ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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【another side】

 

「なんなのよあのおじさん、おかしいでしょ」

「前からだよ」

 

 苛立ちながら爪を噛んでぶつくさ言うミトリに対して、隣の銀髪(見た目)中学生、【ランスウ・メイ】がツッコミを入れる。その背後で「ミトリさんの気持ちも分かりますけど」と小さな声で言うのが、リアを超える女丈夫【イヌヅカ・エイン】だ。

 3人はナイトブレイズの幹部であり、幼なじみとしてリアと付き合いの長い友人でもある。メスガキソウルの持ち主ミトリ、シニカルを気取る参謀格メイ、気は優しくて力持ちを地で行くエインと、それぞれ個性的な面子だ。

 3人とも見た目美女美少女で上位のテック使い。もちろんリアが抱く危機感もそれなりに理解しているのだが。

 

「テックいらないでしょあれ。なに今まで三味線弾い(手加減し)てたっての?」

「いや、今の状況なら、テック使えれば()()()()()()。無論ボクらでもね」

 

 ミトリの言葉に応え断言するメイ。「そうなのですか?」と問うてくるエインに、彼女は頷いた。

 

「もちろん今の状況、()()()()()()()()()使()()()()ってのが大前提だよ。どっちか使われたらボクは全速力で逃げるけど」

「いやそりゃ勝てる……あ、そういうことか」

 

 ミトリも気づいたようだ。確かに今の状況でも隊長に接近を許したら一方的にボコられそうだが、要は()()()()()()()()()()()のだ。多分エナドリがぶ飲みして気力尽きるまで大技乱発したら何とかできる。

 ……できるはずである理論上。

 

「今の状況は互いにテックを使わないから成り立つ。そも彼、ボクらなんかとやり合うときには馬鹿正直に真正面から相手しないからね。現状が特殊なのさ」

 

 でもねと、メイは戦いの様子を見据えながら言う。

 

「テックが使えない、なんて状況が本当に起こるのであれば、特殊じゃなくなるかもね。そうなった場合()()()()()()()()()()()()()。……やっぱり備えておく必要がありそうだ」

 

 いずれ本格的に隊長が敵に回るかも知れない。それを予測していると匂わせる、シリアスな台詞だった。

 

「特にテック頼りでかっこつけたでっかい武器を振り回しているような誰かさんはちゃんと考えとかないとね? 実際の体力はひよこ並なんだから」

「は!? そんなことないんですけど!? 頑張ればダンベル2㎏くらいは持ち上げられるんですけど!? 両手で!」

 

 一瞬にしてシリアスは旅だった。

 

「そういうメイだって大して変わらないじゃない! それに背も伸びないし! 毎日こっそり牛乳おなか壊しそうになるまで飲んでるの知ってるんだからね!」

「ぼ、ボクも成長期来るもん! そのうち(リア)ちゃんやエインちゃんみたいにばいーんってなるもん!」

 

 ぎゃいぎゃい姦しく騒ぐ2人を横目で見て、エインはこっそりため息。彼女からすれば小柄で可愛い2人の方が羨ましい……じゃなくて、なんだかんだで自分たちはテック無しで実戦に挑めるようになるまで、しばらくかかりそうだなあと、半ば諦め気味に考えている。

 がんばるしかないかあ。最悪はいつでも不意打ちしてくるしと、彼女は後ろ向きに前向きであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【隊長side】

 

 

 アルトウ嬢の動きから、ぎこちない部分が減っていく。テックを使わない戦い方に慣れてきた証拠だ。

 やはり彼女の才覚は図抜けている。いやここに集った連中は大概そうなのだが、戦えば戦うほど強くなる感じを受ける。ゲームだとすれば、レベルアップで能力が向上していくのが手に取るように分かる、と言ったところか。

 

「ふむ、()()()

 

 不意にアルトウ嬢が呟き、彼女の動きが変わる。踏み込んだ足を軸に旋回。槍を横薙ぎに一閃し、それが回避されたと確認する前にさらに踏み込んで回し蹴りを放ちそれも回避……したと思ったら不安定な体勢から槍を突き込んできた。ちょいと不意を突かれたが、何とかそれを弾いて距離を取る。

 

「今のは良い。こっちの動きを読んで来たか」

「大分慣れたからな。流石に人体の駆動範囲以上の動きはできまい。いややりかねんと思ってしまう自分もいるが、とりあえずはそこまでではないようだな」

 

 人をなんだと思ってるんだ。流石に関節外して可動範囲を広げるとか、そこまではできんぞ。

 

「やはり基本に立ち返ることは大事だと痛感した。小生も最初からテックが使えたわけではない。武の鍛錬はその時点で始めていたのだ。その頃の感覚を思い出せば、存外やれるものだ」

 

 ホント良いセンスしてるわ。もうすっかりテックを使わない戦い方に慣れてきたらしい。戦いの最中で成長するとかどこの漫画だよ。いやゲームの世界っぽいけどさ。

 そんな内心をおくびにも出さず、俺は応える。

 

「初心忘るべからず。お互い意識を改められたのは収穫だったな。……じゃあそろそろ、()()()()()()()()()

 

 そう言ってトンファー脇差しを納刀。腰に差したそれに手を添え、前屈姿勢で低く構える。それを見たアルトウ嬢は、訝しげに眉を寄せた。

 

「居合い、だと? その得物では不向きであろうに、何を企んでいる」

 

 確かに(グリップ)が一本余計に生えているこの得物では、抜刀しづらいことこの上ない。それが分かっていてあえてこの構えを取るんだ、何か企んでいると誰でも察する。だからにやりと笑ってやった。

 

「やってみれば分かるさ。仕上げをご覧じろってな」

「ふ、よかろう。ならばあえて真っ向から挑ませて貰う」

 

 アルトウ嬢も不敵に笑い、構えを取る。場が静まりかえり、空気が張り詰めて来る。

 緊張が頂点に達し――

 俺たちは同時に動いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




もちろん某フェアリーな騎士達がモデルの姫騎士お付き。
そしてそろそろ決着の予感。

あと姫騎士の二人称が間違ってたのでこっそり修正。
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