ガンダムSEED DESTINY─運命の鎖─ 作:カフェ・ラテ
ザフト軍、研究を主に行うラボにて。
真っ暗な研究室の一室。
ガラス張りの円柱の培養槽の中で、体を丸めて中心に浮かぶ少女がいた。
長い髪は培養液の中で波打つように揺れて、瞼は閉じられて起きる気配は無い。
ボコボコと下から湧き出る空気が、少女の頬を撫でて上へと上がって行く。
そんな中、その光景に薄く笑みを浮かべて見る人物が1人。
ザフト軍最高評議会会長、ギルバート・デュランダル。
「彼女は、いつ頃目覚めそうかね?」
「おや、これはこれは···お越しになられていらっしゃるとは、失礼いたしました。
白衣を着た研究員が、言うと同時に培養槽を見上げたと同時に、今まで閉じられていた瞼が震えて、ゆっくりと開かれた。
ブルーグレーの瞳は焦点が合わないのか、ぼぅっと一点を見つめているだけ。
(ワタシ···わたし···、···私、は···)
酷く長い間眠っていたような感覚だ。
それに、あそこにぼんやりと見える人のような物は何なのだろか。
「こちらを認識したようですね」
少女は培養液の中から、2人の存在を見つけて手を伸ばした。
「中の水を抜いても問題ないようなら抜いてしまおうか。彼女の意識も回復したようだし、いかがかな?」
「問題はありませんが···」
「急いている気はないのだがね、すまない。どうも
「いえ、お気持ちは私もわかります。この時を待ちわびていましたから」
培養槽に備え付けのキーボードを打ち込み、中の培養液を抜いて行く。
中の少女は何がどうしているのか把握出来て居ないのか、培養液が抜かれると同時に床に腰を付けて、座ったままの体勢で初めてクリアな視界で2人の姿を捉えた。
「やぁ、初めまして。···君の名前は、覚えているかな?」
前髪から水滴が滴り落ち、長い髪が体に張り付いていた。
見上げた少女、フレイはギルバートの問いかけに、頭に浮かぶままに自分の名を告げた。
「···わか、らない」
「そうか···。今日から君の名前はロゼリア、ロゼリア・アンバイエルンと名乗るといい。そして、ナチュラルからコーディネーターに遺伝子を組み換えた、ディスティニープランの第1号だよ」
「ディスティニープラン···」
フレイ、ロゼリアは壊れた人形のようにギルバートの言葉を復唱する。
「そう。君の役割は
「わかり、ました」
グレースはギルバートから差し出された手に、自分の手を重ねた。
そして、もう1つの物語が始まろうとしていた────。