この後のストーリーはどうなるでしょう…
新シリーズに入るのか、それとも奪還か
オリジナルでいくか
「ユーフェミア副総督、このG-1を突入させましょう。総督を!」
「なりません!」
「しかし、ギルフォード隊長が動けないということはコーネリア総督のお命が」
「なりません!」
G-1ベースのコンダクトフロアにて、ユーフェミアは周囲の文官の意見を頑として聞き入れなかった。
「ここには野戦病院も設置されています。避難してきた住民もいます。それにこのベースは本陣の象徴。なにがあろうと動くなとの総督の厳命。ですから…だから…!」
この中でコーネリアを助けたいという思いが一番強いのは実妹であるユーフェミアであろう。
だが姉か住民の命の安全。どちらかを選ばないといけない。
エリア11の副総督に就任する前まで学生だった彼女にとって重すぎる重責であった。
「副総督、一つだけ動かすことが可能な部隊があります」
ジレンマに苛まれる中、一人の幕僚がユーフェミアに進言する。ユーフェミアにはその幕僚が作戦開始前にコーネリアにトレーラーで待機するよう進言していた人物という認識だった。
「作戦開始からベースの後方に待機していた部隊です。部隊にいる名誉ブリタニア人とは顔見知りであるとお聞きしてますが」
「あ」
名誉ブリタニア人というワードに、そうだった、とユーフェミアは頭の片隅に置いていた部隊のことを思い出した。
「将官は特別派遣嚮導技術部の出撃を進言します」
「オーベルシュタイン少佐!貴様正気か!?」
パウロ・フォン・オーベルシュタインの進言に、当然文官達が反対しだす。
「将官は至って正気です。特派所有のランスロットは第七世代のナイトメアフレーム、その突破力の高さはシンジュクや河口湖で十分証明しております。あれほどの速度なら、今いるポイントからでも総督の下に辿り着くのにそうかからないかと」
「そういう話をしているのではない!」
「よりにもよって従軍しているだけのイレギュラーに任せるなど!」
「それにナンバーズなど…それでは軍の威信にかかわるぞ!」
「ほう?」とオーベルシュタインは幕僚達を冷たい眼光で見据えた。
「つまり貴官等は総督のお命より軍の威信というものを優先すると?そう言いたいのですな」
「なっ」
「いや、それとこれとは別で…」
「どう別なのでしょうか?戦場では山崩れの影響で部隊がほぼ壊滅し残存部隊が足止めの状況にある中で面子を気にして有効な手札を出し惜しみするなど…それとも他に何か妙案がおありなら是非お聞かせ願いたい。本陣であるベースを前に出す以外で」
「「「…っ」」」
言葉に詰まる文官達にオーベルシュタインの視線がより冷ややかなものとなる。
(所詮、この程度の連中か。怒気あって真の勇気無き小人共め。語るに足らん)
「…とはいえ、決められるのは副総督でありますが、如何でしょうかユーフェミア副総督?」
「…わかりました。すぐに特派との回線を繋いでください」
「ユーフェミア副総督!しかし!」
「これは副総督命令です!総督の救出が優先とするなら、名誉かどうかなど関係ありません!この状況でも軍の威信などを問うのならあなた方が出撃しますか!?」
ユーフェミアの言葉に文官達は言い返せず、副総督の命令に従うしかなかった。
『あっどうもどうも。特別派遣嚮導技術部でございます』
すぐに特派トレーラーとの回線が繋がり、少々戸惑った表情を浮かべるロイドの姿がモニターに映る。
「わたくし、ユーフェミア副総督は特派にコーネリア総督の救出を命じます」
♢♢
意外なことに向こうから出撃の要請が来て、快く受諾したロイドとセシルさんの指示でオレとスザクの出撃準備に入った。
オレの機体とランスロットの足裏につけているスキー板のようなものがサンドボードで、砂漠地帯や整地されていない斜面等の悪路でも機動力を確保するオプション装備だ。これで土石流で崩れた斜面を駆け上がれるとのこと。
『嚮導兵器Z-01ランスロットは、サンドボードを使用し、最大戦速にて液状斜面を上昇。総督を救出せよ』
『イエス、マイロード』
一番手はスザクが乗っているランスロットだ。
『スザク君、ひとつ聞きたかったんだけど…』
出撃前に共通の回線でロイドがスザクに話しかけた。
『君は人が死ぬのを極限に嫌うねえ。なのに軍隊にいる。なぜだい?』
『死なせたくないから軍隊にいるんです』
何言ってるんだスザクの奴。
軍隊は暴力機関であり、暴力には2種類ある。
支配し抑圧するための暴力と、解放の手段としての暴力だ。
どの国家の軍隊も、本質的に前者の組織だということを歴史が証明している。
権力と市民が対立したとき、軍隊が市民の味方をした例は少ない。それどころか過去いくつもの国で軍隊そのものが権力機構と化し、暴力的に民衆を支配さえしてきた。
弾圧する側につきながら弾圧を拒否する。酷い矛盾だ。
本当にそういう理由で軍に入隊したのか疑わしい。
『その矛盾がさ、いつか君を殺すよ。ああっ、ごめんなさい、ごめんなさい!』
忠告のつもりだったろうが、少々無遠慮な言葉を投げたロイドがセシルさんにボコられている。
あの男なりにスザクのことを心配しているということか。
ランスロットが崩れた斜面を駆け上がって行くのを見届けた後、オレの番が来た。
スザクがコーネリア総督の救出を担当し、オレは一番被害の多いダールトン将軍の隊のところを担当することになっている。
「ユグドラシルドライブ出力安定を確認。戦術データリンク接続良好。いつでもいけます」
『了解。嚮導兵器E-01は出撃後、ダールトン将軍の隊の救出に向かえ。くれぐれも気を付けてね』
「了解です」
『一応言っておくけど、それに装備させている量産試作型ヴァリスはかなりのエナジーを消費しちゃうから。バーストモードでの連射とかは控えるようにね』
「…何度も言うが使う機会が制限されるのならただのお荷物だろ。普通のライフルに変えたいんだが?」
『何度も言うけどデータが取るためなんだから駄目。残念でしたぁ』
面倒くさい奴だな。
仕方ない。その辺に転がっているのを拾って使うか。
『あっそうだ。ところでキヨナガ君、機体の名前は決まった?』
「…まあ一応は」
オレにはネーミングセンスに関しての自信がなかった為、無難に他のナイトメアと同じように都市や町の名前から選んだ。
『ふーん…まあ悪くは無いね』
『私は良いと思いますけど…』
名前を言ってみたが、セシルさんにボコられて顔に痣ができたロイドの反応は微妙だった。
『やっぱりここはランスロットに連なるアロ『ロイドさん?』あっ、いや、やっぱりこの名前は別の機体につけます!』
隣のセシルさんから圧をかけられてるな。
『で、でもほら。今キミのナイトメアはランスロットに似せているけどさ、これから外装を別の形のに付け替えた場合、それって同じ機体と呼べるものなのかな?』
「…同じ内骨格フレームを使っても、違う外見なのに同じ名前ってややこしくなると言いたいのか?」
『そうそう』
本当に面倒くさいなコイツ。だが一理ある。
『だからさ、頭か後ろに僕の考えたのも付けるというのはどうかな?』
例え部下から暴力を振るわれようとこればかりは譲らないつもりのようだ。
「…変なのは勘弁だぞ」
『それは保証できないね』
「こんな感じなんだけどさ」と、ロイドから送られた文字データがモニターに表示される。
「…まぁ、良いんじゃないか」
『あはは。決まりだねぇ』
だからニヤニヤするなって。
『んじゃあ、名前も決まったところで行っちゃってぇ』
『ステータス、オールグリーン。バックアップ成立。発進のタイミングを姉小路清永准尉に譲渡』
「了解―――姉小路清永、グレイズ・マリス、出る」
♢♢
くっ…敵の新型を囲んで一気に叩くつもりだったが、このタイミングで日本解放戦線が砲撃をしかけてくるとは…!
『ダールトン将軍、どういたしますか?』
「ええい、転進だ!これ以上、ここに足止めされるわけにはいかん!なにがなんでもコーネリア総督と合流するぞ」
『しかし、敵の本拠地はすぐ目の前です。それにあの新型も残っています!』
『転進して背後から攻撃を受けると甚大な被害が…』
「馬鹿者!姫様を失ったら、この戦いそのものが終わってしまうわ!」
『で、ですがこの状況ではうわあああっ!』
また一機やられた…
おのれ、あの新型のパイロットのいいようにされてしまっている…!
『逃がすはずないでしょう。お前たちをコーネリアの元へは行かせない』
「貴様…!」
やはり足止めが目的か。狙いが姫様なら他の部隊も同じようなことになっているのだろう。
しかも態勢に整える前に日本解放戦線の戦車の部隊が前後から挟撃を仕掛けてくるとは…これでは姫様の元へは…!
『ダールトン将軍!新たなナイトメア反応が一つ、此方に急速で近づいて来ています!』
「なにっ…新手か!?」
『いえ、識別信号あり…味方です!』
友軍機だと?どこの部隊だ。
前方の新型に注意しながらファクトスフィアを起動すると、マップに下から急速に駆け上がってくる一つの点が表示される。
それはついにモニターで視認できる距離まで近づいてきた。
「…ランスロット?」
いや。似てはいるが足場の悪い斜面をサンドボードで駆け上がってきたそれのカラーリングは青紫色で、河口湖で見たのとは各部の構造が違う。特派の新型か?
『後方より敵機接近!』
『反転して迎撃せよ!』
後方の戦車が砲身を下から来るランスロット擬きに向けようと反転しようとするが遅い。
ランスロット擬きの移動速度の方が戦車の方向転換より早く、射線を避けるように回り込んで来たランスロット擬きに対応できず、後方の戦車部隊の一部が青いライフルの銃口から放たれた緑色の光弾の直撃を受ける。
『ぐあああ!』
一撃で大破した戦車の爆発の炎を背に、布陣を突破したランスロット擬きが目の前まで来て停まった。
私は直通通信を繋いでみる。
「お前は特派の…!」
モニターに見覚えのある少年の顔が映った。
『ダールトン将軍ですね。副総督の命令により救援に来ました』
「ユーフェミア副総督が?」
『総督の方にはランスロットが向かっています』
助かった。あのランスロットなら…。
◇
サンドボードで斜面を駆け上がり、最短距離でダールトン将軍のいるポイントに到着したものの、状況はかなり混沌としていた。
『あれはふ頭の…!ナリタに来ていたの!』
断崖の上に日本解放戦線側と思しき複数の戦車が布陣して砲撃を仕掛けてきている。該当データに無いタイプの青いナイトメアの方は乱入したオレを警戒してか距離を取って仕掛けてこない。
対するコーネリア軍側はダールトン将軍と部下含めてグロースター数機しか残っていなかった。
「目の前にいるあの青いナイトメアは?」
『わからん。どうやらイレヴン共に新型が流れたようだ。強い上にランスロット並に速いぞ』
ランスロット並ということは第七世代クラスか………。
ロイドが言っていた科学者が反ブリタニア勢力と通じていると見るべきか。
「…まともにやり合うだけ時間の無駄だな」
『ん?』
まずはあの鬱陶しい戦車の部隊か。
乗っていたサンドボードをパージして身軽になった後、ファクトスフィアを起動して周囲の地形を解析する。
見つけた。
「…上の方はこっちで足止めしておくので、将軍達は手薄になった下の方をお願いします。可能ならそのままここから離れてください」
『足止め?あのナイトメアはかなり強いと伝えたはずだが……』
「聞いたうえで言っています」
量産試作型ヴァリスをバーストモードに切り替えて構える。
銃身部が伸び、銃口に青白いエネルギーを蓄積していく。
「――発射」
エネルギーが十分に溜まったところで引き金を引いた。
銃口から放たれた青白い光の本流に包まれた弾丸が一発、高速で真っ直ぐ飛んでいき、断崖の上に布陣する戦車の部隊………の下の岩盤を大きく穿った。
さっきの山崩れの影響で岩盤がゆるゆるになっている。一番脆い部分に強い衝撃が加われば致命的だ。
その証拠に、バーストモードで攻撃した箇所から一気に亀裂が走っていき、安定性を失った。
『な、なんだ!?』
『崩れるぞ!!』
『うわあああ!!』
『退避!退避!』
戦車ではナイトメア程小回りがきかず、後退する間もなく崩落に巻き込まれていく。
殆どの戦車は大きな岩の塊に挟まれて潰れていった。
一石二鳥を越えているな。
『足場を崩して戦車の部隊を…なんと無茶苦茶な』
「エナジーと弾を無駄にするわけにはいかないので」
威力は申し分ないが、一発分のバーストモードでかなりのエナジーを消費した。
こうもエネルギー効率が悪いと、エナジーフィラーの交換ができない状況では瞬く間にジリ貧になる。玉砕覚悟で敵に向かうならまだしも、長期戦を強いられる場合は話は別だ。
改善の余地が大いにありだな。
「それよりも下の方を」
『おい貴様!将軍に向かってそんな口の利き方――』
『良い。今が転進する好機だ。行くぞ!』
『は、はい』
『ゼロのところへは行かせない!』
ヴァリスをノーマルモードに戻し、ダールトン隊を逃がすまいと動いた青いナイトメアに向けて放つ。
青いナイトメアは寸前のところで弾を躱し、そのまま薙刀を持ってオレへと肉薄してくる。
距離をとりつつヴァリスを仕舞い、近くに転がっていたナイトメアの残骸からアサルトライフルを拾い上げて青いナイトメアに向かって放ち弾幕を張る。
『この―!』
青いナイトメアは高い機動力で躱し、躱し切れない弾は左肩に固定している大きな盾を前に突き出して防ぎ、そのままオレの元へと向かって駆けてくる。
振り下ろされた薙刀の刃を右横へとターンして紙一重で避ける。だがわずかな回避の隙に、すれ違いざまに胸部からスラッシュハーケンを打ち出してきて、至近距離で装甲に直撃する。
先端のアンカーはカンっと小気味良い音を立てて跳ね返った。
『ハーケンでも通らないの!』
背後に回りアサルトライフルを向けると、引き金を引く前に青いナイトメアは振り向きざまに盾を大きく振るい、先端についているクローでアサルトライフルの銃身を切り裂いた。
距離をとりつつこちらも左腕に装備したスラッシュハーケンを放つも盾で弾かれる。
が、狙い通りだ。
防御を取った隙を狙って、使い物にならなくなったアサルトライフルを捨て、鞘から抜いたMVSを頭上に掲げて振り下ろしてきた薙刀を正面から受け切る。
「……成程。性能としては互角か」
どうやらパイロットの安全性や汎用性に主眼を置いたブリタニア製のナイトメアと違い、攻撃面に主眼をおいた設計思想の下に開発されたみたいだ。
それならマリス同様、サザーランドやグロースター以上の高い運動性能を持っていても不思議ではない。
ランスロットも似たようなものか。
その上猪突猛進に見えて冷静にこっちの攻撃に対応できている。騎乗しているパイロットはかなりの腕をしているようだ。
となると近接武器で対応した方が良いな。弾が勿体ない。
鍔迫り合いが続く中、スザクから通信が入る。
『こちら枢木、ポイント9にてコーネリア総督を保護しました』
やっとか。
ダールトン隊の方は既に下の戦車隊を制圧してこのポイントからの離脱を始めていた。
「…そろそろ敵も退くか」
ランスロットの乱入で総督の捕縛が不可能と判断すれば、ゼロは黒の騎士団へ撤退指示を出すだろう。
これ以上の戦闘は消耗戦になる。今の黒の騎士団の戦力が戦争をするには十分でない以上それは避けたいはずだ。
それからしばらくの間互いに得物で相手の得物を弾き合い、攻防を繰り広げた後、青いナイトメアが後方へと跳躍する。
同時にマリスの目の前に薙刀の先端が迫ってきていた。
「…無茶苦茶だな」
あの薙刀、先端がハーケンになっていたのか。
MVSを振り上げて先端を弾く。
青いナイトメアからのそれ以上の追撃はなく、先端を巻き取って回収する。
地面に着地して距離を取った青いナイトメアは、後部のコックピットブロックより下の部分から白い煙のような物を噴出した。
「煙幕…いや、チャフか」
スクリーンは一面白に染まるだけでなく、センサーの方にもジャミングがかかって機能していなかった。
走行音が遠ざかっていき、煙が晴れた時には青いナイトメアの姿はどこにも見当たらなかった。
どうやらゼロから撤退指示が出たようだな。
それからすぐ、コーネリア軍全軍側にも撤退命令が通達された。
相手もこっちの指揮官が有能な分、こっちもやりやすくて大助かりだな。
今回のナリタ連山の戦いで、日本解放戦線の組織的機能の無力化に成功したものの、黒の騎士団の乱入によりコーネリア軍の方もかなりの打撃を受けた。
黒の騎士団の方も総督の身柄を抑えることはできなかったものの、事実上ブリタニア軍に勝ったと言える。
これからより戦力を増していくだろうな。
さて、この後ブリタニア側はどう動くのだろうか。
pipi
「ん?」
特派ヘッドトレーラーから通信?
「はい」
『大変よキヨナガ君!ランスロットが…スザク君が暴走しているの!』
は?
??「あのナイトメアに一撃も入れることができなかった」
??「でも、次こそはあいつを…!」