ようこそ熟練探索者が居る教室へ   作:ネマ

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シナリオ たのしい! たのしい!
探索者 つくるの たのしい! たのしい!

……はい。すみません、遅くなって。
感想いっぱいありがとうございます。
常に感想はお待ちしております。それではどうぞ


逆鱗 ー下ー

 

 

 

「リ・リ」

 

眼前から吹き抜ける冷たい風を龍園たちは幻覚とは思わないだろう。目の前の空気が歪み気がついた時にはまるで極寒の中、肌身ひとつでいる様な感覚。身体の芯から凍て付くようなあまりにも寒すぎるそれを龍園は、山田はよく知っている。

 

それの名前は、『殺意』

いやもはや殺意と称すことさえ愚かしいと思えるただただ無機質なまでに揺らぐことも凪ぐこともない無がこの空間に満ちる。家畜動物を屠殺するのに人はわざわざ敵意を見せるだろうか?……答えは否だ。そこにあるのはただ綽々と命を刈り取る刃を振り下ろす人がいるだけ。

 

「……っ……」

 

それと同じ。いや、それよりも冷ややかにまるで部屋の片隅に塵が溜まっているから掃除しようとも言いたげな殺意が満ちているのに龍園を見る目はどこまでも無機質で、見下していた。

 

無機質に見下すその金色の瞳に風に揺れている様にたなびく光に反射した薄緑色の髪がまるで緑色から紫色まで…まるで()()()に輝いているかの様な、そんな貴方の姿が更に非人間感を際立たせる。

 

「………りゅ、龍園さん……」

 

「……っくっ……!」

 

この時ようやく龍園たちは気がついた。この世には触れてはならぬ物があるのだと。この世には決して蹴ってはならぬ龍の逆鱗が、踏んではならぬ獅子の尻尾があるのだと理解させられる。

 

龍園たちの正気度が削られる。

今まで味わったことのない恐怖。目の前に立つクラスメイトがまるで化けの皮を剥ぎ、中から得体の知れない何かが現れたかの様な感覚に、龍園たちは耳の中、裏側で心のどこかが少し崩れる感覚を受ける。

 

─────戦闘開始だ

 

行動順は変わらない。最も早い貴方の行動はこぶしを握りその対象を山田に指定した。どこか武術の構えを踏んでいる貴方の動きは、まるで対象をすり潰すかの様な一撃。

 

そんな貴方の神速じみた一撃に山田は回避できない。当たれば間違いなく、即死…腹に風穴が開くだろうと簡単に予想できるその一撃は他ならぬ貴方の威力の減衰或いは意識を刈り取るだけのノックアウトさせるほどまで威力が下がり、山田の腹を打ち抜く。

 

「……oh……」

 

即座に崩れ落ちる山田。気絶しているのを確認してから残りの2人を見る。すでに貴方は2回目の行動を遅延している。幾ら目の前の行動が非現実的だとしても、この光景が悪夢だとしても行動は龍園へと移る。

 

「……ははっ、なんなんだテメェは……!」

 

空笑いすることしか出来ない龍園はそれでもとこぶしでは無くキックを繰り出す。下半身全てを使うその一撃は間違いなくこぶしより威力が出るだろう。だがそれ以上に人を、クラスメイトを殺し得る一撃。人なら、いや生物が生物であるなら必ず持ち得る同種への危害。幾ら覚悟をしているとしてもその一瞬の躊躇いが、龍園のキックがからぶった事を指し示す。

 

既に山田は気絶している。行動は山崎に移るがその行動が起こるよりも先に貴方の行動が割り込まれる。同じ様にこぶしが、いや他から見ては変わりない様に見えるが確かに貴方のその一撃は先ほど山田を沈めた一撃よりも弱い。

 

「猫かぶってやがったな……っ!!」

 

貴方はそうして最後の一撃を龍園へと気絶させる様に叩き込む。行動は既に2ラウンドへと変わっており、貴方は変わらずノックアウトを狙う様にそのこぶしを叩き込むだろう。龍園に回避行動はない。そうして一寸違わず全員の腹に気絶させるほどの威力が乗った貴方のこぶしが入る。

 

─────戦闘終了だ。

 

戦闘が始まり終わるまで僅か2Rにも満たぬ、時間に直せば数分程度にも満たぬ闘い…いやもはや蹂躙というべきだろうか。一方的な鏖殺の上で立っていたのは貴方だった。或いは貴方にとっては目の前を飛んでいた虫を払った程度の衝撃だろうか。殺さないようにと手加減しているだけマシだろうか。

 

「はい。苧環です」

 

面倒な露を払ったとばかりに腕から何かを振り下ろすかのように行動する貴方のポッケにしまってあったスマホが小さく音を立てて鳴り響く。基本的に電子機器というのはここぞというところで使えないというある種の歪んだ偏見を持つ貴方にとって、掛けてきた相手が誰だろうと興味を持つことはない。

 

今まで貴方が関わってきた人?…人物によってはこの隔離された学校のある携帯端末に電話を掛けることなどなんら難しいことでもない。それが例え国の肝入りだとしてもだ。そんな事を考えながら貴方はノータイムで端末を耳に当てる。するとそこからかかってきた相手は

 

「ああ、お久しぶりです。坂柳さん」

 

貴方をこの学校に呼び寄せたその張本人。或いはこの学校の理事長である坂柳さんであった。聞き馴染みはないが聞き覚えがある電話先の声を前に貴方は至って冷静に返事を返す。

 

その瞬間、貴方は直感にも等しいアイデアに閃く。おそらくこの場は見られているのだろうという確信にも似た予感。“見せ札”として置かれている監視カメラは少なくとも、気が付かない様に監視する手段など星の数ほどある。

 

「ええ、わかっていますとも」

 

最も、それを積極的に暴こうと思うような熱量が貴方にはない。

明確に死という一文字が迫る場面でも、恐怖という二文字の冒涜が脚を掴んでいる感覚もしない以上、貴方にとってここは安眠を貪れる檻の中というべきだろうか。

 

だからこそ、わざわざ釘を刺しに来た坂柳さんの忠告にも貴方は従うだろう。例えるのなら寝床を血で汚したいわけではない、ここで最も恐れられている退学でさえも貴方にとっては児戯にすぎないだろう。

 

「たった3年間の安息の時間。ですから」

 

ここを卒業するまでの3年間はボーナスタイムだ。その時間が終わればまた貴方はいつかの惨劇にまた身を浸して、そしてどこかで力尽きて誰にも知られずに朽ち果てるのだろう。

 

或いは脳みそを缶詰にされるか、死霊として飼われるか、実験体として“財団”に腑分けされるか。軽く考えただけでもこの身体には価値があると貴方は理解している。それ故の諦念。諦め。それが口から漏れ出る。

 

「……ああ、たしかに。坂柳さんの娘さんとはお会いしましたね」

 

そんな薄寒い傍観を悟られたのだろうか。貴方のスマホ越しの声の話題は今日会話した坂柳さんの娘さんにシフトする。…別に坂柳さんの親バカに関しては特に何も思わない。

 

だが今の願があの坂柳さんの娘に評価を下すのなら、少々賢すぎる子。というべきだろうか。こちら側の視点で申し訳ないが往々にして賢すぎるということは気がつかなくても良いことに気がついてしまい、長生きは出来ない。

 

「はい…ええ、分かっていますよ」

 

長生きしたいのならば、程よく愚かであり続けることだ。

生と死の価値に目を塞いで、この世ならざるモノたちから耳を塞ぎ、本能に逆らうことなく“愚か”であり続けるのならその身を守る【だけ】なら長生きは可能だ。

 

まぁ。最も、そのあり方は“愚か”と称するぐらいには貴方にとって苦々しいことも今は関係ない。スマホ越しの声に耳を傾ける。だが、その声は右から左へと抜けていく。

 

「それでは……良き、悪夢を」

 

そうして次第に時間は過ぎていく。今回の事件は生徒同士の小さな小競り合いとして処理される。記憶処理をするまでもなく、貴方はこの少年たちを痛めつけたわけでもない。

 

それ故に、貴方は何事もなかったようにその場を立ち去るだろう。この今さっき有った事さえも忘れて、貴方は最初から居なかったかのように足早に立ち去る。そう、気がついてはいたが

 

 

貴方を見つめている少女を置いて────────

 

 

 


 

 

 

夕暮れの風が吹く。まだ少し肌寒い風を感じながら、貴方は寮への道を歩く。陽が落ちてきて暗くなりつつあるこの学園都市は深い闇とは程遠い清廉な臭いのまま今日が終わっていくのだろう。

 

そしてまた明日が始まる。この世界のどこかで今日もまた繰り返される冒涜的な事など誰の想像にもないまま、この街は実力主義と謳った楽園の中で繰り返されるように。

 

「………………」

 

そういうのなら、きっとこの場で最も疎外感があるのは貴方だろう。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()貴方にとってこの場所は茶番であり、暇つぶしであり……そして寝床なのだから。

 

そう、ナイーブになりながら考えていると貴方は寮にたどり着いた。

ふと周囲に聞き耳をしていると、どうやら早々に今月配られた金の大半を使い切った生徒がいるらしい。と貴方は無料のミネラルウォーターがある自販機近くで騒ぐ女子生徒にそれとなく近づく。

 

(……おそらくDクラス、か?)

 

今月配られた十万という金。そして話の流れ的にどうやら騒いでいる女子生徒が1-Dクラスの所属であると貴方は閃いた。出てきた数本のミネラルウォーターを拾いながらその声に更に聞き耳をしながらその言葉の真偽を測っていたら間違いなく白と分かるだろう。

 

恐ろしい事にこの少女…改め、この少女たちは十万とあったはずの金をものの数週間も経たぬ間に消費し切ったらしいと貴方の今まででは絶対に考えきれない事象に一瞬戸惑う。

 

(使ったものは……バッグ、服、ゲーム)

 

だがそれでも貴方の脳内は既に情報の精査を始める。

この女子生徒たちが買ったものはおおよそ高級品になるブランドもののバッグや服。そしてゲームや漫画。更には何故こんな学生の街に入っているのか分からない高級店などで豪勢に散財してきたらしい。

 

その中で貴方が気になることはない。

高級品ひとつで命の代わりになるのだったら全財産でも叩いて買い漁ったが、そういうものは基本的に数百万、数千万の世界だ。わざわざそれを求めて冒涜的な事柄に巻き込まれて落命する…なんてありふれた末路だろう。

 

(…………本当に考えなしな、だけか?)

 

十万という大金がただ無料で配られたとなれば本来なら恐ろしくて裏まで探ろうとするのが今までだったし、これからもそうだった。だがどうやら…“一般的な”学生はそういうわけではないらしいと脳内で誤差を修正する。

 

薄々勘付いていたAからDのクラス分けというのも事実なのかもしれない。

だがそうならば貴方はDクラスに配属されなければならないはずだ。ここのクラス分けの権利が理事長当たりが握っているのならば尚更。

 

(……………()()()()()()()()()()()()()()()()()())

 

だが、それでも貴方はCクラスの配属された。Dクラスでは無かった。それは、何故か。……考えるまでもないと貴方は即座にその答えを閃く。いるのだろう。間違いなく、Dクラスに。………貴方と同じような人でなしが。

 

そんな事をふと考えていたその時だった。

貴方の背後に近づくひとつの足音。振り返る間もなく貴方はその足音が坂柳さんの娘さんである事に気がつくだろう。

 

「本日は色々とお疲れ様でしたね。緒環くん」

 

坂柳さんの娘さんの声に喜悦が混ざっている事に貴方は勘付くだろう。どこかで見ていたのか、或いはあの時呼び出されていた時にこちらを伺う視線が幾つか有った、その中でおそらく坂柳さんの娘さんの配下でもいたのだろう。

 

とはいえ何も返事しない事には、話の行方は探れない。

背後で無言な貴方の反応を待っている坂柳さんの娘さんの内心は、平常と変わらないように見えるがそこにはどこか寂しげな()()()に貴方つい会話してしまった。

 

「!……そうです!少し心配で……」

 

取ってつけたかのような心配する眼差し。貴方はそれがウソではないことを悟るが、それ以上に今回の対応の仕方によってはという貴方をこの坂柳さんの娘さんは推し量ろうとしたのだろう。最も今回だけでは取れるデータが少なすぎるが故か。

 

ここから普通の会話なのだと、この学校について得た情報をところどころに散りばめて会話するという絶妙に頭がいいのか悪いのか分からない会話をして、貴方は坂柳さんの娘さんを部屋まで見送って行った。

 

「おやすみなさい。風雅くん……良い夢を」

 

小さく坂柳有栖という少女が貴方に向けて手を振る。扉に手をかけて小さく振り向くその姿はその小柄な姿見と淡麗な容姿が相待って、あの日のようなまるで溶ける一瞬の儚い細雪のようで。

 

ただ少しだけ、貴方も明日に期待してみてもいいのではないか。

と思ってしまったのだった。

 

 

 


 

 

 

笑う。嗤う、ワラウ、わらウ。ただ目の前に立つアイツは俺たちをただ嘲笑うようにただその男とは思えない美貌をゾッとさせるような心底恐ろしい笑みでわらっていた。

 

その瞬間、確かに俺は…俺が龍園翔だからこそ気がついた。

この世で最も強い武器が『暴力』であるのならば奴こそが、緒環風雅こそが『死』そのものだ。あどけない顔の中にどうやら相当なバケモノを宿しているらしい。

 

「………りゅ、龍園さん……」

 

石崎の声に耳を傾ける隙もない。目の前のカイブツから目を離せば狩られるとその本能の声さえも今こそ理解できる。そうか、これこそ『恐怖』…誰も彼もがこれの前に膝を付いて折れてきたのが目の前にある。

 

恐ろしい。そう恐ろしくて恐ろし過ぎて、笑うしかねぇ。

こんなモノがここにいていいのか。明らかに触れちゃいけねぇタイプの深淵の底にいるバケモノがここにいるんだ。どう考えても、不条理で理解できねえ

 

そんな事を考えていた刹那だった。

目の前の…アルベルトが崩れ落ちたのは

 

「……ははっ、なんなんだテメェは……!」

 

わかっていた。わかっていたはずだ。

ああいうヤツは命に価値を持たない。全ての生命が等価値でまるで息をするように、かつて俺が殺した蛇と同じように人も踏み潰せる。だからこそ今アルベルトに息があるのは大分苧環が手加減しているのが分かる。いや、或いは奪う価値もないということなのか

 

手加減されている。それも極限までに。

象がアリを踏み潰さないように、人が豆腐を崩さないようにするかのような。命を奪うと面倒だから手加減するというのが分かる。そして今も構えるよりも先に石崎が落とされた。

よくもまあクラスのバカどもはこれが美男美女カップルだと言う。

 

「猫かぶってやがったな……っ!!」

 

どこがだよ馬鹿野郎。蓋を開けてみたら真性のバケモノとその横で何も知らない女が呑気に笑っているというある意味めちゃくちゃ悍ましい絵面じゃねえかと悪態も付きたくなる。表面上仲良くしているだけで腹の中は何思ってるか分からないだろうこのカイブツは。

 

意識が落ちる。ちょうど鳩尾ぐらいに鈍い痛みが走ったと思ったら、俺の体は既に崩れ落ちていた。わかってはいたが()()()()()()。いつあのカイブツが拳?を握って俺の腹を殴ったのか。身構えていたはずなのにそれよりも早く。

 

(………クソ、が……)

 

とんだ優男だと思った。だがその内面は、誰も見通せない深淵の底。カイブツの肚だと気がついているのは現時点で俺ぐらいだろう。だがそれでも悪態をつきたかった。よくもまああの女たちはこいつを親愛できるなと

 

こんなの誰の手にも負えない。

《駒》にしようとしたら逆にこちらが飲み込まれる危なっかしい危険物なんて取り扱いしたいわけがねぇ。

 

(だが掴んだぜ。……俺の『恐怖』)

 

それでも俺がこいつを危険物にしているのは理解できない恐怖。そして俺が恐れていると言うのならこいつの恐怖を超えた先に、俺の『暴力』は成る。

 

(お前の化けの皮を剥いでやるよ)

 

こいつの底は見えない。だがその水面は、捉えた。怪物であろうと、いずれ殴り続ければ死ぬだろう。恐怖し、屈服するだろう。

そんな、()()()()()()()()()()()()()()()()は意識が消えるまで、目の前でそれでもなお美しく月光を反射する緒環の姿を見ていたのだった。

 

 


 

 

 

─────まるで、その姿は月に濡れているかのようだった。

 

あまりにも陳腐な言い回し。使い潰された表現だというのに三日月の下でぞっとするほど美しく笑う彼の姿が、私の目を奪って離さない。あまりにも怪しく蠱惑的なその姿。女であるこの身でさえも喉を鳴らして全てが奪われていく感覚に制御できない。

 

(………なんて、きれい)

 

全てが彼に惹かれていくというのに身体はまるで全身が鎖にがんじがらめの様に凍りついて動けそうもない。だがそれでも私の脳内は身体の混乱とは裏腹に、冷静に思考が回る。

 

苧環君の変貌。そしてその直後の、あの目を奪う笑み。まるでスイッチが切り替わったようにあの一瞬から、場の空気は苧環君が支配したように見えた。ああ、なんて

 

(…………ずるい)

 

苧環君のそんな顔をこの学校では自慢ではないが1番長く付き合いがあった私が知らない事に、焦燥感が胸を焦がす。笑った顔も、集中している顔も、どこか遠くを朧げな目で見る顔も、その苧環君の全ての最初が友だちである私のものだと思っていたのに!!

 

龍園翔。私は今確かに彼の存在を認識しました。クラスで言われていた様な乱暴者。そして今苧環くんの目の前にいる2人の配下を連れて後ろめたいことをしているとは小耳に挟んでいましたがきっと私は、私たちは関わることはないだろうと思っていたのに。

 

(あの時、無理矢理にも引き止めて……って、それは結果論ですね)

 

数時間前。昼休みのちょっとした時間、私たちはいつもの様に図書館で本を選んでいる隙を見て苧環君に接触した龍園からの使いさん。苧環君を誘き寄せて暴力で従えるつもりなんだと苧環君も見抜いていましたが

 

『俺は大丈夫だから、椎名さんは今日は早めに帰った方がいい』

 

『そんな!危険です!』

 

苧環君の大丈夫の声色を信じて見送りましたが、それでもやっぱり強がりな気がしたので何が起きても大丈夫なようにスマホのカメラを構えて物陰に隠れていたところだったのです。

 

そんな中、次第にヒートアップするような話し声。このままではまずいのではないか、といざとなれば私も飛び出る覚悟で固唾を飲んでいたその時でした。

 

『………やれ』

 

『…………』

 

龍園の暗い声。暴力を暗喩するかの様なそんな声の直後に空を切るような鋭い音。だけどその後に想像していた鈍い音はどこにもなく、あるのはまるで天女の舞の様な

 

(お、だまき、くん?)

 

舞い散る風そのもののような、或いは風という海を自在に泳ぐ人魚のような。

人は、己にないものに神秘性を見出します。であるのなら私が初めて仰ぎ見るべきだと、跪いて頭を差し出すに値する様な燃え盛るこの感情はきっと

 

(…………………)

 

そんな事を考えているともう目の前に立つのは緒環くん1人だけでした。まさかここまで彼が強いとは知りませんでした。ともだちなのに、ともだちなのに……ま、まあ良いです。多分緒環くんはそう言う事に私を巻き込みたくなかったのだと思っておきましょう、うん。

 

帰るのでしょうか。それなら、それとなく合流できる様に私も帰らないといけませんね。でもただ一緒に帰るだけではなんというか…今までと変わらなさそうなので、一緒にご飯を作りながら晩御飯でもどうでしょうかと誘いましょうか。何度か互いの部屋で一緒に食べたりはしましたが一緒に作るのは初めての誘いです。

 

「はい。苧環です」

 

そんな事を考えていた矢先でした、電話を取る緒環くんの声が聞こえたのです。電話越しにどこか親しげないつもの苧環君の口調。一体誰との電話でしょうか、少しだけ気になると足を止めてしまいました。

 

「ああ、お久しぶりです。坂柳さん」

 

その相手は、坂柳。と彼は言いました。

ですがその口調はおかしい。お久しぶりというには昨日も会いました。なのでそういうにはあまりにも不自然の様な。

 

そんな事を考えながら私は必死に隠れます。

多分見つかることはないでしょうが、一応念には念を入れて息を殺します。今の苧環君はどうやら聞かれたくないのか周囲を見渡している様なので

 

「たった3年間の安息の時間。ですから」

 

そんな彼の話。気になる話しか聞けません。

苧環くんは確かに3年間の安息の時間と口にしました。まるでこの高校にいる時だけが特別と言わんばかりの口調。だけどそこにあるのは諦めのようなどこかチグハグな感じ。

 

(苧環くん……貴方は)

 

一体どこからきたのですか。

私はふとそんな事を考えてしまいました。おかしな事を言います。苧環くんは確かに人間というにはあまりにも偶像染みた美貌ですがそれでもこの学校に通う以上、身分はあるはずです。

 

だというのに今の苧環くんはまるでこの世のどこでもない様な、どこか遠いところを見ているようなそんな雰囲気。同じものを見ているようで、全く別のものを見ているかのような世と離れ過ぎているそんな在り方。

 

「……ああ、たしかに。坂柳さんの娘さんとはお会いしましたね」

 

(…………!)

 

娘さんと緒環くんはいいました。それではまるで緒環くんはあの坂柳さんの両親と関わりがあったみたいな会話。だというのにあの時、最初に顔を見合わせた時には初対面の口ぶりだった事を覚えています。……まあ最も、緒環くんとの会話は大体全部思い出せますが

 

ですがそうなるとあまりにも謎が深過ぎます。

何故、緒環くんは坂柳さんの(推定)両親と関わりがあるのか?3年間の安息とはどう言う事なのか?……あまりにも不思議すぎます。そう言うところも魅力的ではありますが、やはり私は緒環君との友人である以上知りたいと思うのです。

 

「それでは……良き、悪夢を」

 

 

 

──────友達のために、私は一歩を踏み出すのです。

 

 

 






TIPS①:特殊ルール・◼️ョゴ◼️の炉◼️

緒環風雅がもつ《特殊ルール》のうちのひとつ。詳細としてはこんな感じ
()()()()()にて髪の色と瞳の色が変貌する。この時、その場にいる全◼️のPCに◼️◼️◼️のSAN値チェックを強◼️させる。その後、緒環風雅以◼️の◼️◼️Cは◼️◼️◼️◼️◼️のダイスロールが発生し、失敗すれば◼️環◼️雅に抱く◼️◼️度に応じた特◼️状態を付与する。

この時緒環◼️◼️は◼️◼️◼️能・登◼️・跳◼️に◼️◼️補正が発生し、《技能:◼️◼️◼️◼️》・《技能:◼️◼️◼️◼️》を取◼️する。この技◼️の◼️◼️値は残っている◼️◼️◼️◼️と◼️等である。またこれら2種の技◼️は破◼️◼️性を宿し、◼️◼️物の耐久◼️を強◼️的に◼️にできる。

だがこの《特殊ルール》使用時◼️R経過後、◼️◼️風雅は◼️◼️◼️と◼️◼️◼️の◼️抗ロールが発生する。この時、◼️敗すると◼️◼️◼️◼️は◼️◼️◼️◼️のSAN値チェックと同時に◼️◼️◼️◼️時間の《暴◼️》し、《第◼️段階》へと強制的に◼️◼️する。



TIPS②:緒環風雅の攻撃性

言うまでもないが探索者である以上、『殴ってから考える』みたいなチェスト精神ではある。良く言えば脳筋、悪く言えば蛮族。とは言え、彼の仲間だった探索者たちもそれぐらいはっちゃけていたからそれを常識と考えているのである。

ちなみにダイスの機嫌にもよるが、今の緒環風雅という生命体の火力は1Rも使わず学校を灰燼に帰すことができる。





ここで、SKPのみなさまにお知らせです▽

世界法ハウスルールの改訂が発生します▽

②技能は決定的成功クリティカルのみ1d3の技能値上昇が見込める。これは()P()C()()()()()()()



②技能は成功時1d3の上昇。決定的成功クリティカル時は()()()()()()()()()()()()1d5の上昇を可能とする。これは()P()C()()()()()()()


名前:椎名 ひよりの称号が変更されます▽

称号:冒涜的な叡智の断片に踏み入れようとする愚者



称号:冒涜に魅入ってしまった愚者


以上です。▽

引き続きシナリオ『ようこそ熟練探索者が居る教室へ』をよろしくお願いします▽

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