ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
で、諸々調整してナイトブレイズと俺たちが模擬戦を行う準備は整った。
それはいい。
「なにこの見学人」
なぜか居並ぶ見知った顔。いや大佐は分かるんだよGSだから。他の連中はどっから現れた。
「だってアンタ、こんなおもしろそじゃなかった、今後の参考になりそうなことだよ? そりゃ知り合いに声かけて見物するさ」
あんたが話広めたんかい大佐。別に悪いことじゃないんだけど、なんかこう、納得いかねえ。
「見られて困るようなことは何も無いから良いんだけどな。……賭けるんなら分け前よこせよ?」
「何の話かねえ」
そっぽを向いてぴぷ~とか口笛吹く大佐。やっぱ模擬戦をネタに賭け事してやがったな。
「くっ、このアタシとしたことが出遅れたわ。胴元を先にやられるなんて」
「しゃあないわ、あの大佐だぞ? その気になったらうちらなんざすぐに出し抜く」
「賭けを差し引いても興味深い話である。今後の参考にもなろうさ」
「ま、おもしれェことには違いないサ。じっくり見せてもらうゼ」
「…………」
「仕事の途中の息抜きであると、頭目は申しております。拙者もまるっと同意見です」
「多少の怪我をしてもっだいじょうぶですよ。解剖ついでに治しますから」
「メガサイズのポップコーンとコーラは、観戦の
「みんな~、賭けないの~?」
「「「「「賭ける賭ける」」」」」
もう完全に観客気分だなこいつら。ガヤってる連中から意識を外し、アルトウ嬢に向き直る。
「あいつらは放っておこう。それで、どうする? 集団戦でも個人戦でも構わんぞ」
そう言えば、アルトウ嬢が一歩前に出た。
「まずは隊長殿と小生の一騎打ちを所望する。テック無し飛び道具無し。テックを使った場合は即座に負けというルールでどうだ?」
「お前さん戦闘でテック封じることはまだできんだろう。そっちはテック有りで、こっちは飛び道具なし。これくらいだろう」
俺の言葉に反応したのはアルトウ嬢ではなかった。
ビキィ、と額に血管を浮かべて、その人物は口を開く。
「へえ……鉄砲無きゃ低位にすぎないおじさんが、言ってくれるじゃない」
赤みがかった長い髪。勝ち気そうな瞳。ドレスっぽい意匠の軽装鎧を纏い、自身の背丈ほどもある得物を携えたその女性は――
「【ハバシ】、だったか。何か問題でも?」
アルトウ嬢の側近でクランの幹部。自身も上位のテック使いであるハバシ嬢は、青筋立てた笑顔で言う。
「
「おいおい、誰が
ハバシ嬢の台詞を遮り、俺は皮肉げな表情を作って言ってやる。流石に得物持ったテック使いに素手で立ち向かうほど無謀じゃない。それなりの用意はしている。
「銃を使わないのが物足りなく感じるかもだが、こいつは
互いに試金石になるって所かね。そういう感じで言ってみたらば、なぜかハバシ嬢は益々お冠になったようで、青筋を増やして告げる。
「オーケーオーケーそういうことなら遠慮無くコテンパンにしてやるわよ覚悟しやがりください」
「落ちつけ【ミトリ】。この程度は挑発ですらない。いきり立って対処できる相手ではないぞ隊長殿は」
ハバシ嬢の名を呼んで諫めるアルトウ嬢。確かに挑発したつもりはない。やるんだったらもちっと神経逆立てるようなことを言ってる。ハバシ嬢の方が元々機嫌が斜めのように思えるんだが……聞かない方が良さそうだな。
「すまないな、事を前に昂ぶっているようだ。まずは先ほど言ったとおり小生から相手をして貰う。テックはまあ……できるだけ使わないということで、よろしいか?」
「もちろん。私は誰の挑戦でも受けるってな」
俺はにやりと笑う。
対峙する。アルトウ嬢はいつものように鎧姿。しかし携えた得物はいつものどでかいパイルバンカーを内蔵したメカニカルなランスではなく、それこそ中世の騎士が持つような馬上槍だった。
俺はと言うとスーツのジャケットを脱ぎ、ホルスターごと銃を外した状態。そして腰には一本の得物。
「ほう、それは」
ズボンのベルトに差したそれは、一見して鞘に収められた脇差しにも見えただろう。ただ一つ、
「トンファーか? いや、柄がこしらえられていると言うことは……
中国武術などで使われる武具。こいつは確かにその機能を持っている。それがどういうことか――
「やってみたら嫌でも分かるさ。それじゃあ……始めようか」
ざり、と俺は一歩踏み出す。開始の合図など無い。対峙したときから俺たちはすでに臨戦状態だった。
僅かな沈黙。そして。
「参る」
「……っ!」
俺たちは同時に駆け出した。
そんなにロマンは詰まってない……んじゃないかな。