ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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別に周囲の期待に応える必要は無い。空気読まねえヤツと思われるだけだ
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 代表の執務室にて、俺は彼女と話をしていた。

 

「米国軍研修の第2弾が決定したわ。派遣は2ヶ月後。前回と同じ規模で、上位テック使いの派遣は無し。現在研修してるあの子達の引き上げもないそうよ」

「新しい()()()は確保できなかったというわけですか。彼女らも大分仕上がってきましたので、返しても良いかと思うのですが」

 

 前回の研修はある程度の成功を収めたと判断されたようだ。実際参加した兵士達から俺に宛てて個人的に送られてきたメールで、その後の状況はある程度分かっている。どうやらそれなりに研修の効果はあったようで、配属先で活躍しているだの手柄を立てただの、五体投地せんばかりの感謝と共に知らせてきた。

 付け焼き刃とは言えたたき込んでやった基礎は、役に立っているようで何よりだ。実際に効果があったのを喜んだのは兵士達ばかりでなく、計画を推進させたお偉方もだったようで、早速おかわりを差し出してきたらしい。

 それはいいんだが……あのヴィランカルテット引き取らないのはなんでだ? その疑問に代表が答えた。

 

「向こうのダンジョン周りの利権関係が、まだ整理されてないのよ。要は探索者が儲けられる環境が整ってないわけ。まだテストケースとしてあの子達を放り込める状況じゃないわ。多分まだしばらくかかるでしょうね」

「なるほど。彼女らだけ仕上がっても意味が無いと」

「ついでに言えば、あの子達の管轄は基本異世界対策機構。GS(うち)はあくまで協力関係にあるだけよ。むこうと米国の間で話は決まるわ」

「そう言えばそうでしたね。危うく忘れるところでしたよ」

 

 ちょっと冗談めかして言う。俺よりも別れを惜しんでおんおん泣いていた米兵達の方が忘れてたんじゃないかね。

 

「ともかく教練の準備はしておいて。前と同じ要領で良いわ。多分向こうも前回のことを踏まえて用意してくるでしょうから」

「承知しました」

「頼むわね。……まあそれはそれとして」

 

 代表は話題を変えるようだ。

 

「あんた、今()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 その問いに俺は少し考え、答えた。

 

「テック無しでも来訪者との戦闘には慣れてきましたね。テック有りなら……中型を素手で爆散とまではいきませんが、動きに支障が出るダメージを与えるくらいには」

「素手でそんだけのダメージ与えられるのはおかしい……いやいたわね、素手で中型以上をポンポン狩ってるひと」

 

 頭目――ヒエイ・マヤのことだろう。自称カラテカ(空手家ではないらしい)である彼女は、己の技にテックを上乗せした多彩な攻撃を誇る。要は格闘ゲームキャラじみた何か飛ばす攻撃とか普通にやるのだ。

 速度属性のためか基本攻撃力はさほど高くないが、手数の多さと技の巧みさでそれを補っている。中型くらいであれば余裕で対処できる御仁だった。

彼女の他にもテックが使えなかった頃から木刀一本でダンジョンに殴り込みかけてたカワサキ嬢みたいなのもいるし、さしたる装備無しで中型以上を狩れる存在はまれによくいた。

 

「来訪者に通じるようになっただけでも御の字ですよ。あとは切り札として練り上げていくのみです」

「謙遜しているように見せかけて爆散させること諦めてないでしょあんた。そういうとこだぞ」

 

 ジト目で俺を見る代表。切り札の威力はあるにこしたことないと思うんだが。

 まあいいか。別に止めてるわけじゃないし。

 

「自分はこんなところですが、隊員達もかなり使えるようになってきました。一般隊員でも、程なく中型相手に戦えるようになるでしょう」

「いざというときに表立って貰わなきゃならないんだもの、それくらいはできなきゃね。ともかく順調だってのは分かったわ。……骨折り損のくたびれもうけになってくれないかしら」

「であればいいのですが、こういうときに限っていざというときは来るものです」

「なのよねえ。しかも予想外の方向でよ」

 

 代表は深々とため息。気持ちはよく分かる。なにしろその予想外の方向で迷惑被るのは俺たち(GS)なんだから。

 何事も無ければ良いんだが。天に届かないと分かっていても、俺たちは祈るしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「新規に立ち上がったクラン? 黒ずくめの連中が?」

「そうかも知れないって段階ですね。事務局の方に提出された関係資料に、同じとしか思えない強化装備が記入されてます」

 

 トザマの報告を、眉を顰めて聞いている俺。彼女の言うとおり、探索者の登録事務局の方から、新規に立ち上がったクランの情報が回ってきたようだ。その装備が、例の黒ずくめと同じ物らしい。

 

「詳しくはこちらになります」

「中身までは一緒かどうか分からんが……ん? これは」

 

 受け取った資料に目を通す。データ流出を防ぐため樹脂紙にプリントされたものだが、問題はその中身だ。

 

「構成員の多くが、()()()()()()()()()()()()か。その上で強化フレームと似た機能を持つ装備を運用する、と。生体強化を受けているとはっきり明言しているのも珍しいが」

 

 あの黒いライダーが同じ状態だとすれば納得できる。生体強化で反射神経などを向上させ、強化装備で身体能力を補う。新しいタイプではあるが、理にはかなっていた。

 

「クランの名は……【ネクスティス】。次なる、次世代の、とか言う意味かな? さて」

 

 こいつらは黒ずくめと同じ連中なのか。そして敵か味方か。

 何よりも予想外の方向で俺たちに迷惑をかけてくるのか。そこが問題だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




敵かな?味方かな?
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