ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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くいーんすとらいく!
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【another side】

 

 

 こつり、と小さく音が鳴る。

チェスの駒。盤上に置かれたそれを見た人物は、呟くように言う。

 

「……やはり不足か」

 

 対面で駒を置いた人物――中学生くらいに見える小柄な少女は、微笑を浮かべ応える。

 

「そうだね。技は何とかなる。立ち回りも。だけど……ボクらのほとんどは体力と腕力で一歩劣る。()()()()()()()()()()()……あまりにも、不足」

 

 しばしの沈黙。ややあって。

 

「であれば、技と立ち回りから磨くか。体力はすぐさまどうにもならぬ。無いよりはマシかも知れんが、できる事からだ」

「得物も一通り見直した方が良いかもね。テック使わないと持ち上げるのもままならない、なんて子がいたりするから」

 

 その台詞に部屋の端っこでビキィ!、と言う音が微かに響いたが、それについては誰も何も言わなかった。

 

「我らは皆似たり寄ったりであろうよ。少なくとも小生は、テック無しで今の得物を使いこなせるとは思えん」

「じゃあ思い切って得物を変える? ボクみたいに合体機能付きの双剣とか」

「悪くない発想だ。だがその前にやるべきことがある」

「やるべき事?」

 

 少女の問いに対面の人物――私服姿のアルトウ・リアは、不敵に口元を歪めた。

 

「己の身の程を知るのさ」

 

 

 

 

 

「……ところで、これ待ったは有りか?」

「ダメ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【隊長side】

 

 

 その申し込みに、俺は眉を顰めるしかなかった。

 

「模擬戦? 俺たち相手に?」

「うむ。面倒なことを言っているというのは重々承知しているが、是非とも頼みたい」

 

 そういうのはクラン【ナイトブレイズ】リーダー、アルトウ・リア。クランの幹部を引き連れてGSを尋ねてきた彼女は、開口一番俺たちに模擬戦をしてくれないかと頼んできたのだ。

 

「件の黒ずくめ。その懸念は耳にしている。小生としても対策を練らねばと思っていたところだ。しかし、我らにはテック無しでの戦闘の経験はほとんど無い。かと言ってその訓練方法もよく分からぬ。ゆえにまずは、そう言った訓練を積み経験豊富なGS実働部隊の胸を借りたいと思ったのだ」

 

 ああ、なるほど。彼女なりに危機感を覚え、その対策の一環として模擬戦を申し込んできたのか。

 

「そも我々は戦闘中にテックの発動を抑えると言うことすら難しい。日常生活であれば意識の切り替えを行うことはできるのだが……そのあたりのコツも、ご教授願えればと思っている」

 

 彼女らは俺と違って、普通にテックの使い方を学んで来たからな。その使い方が身に染みついている。俺? 初めから()()()()()()()()()()()みたいでな。その分器用な真似ができるようになった。戦闘中でもテックのON、OFFくらい普通にできる。

 

「低位テック使いなら、エリーターズ(うち)の連中に教え込んだことがあるから、できるとは思うが……結構苦労するぞ?」

 

 何しろ今まで染みついてきた事を全部最初からやり直すようなものだ。エリーターズの連中でも苦労したのに、上位の彼女らが1からやり直すのはどれ位の苦労を伴うものか、想像に難くない。

 

「だがやらねば……テックが使えないという状況を経験しておかねば、いざというとき遅れを取る。今際の際に後悔しても遅かろう」

 

 なるほどなあ。苦労してでもやっておかなければならないことだと判断したか。そのためには人に頭を下げて教えを請うことも躊躇わずやれる。ある程度立場を持った人間が、中々できる事じゃない。

 

「その意気や良し、と言ったところか。上に打診してみる。流石に俺の一存じゃ決められないからな」

「手間をかけさせるが、よろしく頼む」

 

 そう言ってアルトウ嬢は手下と共に深々と頭を下げた。

 ふむ……俺にとっても()()()()()()()か。ドンピシャなタイミングで話を持ち込んでくれたもんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくして、俺はタネダ製作所を訪れていた。

 

「ほれ、頼まれていたモンだ。確かめろ」

 

 無愛想に言うタネダの親父さんは、傍らにあった細長い包みを無造作に差し出した。

 それを受け取り包みの布を取り払ってみれば、注文通りの品がそこにあった。手に取り様々な方向から見たり、各所を指で弾いたりして確認する。

 

「……流石だな。思った以上の出来映えだ。バランスも良い」

「体格と使い方が分かってれば、自ずとバランスの取り方も分かってくらあ。立ち振る舞いから好みも見えるわ」

 

 その洞察力と完璧な仕事するから色々重宝がられると思うんだが、この先も世話になるかも知れないので黙っておく。

 

「良い時期に仕上げてくれた。丁度入り用になったんでね」

「そいつはまた、なんか派手にやらかす予定でも?」

 

 その問いに、俺はにやりと笑いを返す。

 

「ご令嬢とダンスとしゃれ込むのさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




姫騎士もアップを始めた模様
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