ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
がかっ、と金属同士がぶつかり合う音が響く。打ち込まれ突き込まれするランスを、俺が捌いている音だ。
打ち込まれる攻撃に合わせ動き、受け流す。互いにまだ本気ではない。様子見の範囲内だったが。
ふいにアルトウ嬢が攻撃をやめて下がる。彼女はランスを構えたまま、油断なくこちらを見据え口を開いた。
「思った以上に厄介だな、その得物」
俺の持つ小刀にもう一本グリップが生えたトンファーもどき。それに対して攻めあぐねているのが分かる。
タネダ製作所謹製、タングステン鋼鍛造のそれは、通常の刀剣と比べ肉厚で、刃も鈍く作られている。ゆえに打ち合いにはめっぽう強く、多少のことでは刃が欠けることもない。その上トンファーと小刀の使い方を瞬時に切り替えることができる。間合い、リーチ、動き。そういった戦いにおけるファクターが、一瞬で別物に変わるのだ。さぞかしやりづらかろう。っていうかそういう風に作って貰った。
「良くそのように器用な立ち回りができる事だ。ここまで格闘に精通しているとは、知らなかったぞ」
「手数を増やさにゃならんと思ってな。錆落としの真っ最中さ」
天舞流は合気道の流れを汲み、武器を持つこと、武器を持った相手と相対することを前提としている。基本は刀剣類や槍などだが、人によってはその他様々な武器を使えるよう技を磨く。俺は色々なものに手を出した覚えがあり、その中に脇差しもトンファーもあった。
それを基に技を組み立て、実戦で使えるよう拵えて貰ったのがこの得物だ。俺自身、扱い方を試行錯誤している最中である。丁度良い機会というのはそういうことだ。存分に
「さて、お前さんもテックを使わないで
「簡単に言ってくれる」
アルトウ嬢は苦笑。じりじりと間合いとタイミングを計る俺たちは、次の瞬間には弾かれたように動き出した。
【another side】
「なるほど、あれは【鉄刀】か」
突然にゅん、と生えてきたエイカが、訳知り顔で頷きつつ言った。
当然のようにエリーターズは誰一人驚かない。
「鉄刀? なんですそれ」
模擬戦を録画していたトザマが問う。もう当たり前に解説者顔でエイカは応えた。
「刀を模した鉄の棒、棍棒の亜種といったところかな。当然切断能力は無いが、打撃力は刀より上。使い手によっては刀をへし折るなんて芸当もできたらしい。僕はそれだと見た」
「でもあれ、刃が付いてますよ?」
「刃を付けてはいけないというルールがあるわけじゃないさ。それに、刃物だと思わせておいて、という油断も誘える。……加えて言えば、隊長君クラスになれば「とりあえず刃が付いている」と言うだけで十分だ。鋭い切れ味がなくとも断ち切る、かち割るといった運用で、十分なダメージソースとなる」
斬ることもできる打撃武器、そのようなものだとエイカは見ていた。その上で、彼女にはまだ注視するべき点がある。
「それにしても……ジャケットを脱いだ隊長君の姿はなんかこう、エロくてそそられるモノがあると思わないか?」
「ノーコメントで」
【隊長side】
鋭く突き込まれた槍を、右腕に沿わせた刃で受け流す。そこから左手で小刀としての柄を握り、居合いの要領で打ち込む。
アルトウ嬢は後退してそれを回避。槍を胸元に引き寄せ、左肩に担ぐように構えを変えてから、剣を振り抜くように打ち込んできた。これをまともに受ければ、俺の得物は無事でも腕にひびくらいは入る。だから横に飛ぶように回避。距離を取って得物を持つ左手を軽く前、右手を顎の前でガードさせるような形で構えを取る。
ふむ、やはり――
「
「こればかりはな。テックを使わないよう意識すると、どうしても一瞬反応が鈍る。
そのくらいは当然気づくか。手加減というわけじゃない。むしろ僅かだが動きのぎこちないアルトウ嬢の動きに合わせなきゃいかんので、普段よりも気をつかうくらいだ。
律儀なアルトウ嬢は、模擬戦で極力テックを使わないよう意識して戦っている。だから動きにぎこちなさが出ているのだ。逆に1テンポ遅れる程度ですんでいるのがおかしい。普通ならぎこちないではすまないはず。
「さては前もって訓練してたな?」
「やれやれお見通しか。格好を付けたかったのだが」
こっそりと鍛え上げていたらしい。彼女の本気度が窺える。
ならば……。
「ほんじゃあその意気に応じて、
言うが早いか、俺は体勢を低くして地を蹴る。
「なにっ!?」
恐らくアルトウ嬢からは、俺が下から伸び上がってきたように見えただろう。下段からの打ち込みを彼女はかろうじて受けるが、勢いを殺しきれず蹈鞴を踏みながら退く。
「よく受けた。だがまだこれからだ」
俺は足を止めず、さらなる打撃を加えていく。
実は使う人間の方がおかしい武器。