ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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【ヤンキー】

 

 

 

 

 

 【セツナside】

 

 

 スロットルを開け、オレはひた走る。

 相棒であるZⅡは、今日も上機嫌だ。レプリカだが性能はむしろ原型機よりも上がっている……らしい。オリジナルのものは程度が良ければ、下手すると億はいくから、手を出す気にはなれない。稼ぎ的には出せないこともねェんだが、合成燃料が使えなくて結局現代のエンジンに載せ替えにゃならんので二度手間だ。そうでもしなきゃただの飾りにしかならんし、オレ的にはありえねェ。

 まあそんな話はどうでも良い。今はオレらに売られた喧嘩を買うのが先決。精々高く買ってやるから覚悟しやがれ。

 

「総長、そこから3つめの十字路を左です。その先の合流で、ヤツと鉢合わせられるよう追い込んでます」

「良くやった! すぐに追いつく、それまで気張れヨ!」

「へへっ、なんなら先に《喰って》しまっても?」

「かまわねえが、油断すんナ。ナメてかかれる相手じゃねえゾ」

「合点承知の助!」

 

 目敏く黒いヤツを見つけた先行隊とメットのインカムで言葉を交わし、その指示に従って交差点を曲がる。ちらりとミラーを見てみれば、オレの後に仲間が続き、それに交じってお嬢が乗った戦闘指揮車がついてきた。あのオペレーター、相変わらず良い腕してやがる。

 お嬢も変わった女だ。うちの仲間が諍い起こしてポリ公ども(GS)とぶつかった際、連中に助勢したのが出会ったきっかけだったか。そんなことを幾度か繰り返しているうちに、いつの間にか連むようになっちまった。

 

「拳を交わしたらダチになるのが強者の流儀なんだよね?」

 

 とか言い出してオレに構うようになってきたのはちょっと参ったが、なんだかんだで付き合いは続いている。そしていつの間にか有名どころのクランと繋がりを持って、迷宮攻略の中核となった。計算尽くでやったのか、それとも天然なのか、いまいち判別がつかないし、どっちでもおかしくないと思える。いずれにせよたいしたタマだ。

 くく、と笑みがこぼれたのが自分でも分かる。地元じゃ鼻つまみ者で誰彼構わず噛み付いていたヤンキー崩れが、随分と丸くなったもんだよ。

 

 オレが生まれ育ったのは、封印都市周辺にある街の一つ。ダンジョンが出現してから起こった争乱は近年になってやっと落ち着きを見せたが、その爪痕は深く、未だに復興し切れていないところは多い。オレの地元はそんな復興が中途半端に終わった、半ばスラムみたいな所だった。

 ゆえに治安もガラも悪い。封印都市ほどじゃないが、しょっちゅうパトカーのサイレンは鳴り響き、誰かが誰かを傷つけ、誰かが誰かを踏みつける。そんな光景が珍しくもない、掃きだめのような街。もちろんオレだってろくな生まれじゃなかった。物心ついてからこっち、ポリどもにとっ捕まった数は数え切れない。半分は自分のせいだが、冤罪だったり決めつけだったり、オレを目の敵にしていたポリどもは色々やってくれた。そこまで嫌われるほどオレがやらかしたと言うことでもあるが。

 

「そんなオレが、今じゃ人並み以上に稼ぐクランのリーダーとはね」

 

 小さく呟く。最終的に少年院か封印都市に逃げ込むか。そういう判断を迫られたオレは、迷わず封印都市を選んだ。自分が更生できるなどと思ってなかったし、養豚場のように管理されるのは御免被ると、そう思ったからだ。

 封印都市を訪れてからのオレは、がむしゃらに突っ走った。もう誰にも舐められないように、過去の全てを見返すために。金も力も手に入れて、てっぺんに立って高笑いする。他人にとってはつまらない、馬鹿げた理由だろうが、オレはそのためにダンジョンへ挑んだ。

 幸い、テックの才能があるとわかり教習を受け、それなりに戦えるようになった。そこからめきめきと実力を付け、同じようなはみ出し者たちと連み、クランを立ち上げ本格的にダンジョンに挑み、糧を得る。それを続けるうちに実力もついてクランもそこそこ大きくなり、封印都市でも有数のクランにまでなっちまった。

 それでもオレの()()は止まらなかった。天下を取ると嘯いちゃいたが、その天下が何物なのか分からないまま走り続けていた。()()()()()()()()()()

 

「フン、腹立たしいことこの上ねえが……あのおっさんにも感謝するべきかねェ」

 

 認めがたいことではあるが、オレも少々方針を変えている。変えざるを得なかった。

 お嬢と知り合い、絆されたというのもある。が、それと同等に影響を与えてくれたのがポリ公ども(GS)大将(隊長)だ。地元でのこともあってオレはポリ(公僕)に対して憎悪にも似た嫌悪感を持っている。だから最初っから連中には反抗的だったし、連中もまた容赦なくこっちを殴りつけてきた。やっぱりどこでもポリは同じだ……と思ってたんだが。

 

 連中ひっ捕まえた連中を一晩豚箱に泊めたら、罰金だけむしり取って(払えないヤツはなぜか近場にある消費者金融に連れてかれるが)とっとと解放しやがる。豚箱の中では手を出さず、むしろ飯まで食わしてくれる有様だ。

 そも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。地元じゃバイクで走り回ってるだけで追いかけ回されたもんだが、夜中に走り回る程度じゃ連中眉も動かさない。それどころか必要があれば、何らかの取引をしてこっちに協力を要請してくる有様だ。

 

 基本的に()()()()()。最初は疑ったもんだが、やらかさなきゃ大体誰でも平等に扱う。オレらは単に有力なクランであって、それ以上でもそれ以下でもないと見ているのが、今は流石に理解できた。

 まあどうしても本能的に気に食わない存在ではあるんだが、嫌悪感は大分減ってそれなりの付き合いはできるようになった。片意地張らなきゃ余裕もできる。色々と考えを改めるきっかけにはなった。絶対本人に直接感謝してはやらねえが。

 

「まあいいサ。オレたちのやるこたあ変わらねェ」

 

 天下を取る。未だそれは漠然とした物だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それを見出して目指す。あるいは成し遂げる。そのために今は走り続けるのだと、そう決めた。

 そのために強くなり、学び、成長していく。オレたちはまだまだ止まれねェ。だからこそ、喧嘩売ってきた相手にはそれ相応の歓迎をしてやんねェとなァ!

 

「見えた! あれか!」

「お待ちしてましたぜ総長!」

『こっちでも確認したよ! セツナちゃん、フォローするから思いっきりやっちゃって!』

 

 道が合流するところで、黒いヤツとうちの連中が先行しているのに出くわした。追ってた仲間の通信と、お嬢のテレパスが跳んでくる。舞台は整った。

 

「ほんじゃあ、派手にいくゼェ!」

 

 オレはスロットルを開けて車体と自身に増強をかけ、駆け抜ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ※人物紹介

 【カワサキ・セツナ】

 

 

 漢字で書くと【川崎 刹那】。もちろんバイクのカワサキZⅡから取った。

 通称【総長】。特攻服にサラシという、いかにも暴走族という絶滅危惧種なスタイルでバイクを乗り回し木刀を振るう、明らかに出る作品を間違えてる人物。

 

 封印都市近辺の出身で、ギザギザハートの子守歌を地でいっていた。殺人以外の大概の悪さを行い、周囲からは疎まれ警察からは目の敵にされており、すったもんだの挙げ句に封印都市へ逃げ込んだ。

 封印都市で一旗揚げて見返したる! と一念発起し探索者の道へ。テック使いとしては遅咲きであるが、努力(という名のダンジョン大暴れ)と根性で上位テック使いに上り詰め、ついでに彼女を慕って集まった女郎どもをまとめ上げクランを作り、封印都市でも有数の勢力を築き上げた。

 テック使いになる前から木刀一本でダンジョンに潜り込むという無謀どころか気が狂ってるようなことをやっていたが、そのおかげで勝負勘が磨かれ真っ向からのタイマンなら大概の相手にひけは足らない。ただしチューおじのような引き出しの多い相手や大佐のような常識外の相手だと後れを取ることも多い。

 性格はそのまんま、暴走族の頭としか言いようがない。が、最近は色々な人間から影響を受けたせいか、少々丸くなりつつある。色々と頭を使うことも増えたからか、夜間高校に通い勉学に勤しんでたりもする。

 

 外観のイメージはゲームアイドルマスターの【木場 真奈美】。筋肉質かつきょぬー。

 イメージソングは氣志團で、【One night Carnival】。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




分かり易く言うと三日月の実力を持つオルガ。それが総長。
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