ガンダムSEED DESTINY─運命の鎖─ 作:カフェ・ラテ
(そう、だよな。彼女はフレイじゃない。よく、似ているとは思うが···)
少し大人びてはいるが、落ち着いた雰囲気からして別人である事は確かだった。最も、コーディネーターを嫌うフレイがこんな所にいるとは思えない。ましてや、ザフトの赤だ。
他人の空似だろう。
カガリはデュランダルに視線を戻した。
「いや、申し訳ない···。彼女に似た知人がいたもので、少々驚いてしまって、失礼した」
「知人に似ていたのでしたら、驚くのも無理もない事でしょう。それより、お国の方はいかがですか?」
デュランダルは奥のソファーへ着席するよう手を差し伸べた。
「姫が代表となられてからは実に多くの問題も解決されて、私も盟友として、また嬉しくも思っておりますが」
「まだまだ至らぬ事ばかりだ」
「で、この情勢化、代表がお忍びでそれも火急なご要件とは、いったいどうした事でしょうか?我が方の大使の伝える所では、だいぶ複雑な案件のご相談、と言う事ですが」
カガリの表情が微かに曇るのを、ロザリアは見ていた。複雑な案件と言うのはもしかして、オーブの持つ技術と人的資源の停止を訴えに来たのでは、と。
「私にはそう複雑とは思えんのだがな。だが未だにこの案件に対する貴国の明確なご返答が得られない、という事は、やはり複雑な問題なのか?我が国は再三三時、かのオーブ戦のおりに流出した我が国の技術と人的資源のそちらでの軍事使用を、即座に止めて頂きたいと申し入れている」
その場にピリッとした空気が流れるが、デュランダルは笑みを浮かべたままカガリの話を聞いている。
「なのに何故、未だ何らかの回答さへ頂けない」
「姫、一度外に出ませんか?」
見た方が話が早い、と言う事なのだろう。カガリを連れたデュランダルはジンや整備に必要な車が立ち並ぶドッグへと来ていた。
「姫は先の戦争でも、自らモビルスーツに乗って戦われた勇敢なお方だ。また、最後まで圧力に屈せず、自国の理念を貫かれたオーブの獅子、ウズミ様の後継者でもいらっしゃる。ならばこの世界の情勢化の中、我々はどうあるべきか」
ふと、デュランダルは歩みを止めて、カガリに問いかける。
「よくおわかりの事と思いますが」
もちろん、後を着いてきたロゼリアも歩みを止めて静かに見守る中、カガリが連れて来た護衛、アスランはザクを一目目にすると表情を険しくさせた。
(アレは···)
アスランにとっては、決して忘れる事の無い機体。
「···、大丈夫ですか?」
ロザリアはアスランの雰囲気が変わり、小声で問いかけた。心配、とはまた違う心情だが。
「···、いや、何でもない」
そう言ったアスランの表情は、複雑そうな面持ちだ。
「我らは自国の理念を守り抜く。それだけだ」
「他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入しない」
「そうだ」
「それは我々も無論同じです。そうであれたら一番いい。···だが、力無くばそれはならない。それは姫とて、いや、姫の方が良くお解りでしょうに。だからこそオーブも軍備は整えていらっしゃるのでしょう?」
(議長ったら、ご理解しているのに意地悪だわ···)
「その、姫と言うのは止めて頂けないか」
「···はぁ」
(ほら見ろ)とロザリアは肩で小さため息をついた。