ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
GSは警察ではない。基本はパトロールして出会った迷惑なヤツをぶん殴って豚箱に放り込んで罰金を徴収したり、 通報を受けて出動し迷惑なヤツを(以下略)するのが主な仕事だ。
その日も、ある通報から始まった。
「失墜天使が集団で暴走? いつものことでは?」
「あいつらが集って走るのは大体夜中だ。昼間は探索者してるか仕事してるか学校行ってる。たまに下っ端が問題起こすが、纏めて真っ昼間から集ってるのは珍しいな」
ライト1の言葉に、俺は眉を寄せた。
近隣住人からよせられたいくつかの通報。内容は同じ物で失墜天使が大通りを集団で暴走しているという物。ただの暴走であれば放っておくのだが、どうにも連中殺気立っている様子だ。
ピンときた。
「連中が向かっている場所に目処はついてる。出られるメンバーは通常装備で出るぞ」
「対集団戦用ではなく?」
「予想通りなら戦闘にはならん……と思いたい。多分また馬鹿馬鹿しい騒動としょうも無いオチが待ってる」
そう言いながらジャケットを羽織り、私物のMCXを手に取った。
で、車で走ることしばらく。俺たちは目的地に着く。
「やっぱりここか」
様々なバイクに乗り殺気だった失墜天使の構成員達が空ぶかしやホーンを鳴らして威嚇しているのは、ネクスティス本拠のビル。
まあつまり、この間の落とし前付けに来たというヤツだろう。
「アン? ポリ公どもか。邪魔すんなら纏めて
ビキ、ビキィという擬音を背に、ZⅡに跨がったカワサキ嬢――総長が、青筋立てたご機嫌斜めの表情でこちらを睨め付ける。彼女らにもそれなりの情報網はある。この間の下手人がここにいると知れたのだろう。あのときは大分お冠のようだったし、お礼参りを考えてもおかしくはない。
「こっちも仕事でな。
MCXを肩に担いだ俺は、そう問うてみた。すると。
「はっ! オレらがいつまでも暴力に訴えるような成長のない……」
「よくぞここまでたどり着いた精鋭達よ!」
総長の台詞が、空気読まない大音声にぶった切られる。
視線を向けてみればビルの真正面に立つ人影が一つ。
風にたなびく白衣を纏い、威風堂々と腕組みしているのは、ネクスティス代表テンドウ・アユミ。ぎゅぴらんと眼鏡を光らせた彼女は、不敵かつ怪しい笑みを浮かべて、再び吠えた。
「私がネクスティス代表、テンドウ・アユミであーる!」
「「「「「……は、はあ。どうも」」」」」
なんか思ってたのと違うのが出てきたせいか、一瞬毒気を抜かれた失墜天使一同は、間の抜けた返事を返した。が、はたと己を取り戻した総長が再び青筋を立てて噛み付いた。
「よく分からねェがいい度胸だ! この間コケにしてくれたお礼参りに来てやったゼ! さあ、あのキテレツフライングバイク野郎を出して貰おうか!」
「それは自分のことかな?」
出待ちしていたかのような台詞。そちらの方に視線を向けてみれば。
フィィィィィン……と鳴り響く、モーター冷却用ファンの音。一分の隙も無く着込まれた黒いフルプロテクタースーツ。アメリカンスポーツを象った燃料電池式謎電動バイクに跨がって現れたダイチ氏だ。フェイスガードを上げ、露わにされたその表情は鉄面皮だが……もう格好が全力でやる気だった。
まあこんなことになるんじゃないかと思ってたよ。
「へェ……やる気じゃねェかヨ」
怒りを秘めたまま笑む、獰猛な表情を見せる総長。
「この間のデートがお気に召さなかったようなのでね。埋め合わせと言うことだよ」
相変わらずいけしゃあしゃあと宣うダイチ氏。どうやらこそこそとテストを行う必要性がなくなったようで、堂々と勝負を受ける気らしい。
「うむ! 素晴らしい! わざわざ実験台もとい挑戦者が現れてくれたとは実に僥倖! 手加減抜き全身全霊の勝負、受けて立とうではないか!」
「勝負を受けるのは自分なのだが」
無意味にえらそうなテンドウ女史に、ぼそりとツッコミを入れるダイチ氏。まあそれはそれとしてとか呟いて、彼はフェイスガードを下ろす。
「勝負の方法は貴女が決めてくれれば良い。いかなる物でも受けざるを得ないだろう。……容易く負けてやるつもりもないがね」
「ジョートーだ。吐いたツバ飲むんじゃ――」
「ちょおおおおおおっと待ったああああああ!!」
盛り上がってきたところで水を差す声が響いた。
どこだ誰だと皆が見回す中、近隣の建物の屋上に、太陽を背にして立つ人影がある。
「ンとぉう!」
それは一声発して跳躍。くるくると複雑な回転をしながら落下し、ズドンと轟音を立てて着地する。
「その勝負! アタシが預かったわ!」
びしずとポーズを決めて高らかに宣うのは、誰有ろう777マフィアのボス、イケハタ氏だ。
流石にこの登場は予想外だったんだけど。
「いや何しに来たのあんた」
つい尋ねてしまう俺。それに対してフフンと余裕ありげな態度を見せるイケハタ氏。
「こんなこともあろうかと、このあたりを張ってたのよ。このアタシが2度も出し抜かれるなんて失態を犯すわけにはいかないからね!」
そう言ってから、ぽかんとしてるバイクに跨がった二人を指して、彼は吠えた。
「さあ、折角の大勝負、派手に大胆にブックメイクさせて貰うわよ! そして胴元のアタシはがっぽがっぽ大もうけって寸法よ! 覚悟なさいな!」
こうして、なんか勢いで大事になっていくのであった。
……え? 続くんだこの流れ。
なんか強引な展開に。