ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
新たに探索者として活動することとなったクラン、ネクスティス。その目的、思惑。俺たちはそれを早々に知る必要があった。
幸いにして、俺たちには調査を実行できる理由と手段がある。
「それは分かるのですが。隊長、なにゆえこのメンバーなのでしょうか」
助手席に座るレフト1が尋ねてきた。
「テック無しの状態でも安定して戦闘ができる面子だからさ。ま、初っぱなからドンパチが有るとも思えんが、念には念を、だ」
「それは然り。されど一つ問題が」
「……確かに」
後部座席のレフト4と5が言う。なんだよ問題って。
「「「狭いんですが」」」
アルトの車内にギッチギチに詰まった野郎どもが口を揃えて言った。
「しゃあねえだろ。装甲車で乗り付けたら喧嘩売ってるようにしか見えん」(←182㎝。細マッチョ)
「それはそうなんですが、隊長だけ先行して我々は装甲車で待機でも良かったのでは」(←196㎝。ガチムチ)
「即応するには手軽がよいのでありましょうが、もうちょっとこう、何とかならなかったのかと」(←187㎝。筋肉デブ)
「……正直これ拷問では」(←204㎝。巨漢)
「初代フィアット
わかんない人にはカリオストロでルパン達が乗ってたアレで通じるだろうか。比べたらアルトは広いと思う。
それでも普通車とかより狭いのは確かだが、長時間乗ってろってわけじゃないんだ。我慢して貰おう。
そんなこんなやってるうちに、目的地へと着く。ネクスティスが本拠と定めた建物だ。
1階部分がガレージや小規模の工場として使える3階建てのビル。外観は一見煤けているが、窓ガラスが損失無く全て新品に変えられているように見えるところから、中身は手を入れられていると推測される。金のないところはこういう部分を手抜きするから、資金はそれなりに突っ込んでるようだ。
1階のシャッターは開放されており、ガレージとして使用されているのか数台の車両が停まっているのが分かる。その中の1台に、俺は見覚えがあった。黒のデリバン。以前マウザ嬢……総統の実家の家宝である銃を奪還しようとした騒ぎの時に、件の銃をオークション会場から強奪した黒ずくめどもが使った車だ。
「こりゃ間違いなさそうだな」
「どうします? しょっ引きますか」
「いや、面倒だ。話聞く程度にしておくさ」
言ってみればテロリストに雇われていたんだから、しょっ引く理由にはなる。が、連中のバックがはっきりしない状態で手を出すのは悪手だ。藪をつついて蛇に出て来られるのはかなわんからな。今回は様子見程度にしておく。
車を降り、厳つい野郎どもを連れてビルへと赴く。開いているガレージの奥に人影を認め、俺は声をかけた。
「GSエリーターズの者だ。誰かいるか?」
「はあ~い少々お待ちを……ってGS!?」
返事があったのだが、何やら様子がおかしい。人影が何やら慌てた様子で奥に引っ込んだのが分かる。そして奥の方からどすんばたんどんがらがっしゃん、といった騒々しい音が響いてきた。
「迎撃の用意……にしては落ち着きのない音だな?」
「どちらかというとガサ(入れ)されて慌ててる連中みたいな反応ですね」
「妙ですな。今返事した人物、音からすると動きが素人。警戒している風ではなさげですぞ」
「……戦闘要員ではない、のでは?」
「であれば、襲撃なんぞは考慮に入れてなかったって事だ。随分と不用心な」
あるいは。ちらりと俺はガレージの四方に視線を奔らせる。監視カメラは……あるな。だとすると今反応した人間は見せ札って事も考えられるか。ただの間抜けではないと思うんだが、さて。
ややあって。
「お、お待たせしましたー!」
「落ち着きたまえ。いきなり取って食うような相手でもないだろう」
「貴女はもう少し急ぐことを覚えた方が良いと思うが」
奥から姿を現したのは3人。
一人は作業服の、高校生から大学生くらいに見える幼げな青年。その次に現れたのが白衣を翻しやたらとえらそうなボサボサ髪に眼鏡の女性。そして隙の無い立ち振る舞いを見せる、何らかの制服のようなジャケットを纏った男性。
その中の女性が、ずいと前に踏み出し、堂々と宣った。
「ようこそGSの諸君! 私がクランネクスティスの代表、【テンドウ・アユミ】である! 天の道を歩む女と覚えてくれたまえ!」
いきなりこっゆいの来たなオイ。 色々想定していたが、こういうキャラが出てくるのは、ちょっと予想外だったわ。
「それで何用かね生体強化技術かサイバネティクス技術か各種装備か!?もちろん要望に応じて新技術の開発もしようではないかさあどれだどうするのかねあいたぁ!」
ぐいぐい来る女性――テンドウ女史の勢いを止めたのは、ぼぐん、という鈍い音。いつの間にかテンドウ女史の背後に回った男性が、彼女の後頭部を静かに殴ったのだ。
「いったあ! な、何をするのかね【ダイチ】君!」
「こうでもしないと貴女止まらないだろう。彼らも大分引いている」
頭を押さえて抗議するテンドウ女史を半ば無視して、男性は油断のない視線をこちらに向ける。
「失礼した。ネクスティス副代表兼実働部隊指揮官、【ダイチ・キズク】です。よろしく」
頭を下げる男性――ダイチ氏。その雰囲気から何らかの正式な訓練を受けた気配が窺えた。
なるほど、どうやらこっちが本命のようだな。
多分総重量400㎏超え