ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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 俺たちの様子など一向に気にした風も見せず、職人の男――タネダ氏は、どっかりと椅子に腰掛け話を促す。

 

「で、兄ちゃんよ。何を作って貰いたいんだって? 話くらいは聞いたらあ」

 

 この系の人間にしては話を聞いてくれるだけマシだろうと思いつつ、俺は要望を伝えた。

 さすれば彼は予想外だったようで、ちょっと驚いたような顔をしてみせる。

 

「なんでぇ、そんな簡単なモンでいいんかい。もっと面倒くさいの頼まれると思ったわ」

「面倒くさい物を使いこなす自信は無いんでね。……それで、やってくれるか?」

 

 問うてみたらば、タネダ氏はふん、と鼻を鳴らした。

 

「良いじゃろ。変な仕込みもいらねえってんなら、そんなに手間じゃねえやな。一月よこせ。それで仕上げちゃる」

「ああ、それで頼む」

 

 思った以上にすんなりと話が決まった。むしろすんなり決まって怖いくらいだ。

 と、そこで緑姉が不機嫌さ丸出しでタネダ氏に語りかけた。

 

「ちょっとタネダさん? わたしの時と随分違いません?」

 

 咎めるような言葉に対し、タネダ氏は横目でぎろりと不確定名姉を睨んだ。

 

「てめえが面倒な注文するからじゃろが。既存の銃をベースにするならともかく、1から設計せにゃならん。手間がかかるに決まっちょろうが」

 

 なんか俺の隣で、ぴきぃん!と言う音が響いたような気がした。

 

「むう……ロマン武器の気配がしますぞ」

「普通の人間はそれを嫌な予感と言うんだが」

 

 見ればサングラスをかけているのに目がらんらんと光っているのが分かるという、異様な状態になってるレフト4がいた。

 

「隊長の注文品も心そそられますが、やはり複合とかギミックとかクる物がございまして。しかも1から設計のフルカスタムメイドなど、ロマンの塊ではありませぬか」

「俺のにロマンあるかあ? 実用性一辺倒だぞ? ……まあそれはそれとして、お前さんけったいな武器が好きなくせに、自分では使わないのな」

「隊長と同じく使いこなせる自信がございませんので。人が使っているのを見て楽しむのが一番と自重しておりますれば」

 

 とか何とか会話してると、タネダ氏と学名アネカタリのほうはエキサイトしだしている。

 

「大体てめえといい騎士娘といい、面倒な得物使うなや! なんでえ槍にパイルバンカー付けるとかあいつもアホか!」

「彼女もわたしも自分の戦い方を突き詰めていったらああなっただけですぅ~! 文句は普通の手段じゃダメージ与えにくい来訪者に言ってくれませんかぁ~!」

 

 処置無し。俺とレフト4は再び肩をすくめた。そうしてから、どうしたもんかなこいつらって顔しているカワサキ嬢に声をかけてみた。

 

「それで、お前さんも武器の新調かい?」

 

 カワサキ嬢は、なぜか頑なに木刀以外の武器を使おうとはしなかった。最近雲行きが怪しいので、ついに趣旨替えする気にでもなったか……と思いきや。

 

「ちげえヨ。ちょいとバイクを弄りたくってな。ここくらいしかオレの注文通りにパーツ作ってくれるところがなくってヨ」

「……そういやここ武器職人じゃなかったな」

 

 武器()作る職人とマネ女史からは聞いている。この分だと、技術が高いせいで色々なところから色々な物を頼まれたあげくにこうなった、と言ったところか。

 まあそれはそれとして。

 

「あのカリカリに弄ったマシンをさらに、ってことは……()()()()()()()()?」

「なんだ、知ってたのかヨ」

 

 ここ最近夜な夜な現れるという謎のバイク乗り。GSにもその噂は届いていた。もちろん届いているだけで何も動いていないが。

 

「話は聞いてる。別に死人が出てるわけじゃないから反応してないだけだ。俺らはそこまで勤勉じゃねえ」

「首突っ込まれても邪魔なだけなんだがヨ。……それはそれでムカつくゼ」

 

 渋面になって言うカワサキ嬢。難しいお年頃だ。

 まあそれはそれとして。

 

「そんなに文字通り火力で殴りたいんなら、バレットでも腕にくくりつけちょけや!」

「むしろ12.7㎜ぶっ放せるガントレットとか作って欲しいんだけど!? 5連発くらいできるような感じで!」

「どんだけ無茶振りすれば気がすむんじゃあ!? ワシが天才じゃからと言っても、物には限度ちゅうもんがあるがや!」

「天才ならそれくらい何とかできるでしょぉ!?」

 

 際限なく続く口げんか。これいつになったら終わるのかね。

 俺たちは三度――今度はカワサキ嬢も一緒に、肩をすくめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イベントです」

 

 GSに帰還後、呼び出したトザマはそう断言した。

 件の走り屋。それに関する騒動がイベントとして原作ゲームにあったようだ。

 

「確か変則的なレイドバトルでしたか。謎のライダーを追って、有象無象を蹴散らして、ランクと回数で追いついていく感じの」

「つまり結構な騒動になるって事か。じゃあ今のところは予兆ってとこかね」

「多分ホープブリケイドが絡んだ辺りで事態が動くんじゃないでしょうか。そして当然のように隊長が巻き込まれます。例の走り屋がどこかの関係者の疑いがあるからって」

「……楽はできそうにないな」

 

 となれば近々お嬢あたりから、何らかの()()()があると見ていい。それとなく準備をしておくか。

 

「トザマ。その走り屋について、ネットで情報を集めておいてくれ。俺は業務しながらそれとなく聞き込みをしておく」

「了解です。装甲車も整備に回しておいた方が?」

「うちの車で走りの勝負ができるとは思えんが、頼む」

 

 やれることはやっておくさ。いつも通りにな。

 さて、面白くしてくれよ? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




Q.なんで素直に仕事引き受けたんですか?

タネダ氏「アホみたいな武器注文してくる連中ばかりな中で、ちょっと変わってるだけの普通の武器頼まれたら安心するじゃろが」

変な武器も作れるってだけで感性はまともな職人。
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