貴方はこのストーリーを見届けるモノにしてSKPです。
あまりにも悪夢的な、いや冒涜的な経験を持つ貴方は変な縁から高度育成高等学校に通う事になりました。
貴方はふと、大きな喪失感を抱き目を覚ます。
冒涜的な、そんな悪夢を見たようなそんな最悪の目覚めに貴方はゲンナリとした想いを抱くだろう。だが、そんな目覚めは貴方にとって日常茶飯事である。もはや気にすることもないとばかりにベットから起き上がった。
ベットの近くに置かれた身長大の大きな鏡は、貴方の姿を映す。
どこにでもいる様な至って普通の少年。薄緑色に靡くその髪と金色に輝く瞳。更には華奢なその容姿は見ようによっては少女にも思えるほどだ。更に少しばかり見目が整っている様にも思えるその顔には寝ている間に流したであろう涙の跡が微かに残っている。
「……………」
涙の跡を拭い、貴方は机の上に並べていた星型が刻まれたペンダントを首から掛ける。注意深くその星型を眺めれば星型の中心に瞳の様な炎が立ち上るかの様な模様が刻まれているが、それは重要な情報ではない。
さてペンダントを首に掛けた後に貴方は器用に服を着替えるだろう。クローゼットの取手に掛けておいたであろう衣類カバーも付いている新品の制服に着替える。
「【高度育成高等学校】か」
貴方は朝食代わりのゼリー飲料を口にする。クククク……ゼリー飲料はビタミン ミネラル タンパク質 そして塩分が含まれている完全食だァという雑学が貴方の脳裏を微かに横切る。
そんな野太い男の声を遮り、貴方の思考の中には今日から入学する高校の事が浮かぶだろう。【高度育成高等学校】という通称【高育】と呼ばれるその学校は東京の埋立地に作られた学校であり、三年間外部との連絡が一切断たれる寮生活であるが希望する進学先・就職先に100%答えるという謳い文句で人を集めている学校である。
「バスがあるのか」
もちろん、貴方はそんな100%だとかあまりにも怪しすぎる学校に当初は行く予定は無かった。だがこの学校から推薦が出ていたり、貴方自身が身も心も休めたいといった理由から貴方は坂柳さんという知り合いからの推薦により、この学校への進学を決めた。とは言ってもその推薦が届いたのはつい先日の話だ。
貴方は口に咥えたゼリー飲料を吸い上げながら学校へのアクセスを調べていると数駅隣から直通のバスが出ている事が分かる。貴方は少し考えた後に、少し早めだがもう向かうために家を出ることにした。この家にはもう一人暮らしなのだから三年間家を留守にするという諸々の処理をしていた為、インフラ等は止まっている。
「いってきます」
1人で住むのにはあまりにも大きな家。複数人が住んでいてもおかしくないその一軒家に貴方は鍵を掛けて行く。ここから先は今までとは違ったまた別の景色が見れるのだろうと、少しだけ期待しながら。
貴方がバス停前に着いた時、そこにはもう既に多くの生徒がその場に立っていた。その場の多くは我関せずとばかりにスマホを弄る人が殆どで、興味深そうに周囲を見渡している人は少ない。
そうしていると手持ち無沙汰になった貴方も手慣れたようにスマホを取り出し、メールを送っていく。ひとつひとつもう返事が返ってくる事はないメールアドレス先にも今から【高育】に行くと伝えて行く。直ぐに返ってくる返信もあれば、受け取り先に不備があるのか送れなかったメールを捌いていると、もうバスは来ていた。
「………………」
席に座った貴方は隣に座る少女を見るだろう。互いに顔を見合わせた後少し会釈し、また自分の世界に籠るだろう。再度手持ち無沙汰になった貴方は乱雑に詰め込んだ鞄の中から一冊の本を手に取った。一眼見ただけで上質なカバーが掛けられていると分かるその本を手慣れたように貴方は開き、撫でるように読んでいく。
「あの」
一枚一枚、本として装丁されたその紙もどこか古めかしさを感じるが非常に良い状態の紙であることが分かる。だがその中に書かれた文字は日本語では無い。少なくとも英語でも、中国語などでも無い。だが貴方はまるで手慣れたように読み進めるのを見て隣の少女が小さく声を掛けてくる。
「いえ、その本読めるんですか?」
その時、貴方はようやく隣に座った少女も本を手に取っている事が分かる。光の当たり具合によっては水色にも見える銀髪に紫色の瞳の少女は興味深そうに貴方の手に開く本を見つめている。その少女を見ているとクラスに1人はいるマドンナほどの美貌を持つ子であると貴方は認識すると同時にどうやらこの少女は心の底からこの本に対する興味と微かな興味に準じた好意を感じ取る。
なので貴方はその問いに是と答えた。この本に書かれた文字はラテン語で、内容は少し不思議なファンタジー要素を含んだ物語であると追加で説明する。ちなみに表紙には何も文字が刻まれていないのはあくまで仕様である。
「そうなんですね…!ちなみに日本語訳などはあるのでしょうか?」
グイグイ来る少女の勢いに貴方は少しばかり押し負けたのか、これの日本語訳は見た事がない。と口にするだろう。もしかしたら古本屋か何処かでなら見つかるかもしれないがあまり深入りするのは止めておいた方が良いと少女に貴方はそれとなく伝えた。
「……それはまたどうしてでしょう?」
心の底から不思議そうに首を傾げる少女に貴方は、またふんわりと説明する。
世界各地にある曰くつきの物のひとつ。そのレプリカがこの本であると。原本が今誰の手元にあるのかは不明だが、少なくとも持っているだけで不幸に見舞われるという本のレプリカであると貴方は言いくるめをするだろう。
「それはとても夢のある話ですね……!そう言えば今更ですが」
貴方はどうやら少し過剰に言いくるめたのにその少女の反応から見るに逆にこの本を追いかけてみようという燃える様な意志を感じ取ってしまった。脅かしすぎたかと貴方が密かに後悔している横で、少女が言い忘れていたとばかりに自己紹介をした。
「私の名前は椎名ひより、と申します。……貴方の名前を聞いても宜しいですか?」
勿論、貴方も名前を名乗らない理由はない。こんなバスの片隅で貴方たちは自己紹介をして握手を交わす。少しおかしそうに笑い合い、同じく読書を嗜む者として同じクラスに振り分けられたら良いなと少女…いや椎名に同意した。
『間もなく高度育成高等学校前〜間もなく高度育成高等学校』
そうして貴方は椎名と読書という趣味で合致し、しばらく本の話題で話しているといつの間にか目的地である高育の近くまで着いたらしい。バスの運転手に軽く会釈をし、貴方はバスから降りると目の前には聳え立つ柱と門が開き、柱には分かりやすく白い看板で入学式と大きく書かれている。
「ここが、高育………何かの縁ですし一緒に行きませんか?」
貴方は隣にいつの間にか椎名が立っていた事が分かるだろう。同じ様にその大きさに圧倒されているのを見て、椎名は貴方に少し先にあるであろうクラス分けのところまで一緒に行かないか。と声を掛けた。勿論、貴方に断る理由はない。再び是と答えて貴方は椎名と共に歩き出したのだった。
──────貴方の平穏な新生活が、ここから始まる
その人は、まるで愛おしそうに本を捲っていました。
私、椎名ひよりにとって本というのはかけがえの無いモノです。小さい頃から本を読むのが大好きで、いつの間にか本を中心とした生活を送ってきました。何も無い時は常に図書館にいるほどの本の虫でした。そんな私が高校として進学するのは高度育成高等学校…略して高育と呼ばれる名門校。100%の進学先を保証するという国が主導しているその学校に推薦で入学する事ができたのは幸運な話でしょう。
入学式の日。少し早めに家を出て、私が乗ったバスの隣の席には既に先に座っている子がいました。綺麗な薄緑の髪の子。まるで光の当たり具合によっては玉虫色にもオーロラの様にも見える綺麗でサラサラとした髪の人。おそらく男物の制服を着ていらっしゃらなかったら私は女性と勘違いしたのかもしれません。とは言ってもあくまでこの時点ではそこまで。この学校には非常に容姿端麗な方がいらっしゃるのですね。という認識だけでした。ペコリと小さく会釈して隣に座り…
「……………」
いつもの様に鞄の中に詰め込んだ本を取り出して、読み始めるとどうやら隣の人も本を手に取ったじゃありませんか!…嘆かわしい事ですが近年、こうして本を手に取り読書に勤しむという人が減ってきています。同じく読書を趣味とする初めてあった同い年で同じ趣味を嗜む同士の方は一体どんな本を読まれているのでしょう。私はあくまで興味のつもりで小さく目を寄せそんな彼の手元の本をチラ見しました。
おそらく上質な革表紙の本。表紙の飾りも無骨なデザインでありながらどこか洗練されたアンティーク味を感じさせる洋書…でしょうか。今まで多くの本を嗜んできた私でさえ見たことも無いような表紙に中身は一体どんな話が書かれているのか。初めて見る書物。まるで身体の芯を貫くゾクゾク感と高揚感を抑えながら、彼の手元の内側をこっそりと拝見させていただきました。
(…………え?)
その瞬間、私の思考が白紙になる感覚。完全に想定外…いえ、全く想像していなかった文字がそこには書かれているではありませんか。洋書ではないか?という予想を立てていた私にとって、この書物は英語で書かれていてもおかしくありません。ですがまあ日本語で書かれているでしょう。そう思った私の考えを粉砕するかのようにそこには見た事無い文字が書かれていました。
気になる、気になる、気になる、気になる!!
それは一体なんという本なのでしょう。今までに読んだ事も見た事も無い完全に未知の書物!一体誰が書いたのでしょう。一体どんな内容なのでしょう。一体誰が書いたのでしょう。その本に対するあらゆる疑問が胸奥から溢れ出し止まりません。
気がついた時にはもう、彼に声を掛けていました。
「あの」
「?はい。どうしましたか?」
バスの中というだけあって小声ですが、私のあまりに突然な声にも嫌がらず彼は本を中断してこちらに顔を向けて首を傾げていました。彼の瞳は黄色にも金色にも見えるその瞳にはどこか惹かれるような魅力がある様にも思えて…いえ、それは無粋ですね。
「いえ、その本読めるんですか?」
「この本ですか?……ええ、まあラテン語ですがファンタジー小説なので難しくありませんよ」
あまりにも突然で突拍子のない質問に彼は少し逡巡した後、確かにそうだと頷きました。私はそんな彼の言葉が嘘だとは最初から思いませんでした。…それはどうしてかと言われると難しいですが、そんなつまらないウソをつく様にも思えませんでしたし、何よりその本をとても優しい手つきで扱っているのです。それほど本を想う心を持つ者…つまり同志がウソをついているとは思いませんでした。
そんな彼が語った内容をかい摘んだ解説…つまりこの本はラテン語で書かれて、どうやら内容はファンタジー小説らしいのです。ラテン語と分かったのならそこから絞れば出てきそうですが、ファンタジー小説というのはどうにもジャンルとして広いモノです。とても広い言い方をすればミステリーだってファンタジーです。
「そうなんですね…!ちなみに日本語訳などはあるのでしょうか?」
「日本語版は見た事は無いですね……もしかして同じ本を探してますか?」
表紙を見てみても、題名らしい名前が刻まれていない本。
あまりにも怪しい本ですが書かれてある文字とジャンルさえ分かれば絞り込めますがやはり一番手っ取り早いのは題名を知る事です。ここまで話してきて間違いなく怖い人では無い事が分かっているのでそのまま題名を尋ねても良いのですがここはやはり本好きとして自力で探したいモノです。その為、日本語訳があるか聞いたのですが……
どうやらそれを聞いたら彼の表情が強張った様にも見えました。声色も少し硬く、どこか畏れるかの様な再度の問いかけでした。本の虫である私には人の機微には疎いですが、まるでその本の詳細を知られたく無い様なそんな感じがします。
「それは止めておいた方が良いでしょう」
「………また、どうして?」
ですが気になるものはやはり気になります。私は是の代わりに首を縦に振りました。少しした後、彼はまるで諦めたかの様に小さく息を吐きながら語り始めました。どうやらその口調にはどうやっても私が諦めないと悟ったかの様な諦めが浮かんでいるようにも思えます。
「………この書は、曰く付きなんです」
「曰く付き……ですか?」
そんな彼から出てきた一言目。それは曰く付きであるという事。つまり本の中身だけでなく本そのものが古いだけでは無い何か特別なモノを秘めているという事なのでしょうか。……いえ、まあ珍しい事ではありません。世界各地に現存している見るだけで気が触れるという書物や絵画などという存在を聞いたことはありますから。
ですがこんな身近に、それも近く数メートルにも満たない範囲でそんな伝承がある書物に出会えるとは…!特別恐怖に強いわけではありませんが、本にまつわる恐怖ならウェルカムです。一体どんな曰くがあるのでしょう。彼の話の続きを食い入るかの様に聞きます。
「はい。あくまでこれはレプリカですが原本は持っている人を不幸にするだとか……まあ原本は失われて久しいと聞きます」
「それはとても夢のある話ですね……!そう言えば今更ですが」
彼の語る曰く付きの不幸とはなんなのか。やはり身を蝕む危険ということなのでしょうか。しかしラテン語のらしい本でもレプリカだとは、原本とはどんな形をしているのでしょうか。もしかして本とも呼べぬ羊皮紙の束とかでも十分あり得るかもしれません。非常に夢のある話です……!
ですが残念な事に、彼は本当のことを言っていない。
……いえ、正確には完璧に正しいことを言っている様には思えない。でしょうか。多分意図的に幾つかの情報がまだ隠されているという気がします。あくまでそんな気がするというだけなので追求できませんが、同じ本好きの同志としての勘がそう訴えるのです。
「私の名前は椎名ひより、と申します。……貴方の名前を聞いても宜しいですか?」
ですので、ここで貴方を逃すつもりはありません。
これから同じ学校で三年間共にするのです。幾らでもその本に隠した謎を解き明かす時間はあります。その為にはやはり初めに彼の名前を知らなくてはなりません。……よくよく考えればこれ、今まで自己紹介しないで話し込んでたんですよね。
「俺の名前は苧環 風雅という。よろしく」
「はい、よろしくお願いしますね」
苧環 風雅。その名前を覚えておく様に強く焼き付ける。
私が今まで生きてきた中で見た事も無い本を持つ同志にして、秘匿されたその本の秘密を知る人。…絶対に明かしてやると同時に、同じ本を愛する人として色んな本の事について話したいのです。今までそんなの話せる人がいなかったのだからとても楽しみだと、私はまず今日持ってきていた本の話題から入りました。
『間もなく高度育成高等学校前〜間もなく高度育成高等学校』
どうやらそうして本の話をしていると時間が経つのは想像以上に早い。苧環くん…いえ、風雅くんの本への愛は私に負けず劣らずの様であれと言えばこれという風に完璧なシンクロで通じ合っているみたいです。私の知識が本を読み詰めた先にあるのに対して、風雅くんの知識は本だけでなくその本が映像化した際に重要視している部分の知識など多岐にわたります。
会話をしていて尚且つ新しい知見を得る。私はこの様な会話を待っていたのでしょうし、非常に楽しいと思っています。この刹那の時間が永遠に続けば良い……そう思えば想うほど時間はすぐに過ぎ去ってしまいます。気がついた時にはもう目的地についていたのですから。
「…………」
降りた先、白い煉瓦で作られたであろう荘厳な柱に架けられた入学式の立て看板。更に大きな門を超えたその先には見事な桜並木が立ち並んでいます。どうやら先に降りた風雅くんでさえも立ち尽くすのを見て、やはり今からの生活がより一層楽しみになってきました。
「ここが、高育………何かの縁ですし一緒に行きませんか?」
絶対に貴方を逃しません。出来ればというよりもはや神頼みをするほど同じクラスであることを願うほどには風雅くんに興味が湧きました。まあ彼が持っている本がメインかと言われれば否定できませんが……それでも同志とは良い関係でいたいのです。
────椎名ひよりの始まりは、劇的な運命の出会いから始まった。
《SKP用のハンドアウト》
キャラクターシート①
PC名:苧環 風雅(おだまき ふうが)
称号:熟練探索者、冒涜的な叡智の断片を知る者
年齢:15歳
性別:男(男の娘)
身長:167cm
体重:44kg
髪色:薄緑 瞳色:黄
STR:13 CON:11 POW:9
DEX:12 APP:15 SIZ:12 INT:14
技能
回避:79 こぶし:67 投擲:46 拳銃:78
マーシャルアーツ:11 救急手当:86 図書館:32 追跡:91
隠れる:95 聞き耳:84 目星:71 言いくるめ:74
クトゥルフ神話:45
心理学:99
遭遇した超自然の存在
・ショゴス
・ショゴスロード
風雅の持ち物①
名称:謎のペンダント
詳細:風雅が首から下げているペンダント。星型
効果:不明
風雅の持ち物②
名称:古書
詳細:ラテン語で書かれているアンティーク風の表紙作りの本
効果:不明
感想、評価お待ちしております。持ち物の正体や主人公の違和感に気がついた人も感想よろしくお願いします
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何が酷いって技能値全部ダイス振ってこの値なんだよね……
貴方のクラスは?
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1-A
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1-B
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1-C
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1-D