ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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 荒廃した地下施設を模したダンジョン。その中で豪雨のような銃声が響き渡っていた。

 

「レフト2! ライト3! 引っ張ってきたからお願い!」

「ッライ姐さん!」

「任せるです!」

 

 全力で駆けながら、時折後ろを向いてP90を撃っていたライト1。その後を付いてくるのは中型の来訪者【サソリ】が数匹。クワガタより小柄で、数匹の群れで行動するタイプだ。生物のサソリに似た尻尾の先端から、高熱で液化した金属を射出してくる。それを回避しながら駆け抜けたライト1の横合いから、レフト2とライト3が顔を出しサソリの群れに銃撃を加える。

 300blackout徹甲弾とチタンショットシェルが先頭のサソリを襲い、その頭部を粉砕する。感覚器(センサー)の集中した頭部を失ってもサソリは即死したりしないが、方向を完全に見失って後ろの個体とぶつかり、双方ともにひっくり返った。

 

「スイッチ! リロードするです!」

「心得た!」

 

 3+1のショットシェルを撃ち尽くしたライト3が物陰に引っ込み、それと交代してライトマシンガンを構えたレフト4が前に出て腰だめに射撃を行う。その間物陰に引っ込んだライト3は腰のホルダーからショットシェルを纏めて掴み、銃をひっくり返した状態で手早くチューブマガジンに装填。3発装填した状態で銃を持ち直しコッキング。さらに1発追加してフル装弾。

 

「もっかいスイッチするです!」

「承知!」

 

 再び入れ替わる。起き上がろうとしていたところで7.62弾の雨を喰らい蠢いていたサソリに向かって、今度はタングステンのスラッグ弾が叩き込まれた。

 表皮が撃ち抜かれ、体液が飛び散る。全ての弾丸が叩き込まれ、その個体は沈黙した。しかしその身体を乗り越え、残りのサソリが迫り来る。

 

「ライト5!」

「……りょ」

 

 ライト1の指示が飛び、12.7㎜の咆吼が響く。バレットから放たれた徹甲榴弾は、仲間の死骸を乗り越えてきた先頭のサソリを正面から撃ち抜き、内部で炸裂する。一撃で沈黙したサソリは後ろに崩れ落ち、残りの個体を妨害する形となった。

 

「体勢を立て直す前に仕留める! 乗り越えようとするヤツ、ひっくり返ってるヤツ、確実に当てろ!」

「「「「了解(りょ!」」」」

 

 一斉射撃が、残りのサソリを的確に襲う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな光景を、戦闘指揮車内のモニター越しに俺は見ていた。

 

「このクラスなら問題なく対処できるか。慣れてきたな」

 

 ぎ、と椅子の背もたれに体重がかかった。モニター用にドローンを飛ばしているライト4が、口を開く。

 

「混成の編成も問題ないようですね。……私ももう少し動けるようになれば良いんですが」

「訓練あるのみだ。焦る必要は無い」

 

 ライト4はドローンを制御している間自分が動けないという自身の欠点を修正すべく、訓練を重ねている。その甲斐あって普通に動けるくらいにはなったのだが、制御できるドローンの数は減り、戦闘に堪えうる動きをすることもおぼつかない。まだまだ鍛練を重ねていく必要があった。

 

「状況終了。総員、仮設拠点まで帰還してください。道中お気を付けて」

 

 オペレートを終えたトザマがこちらに向かって声をかけてくる。

 

「分隊に帰還指示を出しました。やはり4人から6、7人くらいまでが、ダンジョンで活動する理想の人数に思えますね」

「大体1分隊がベストか。メインで戦闘張るのが4人、交代およびバックアップが2、3人。これが一番やりやすそうだな」

 

 以前トザマに原作ゲームでの戦闘システムを聞いていたのだが、スターティングメンバーが4人まで、控えが3人まで、それに加えてフレンドのお助けキャラが1人、最大8人でパーティーを組むらしい。味方は一度に4人までしか参戦できないが、行動していないキャラは任意で控えやゲストとスイッチできるようだ。

 こっちの現実と照らし合わせてみると、大体当てはまる。閉鎖空間であるダンジョンでは、一つの場所で同時に動ける人数は限られる。互いを阻害しない、かつ最大の戦闘力を発揮しようとすれば、自ずとゲームと同じくらいの人数で活動するのがベストな形になる。上手いことできてるもんだ。

 

()()()()使()()()()()()で大型に手が届くようになれば、次はエリーターズと一般隊員との混成、最終的には一般隊員のみで中型をそつなく片付けられるようには仕上げておきたいところだ。最低限な」

 

 その言葉にライト4が眉を顰める。

 

「それが最低限って所に戦きを隠せないんですけど、そこまで警戒しますか? 例の黒いの」

「テックに対抗できるって言う前提ならな。場合によっちゃ上位連中でも喰うってことだ。一部を除いてテックが封じられた場合の戦闘力は、俺らとさして変わらん。テック無しで黒いのに対抗できるのが何人いるやら」

 

 最早テックが封じられることは確定として扱っている。逆に言えばそれくらいできなきゃ、いくら基本性能が高くともテック使いに対抗するのは難しい。対抗策が整ってない状態で不用意にテック使いと敵対するほど、無謀でも自信過剰でもないはずだ。確殺できる状況で無きゃ、テック使いに正面から挑む事は無い。逆に言えば向こうがこっちを相手取る動きを見せたら、対抗できる用意が整ったと見て良いだろう。

 それまでにはテック無しで中型以上と戦闘できるよう仕上げておく必要があった。

 

「クワイエットの頭目が言っていた、生体強化やサイバー入れた連中が探索者に増えてるって話もある。そいつらがすぐさま何かするとは思わんが、用心はしてしかるべき、だろ」

 

 その話が黒い連中と関係あるかどうかは分からん。が、最悪は常に考えておかないといけないからな。黒いのと共謀して一斉に蜂起。その際テックが使えない。準備も整ってない。なんて状況になったらしゃれにならん。

 

「まあないとは思うんですけど……相手が不死身とかだったらどうするんです?」

 

 妙に不安げな様子でトザマが尋ねた。彼女も自分の記憶に自信が持てないんだろうな。

 その様子に事もなげを装って答える。

 

「殺すことができないってんなら――」

 

 にぃ、と俺は口元を歪めた。

 

「粉微塵に粉砕して、ぶっ壊すまでだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




逃げてー黒いの! にーげーてー!
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