、ガタイの良い初老の男。白髪交じりで肩口まで伸びた髪を適当にうなじでくくり、無精髭を伸ばして手ぬぐいを頭に巻いた、職人と言うよりは陶芸家を思わせる風貌だ。

 じろりとこっちを見やる男に、俺は答えた。

 

「マネ・キネコ商店からの紹介できた者だ。GS勤めの飼われ犬さ」

「ふん、アンタが噂の。……奥に来な」

 

 あごで奥を示し、さっさと身を翻す男。俺とレフト4は肩をすくめ、男の後に続く。

 奥の作業場。そこには先客の姿があった。

 

「うげっ!」

「あん? ポリ公じゃねえか」

 

 俺たちの姿を見た途端、すごく嫌そうな顔をする姉を名乗る者と、訝しげに眉を寄せるカワサキ嬢。

 こりゃ妙な取り合わせだこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まともに野郎のキャラが出てくるのが珍しいこの話。
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