狂犬ちゃんの団員服姿が色々ヤバいですね。
「動くな!このホテルは我々“日本解放戦線”が占拠した!」
荷物持ちとして会長達と共に河口湖に向かったオレは、現在ホテルジャックに巻き込まれていた。
河口湖のホテルに着いてチェックインの手続きをしていた際、日本軍の軍服を着た武装グループがホテルを占拠。オレ達をホテルの従業員や他の観光客、スーツ姿の大人達と共にホテルの食糧庫に移動させ、床に座らせた。
ちなみにイレヴンであるオレに気付いた武装した男が「裏切り者の名誉か?」と聞いてきた際「名誉ブリタニア人だ」と答えると、「ならお前も人質だ」と言って会長たちの傍に座らされた。
「”日本解放戦線”の草壁である。我々は日本の独立解放のために立ち上がった。諸君は軍属ではないがブリタニア人だ。我々を支配する者だ。大人しくしていれば良し。さもなくば…」
それだけ言い残し、日本刀を携えた武装グループ”日本解放戦線”のリーダー草壁が手下を何人か残して食糧庫から出た。
さっき草壁はカメラの前で「人質の命を助けたくば日本を解放しろ。要求が認められない場合、30分に一人ずつ人質が死ぬことになる」とか言っていたが、正直そんな要求が通るとは思えないな。
そもそもブリタニアが日本を自らの領地にしたのは、高温超伝導体の製造に欠かすことのできないレアメタル『サクラダイト』が世界で一番多く取れることに目を付けたからだ。
外交のカードとして駆使する事で、日本は中華連邦・E.U.も含めた3大勢力のいずれにも属さない中立の勢力として立ち回っていたみたいだが、逆に自らを滅ぼす原因になったと言っても過言ではない。
サクラダイトは言わば現在機械文明の根幹を担っている戦略物資というお宝で、日本は宝島。
たかが数人の命と引き換えに宝島を返せだなんて取引にすらなっていない。
それに今のエリア11の総督はコーネリアだ。
ロイドから聞いた話では彼女は高潔な武闘派で、敵には情け容赦ないタイプだ。この前のサイタマゲットーでの作戦では潜んでいたテロリストグループをそこにいた住民もろとも皆殺しにしたらしい。
一度でも交渉に応じればテロに屈したことになる。
人質なんか無視して、すぐにでも強行突破を――――
いや、待てよ。
既に数時間経っているというのに、なんで仕掛けてこない?
オレの分析が間違っている?いや、それはない。
ならすぐに動かない理由はなんだ?
見張りに気づかれないように注意しながら周りを見渡すと、人質の中に見覚えのある人物がいた。
―――成程。コーネリア総督は動かないんじゃなくて、動けないのか。
「うぅ………イレブン………」
日本解放戦線の兵士が近寄ってきた時、隣で恐怖で震えていたニーナがその姿を見てイレブンと呼んで悲鳴をあげる。
「貴様っ!今何と言ったぁ!?」
「ううっ!」
その兵士は気分を害し、持っていた銃をニーナに突き付ける。
「イレヴンだと?我々は日本人だ!」
「分かってるわよ、だからやめて!」
「訂正しろ!我々はイレブンなどではない!」
「訂正するから!」
「なんだその言い方は!」
ミレイ会長やシャーリーがニーナを庇うも、言い方が拙くて余計に兵士が激昂する。
仕方ない。
「お前たち、隣まで来い!じっくり教え込んで――――」
「やめろ」
兵士がこれ以上の行動をする前に、オレは動いた。ニーナへと伸ばそうとしていたその右腕を掴み取り、動きを制限した。
「えっ」
「キヨナガ君!?」
「やめろ。彼女が怖がってるだろ」
「なんだ貴様!手を放せ――が、っ、あ……っ!?」
オレは掴んだままの兵士の腕を左手の握力で握りしめると、兵士の表情が段々と硬くなっていき、両膝が震え始める。
「お、おいどうした?」
「貴様!今すぐその手を放せ!」
身体を支えきれなくなり、床に膝がついたのを見て他の兵士達がオレに銃を向けてきた。
「…正直迷惑なんだよアンタら」
「なんだと?」
オレはすぐ兵士の腕を放し、他の兵士達を見据えて挑発する。
「日本解放とかいう御大層なお題目を掲げてはいるが、悪い冗談だ。やっていることがあまりにも稚拙で品性の欠片もない」
「稚拙で……品性の欠片もない、だとぉ?」
「ブリタニア人を大勢殺せば日本を取り戻せると思っているのが稚拙以外なんだと言うんだ?武器を持たない民間人まで巻き込んだやり方を繰り返したところで、返ってくるのは”日本人は全員野蛮な連中”という偏見と弾圧だけだ。アンタらがやってることは、自分だけじゃなく生きるのに必死な日本人達全員の首を絞めているということを何故自覚しない?」
「黙れ裏切り者!同じ日本人でありながらブリタニアという圧制者に『魂』や『誇り』を売り払った売国奴が我々の行動を否定するか!!」
オレの挑発に乗って、激昂した兵士の一人がオレの胸倉を掴んで無理矢理立たせる。
同じ日本人?
『魂』や『誇り』だと?
生憎とそう言ったものはホワイトルームでは教わらなかったな。
「なら口を開けば『裏切り者』や『売国奴』しか言わないアンタらに聞くが、民族の誇りや魂とやらでゲットーで生きる全て日本人達の貧困がすぐに解決するのか?」
「は?」
「あるというのなら、どうすれば良いのか具体的に教えてくれ。そして、解決した人に会わせるなり、証拠を見せてくれ」
「……なっ!?」
「どうした?早く言え」
「そ、それは……」
オレが投げかけた質問にそいつは答えることができない。
答えれるわけがない。そもそもイデオロギーや魂、誇りで貧困から救われた人間など、歴史上いるわけ無い。
「確かに名誉ブリタニア人になった他の連中は民族の誇りや魂を捨てる道を自分で選んだんだろうな。ゲットーに追いやられできる仕事もなく食うものにも困り、家族を養うために断腸の思いでブリタニア側の人間になることを。周りから負け犬や奴隷とそしられるのを承知の上でな」
「「……ッ」」
「結局のところ、今日を生きるのもやっとな連中にとって誇りやイデオロギーは二の次なんだ。過酷な現実に順応して生きるしかないと選んだことに対して、変化を受け入れずただ暴れることしか能のないあんたらにどうこう言われる筋合いはない」
「貴様ぁ……!どこまでも我らの侮辱を…!」
兵士がオレのコメカミに銃口を突き付け、引き金に指をかけた。
「いいのか?その引き金を引いた瞬間、結局アンタらもオレのさっきの言葉を否定するどころか、あんたらの言う
「なっ…!」
オレの指摘に兵士の動きが止まった。
力で全てを押し通し、民間人を巻き込むことをいとわず、日本人を人と思わないブリタニアと同類扱いされる。それは元日本軍の、特に大和魂や武士道といったものを掲げる連中にとって屈辱の極みだろう。
しかも今自分たちがやっていることがまさにそれだと自覚させたらどうだ?
こいつ等の言うイデオロギーが崩壊を始める。
「違う……我々はこいつらと違う!」
「こんなことを仕出かしてる時点で弁解のしようがないだろ」
「我々は日本解放のため……日本人がまだ死んでいないことを内外に知らしめるため……」
「場合によっては生き残っている日本人が皆殺されるかもな。勿論そんなことになればそれはアンタらのせいになる。武士道から外れた行動の先にある結果だ」
「黙れっ!貴様に武士の何が分かる!」
「少なくとも女子供に暴力を振るおうとするような奴を武士とは呼ばないな。そう呼んで欲しければ腹を切るか新しい辞書でも作ることだな」
「…くぅ!!!!」
兵士達は額に青筋を浮かべながらも、引き金を引くことを躊躇していた。
引けば自分達の存在意義を失ってしまう。
そういう考えが過ったことで理性と言う名のある種の自己防衛本能が働いて膠着状態が生まれる。
すぐに理性の糸がプツンと切れてもおかしくない。
この状況。この瞬間、彼女がどうでるか――。
「おやめなさい!」
予想通り、人質の中から一人の少女が立ち上がり、この張り詰めた空気をぶち破った。
「なんだ?貴様」
「
「なに?」
「私はブリタニア第3皇女、ユーフェミア・リ・ブリタニアです!」
「「ええっ……」」
「噓、ユーフェミア様……?」
「なんでこんなところに?」
「会議に参加していたのか?」
エリア11の副総督であり、神聖ブリタニア帝国の第3皇女が人質の中にいたことに兵士達だけでなく、他の人質たちも戸惑いを隠せない。
「おい、どうする?」
「相手は皇族で、しかもブリタニアの魔女の妹だ。我々の要求が通るかもしれない」
「まずは草壁中佐に会わせてから判断を仰ごう」
「ああそうだな」
会話が丸聞こえだが。
「今すぐにその銃を下して、私を連れて行きなさい」
「……ちぃ!」
コメカミに突き付けられていた銃がようやく下ろされ、そのまま突き飛ばされる形で会長らの元へ戻された。
「キヨナガ君、大丈夫!?」
「一応」
ユーフェミアの方を見ると、護衛らしき女性がそばで止めるが聞く耳もたず、兵士に連れられていく。
一瞬こちらをちらりと見た気がするが気のせいだろう。
「まったく、なんて無茶するの…危うく殺されるところだったのよ」
「でも撃たれなかったでしょ。お互い」
「……ひょっとして、私達が乱暴されないようにワザと挑発を?」
「えっ、どうして…」
「どうしてイレヴンのオレが、ですか?」
「あっ」
ニーナがイレヴンを怖がっていることはだいたい察していた。
頭の中にイレヴンイコール野蛮人というイメージが染みついてしまっているのだろう。
それを払拭するのにいい機会だ。
「……オレはナショナリストではありません。相手が同じ人種だとしてもあくまでも他人としか見ていませんし、正直荒事はあまり好きじゃないのでこんなことを平気でやる連中に味方する義理も義務もありません。例え敗者と蔑まれようとも野蛮人と見られようとも」
「…あ」
「生きづらくなっても味方する相手を選ぶ権利はある。どうせ味方するなら、見ず知らずの
「……」
まあ、ある意味自分の身を守るためにもやったことだが。
「とはいえ少しやり過ぎました。情けないことに、間一髪のところで皇女殿下に助けられるなんて」
彼女の性格を考えると、オレが出しゃばらなくても自分から名乗り出ただろう。
だがもしオレが出しゃばらなかった場合、他の人質や外の連中は真っ先にオレをテロリストの仲間と疑う可能性が高い。スザクの時同様が日本人だからというだけでだ。
ユーフェミアが人質となって要求を呑むことになった後、必ず誰かに責任を取らせようとする。
それがオレになるのを回避する方法は一つ、テロリストと敵対する様子を人質に印象付ければいい。相手を挑発させてヘイトをオレへと移させたのもそのためだ。すぐにでも殺されそうな人間をテロリストの仲間だなんて誰も疑わない。証人の中にユーフェミア副総督がいれば、その効果は最大限に発揮されること間違いない。
そして思った通り、オレが用意した流れに沿ってユーフェミアは自ら名乗り出た。
後は頃合いを見てここにいる連中を―――
ズズズズゥゥゥゥン。
「きゃぁ!?」
「な、なに!?」
「な、なんだこの揺れは!?」
轟音が鳴り響き、建物全体に大きな揺れが走る。どうやら軍が突入を開始したようだな。
人質だけでなく兵士たちも突然のことに戸惑っていた。
「おい!お前たちなにか知ってるか!?」
「やめて!私たちが知るわけないでしょ!」
一人の兵士が銃口を再びオレ達に向けてくる。
この混乱状態では向こうはすぐにでも引き金を引いてきそうな状況だ。
その時、バタンと勢い良く扉が開いた。
「やめろ!今すぐ銃を下ろせ!」
バイザーで顔を隠し、黒い制服のようなものを着た赤い髪の少女が食料庫に入って来て、兵士たちに向かって叫ぶ。
「なんだお前は!?」
兵士がすぐさま銃を少女に向ける。
だが赤い髪の少女の後ろにいた黒髪の少女の方が、銃を取り出して引き金を引くのが早かった。
「ぐっ……」
「このぉ――がぁ!?」
オレの近くにいた兵士が少女達に銃を向ける。
オレは引き金を引く前に素早く動き、そいつの首の後ろにトンっと手刀を落として意識を奪った。
見張りをしていた他の連中は少女がやったようで、既に死んだか手足を撃たれて動けないでいる。
念の為そいつらから銃を遠ざけておき、少女たちの方を見ると何やら動揺した赤い髪の少女を黒髪の少女が叱咤していた。
あの赤い髪の少女……前にテレビでゼロと一緒に逃走した奴か?ということはここにゼロが来ているのかもしれない。
それに黒髪の少女も、バイザーで顔を隠しているがどこかで……
「あ、あの……あなたたちは、私達を助けてくれるの?」
ミレイ会長が恐る恐る少女達に訊ねると、赤い髪の少女がハッと正気に戻った。
「あ、ああ。そう。あなたたちを助けに来たの。ここは危険よ。私達についてきて」
「急いで。すぐにこのホテルから避難しましょう」
二人に促されるまま、途中で先程連れて行かれたユーフェミアとも合流してから人質達と共にホテルにある船の保管所まで移動し、ゴムボートに乗せられる。
その間オレは避難のサポートをやっておいた。一応軍属なためこれくらいの仕事はしておかないと後が面倒だ。
その際、なんか顎髭を蓄えたヒョロヒョロのガラの悪い男が「同じ日本人の癖にブリキ野郎共にヘコヘコしやがって」と喧嘩売ってきたが、頭がもじゃもじゃしている男に注意されて渋々引き下がった。
「全員ボートに乗り込んだぞ」
「わかった。貴方も早く乗って」
……やっぱり赤い髪の少女と黒髪の少女誰かに似ている気がする。
「…ところであんたら、前に何処かで会ったか?」
「「ギクッ」」
ん?
「なななななにってるの。そそそそそんなわけないじゃない!ヤダ何ナンパ?しかも二人同時だなんて節操なさすぎでしょ。ハハハ」
「ほ、本当だね。せせめて時と場所をわわきまえて欲しいね!」
…滅茶苦茶動揺しているようだが、まぁいっか。
ゴムボートに乗り込み、湖の上へと出る。
ホテルからある程度離れたところで、爆音と共にホテルが崩壊した。
♢♢
義弟の仇であるゼロを通した後、特派のランスロットが基礎ブロックの破壊に成功し、これから強行突入に動こうとした矢先、河口湖に佇むコンベンションセンターが崩壊した。
「ユフィイイイイイ!」
そんな……ユフィを、救えなかった。
「姫様!湖の上に動きが!」
「あ、あれは…ゼロ!?ユーフェミア様もいます!」
「なに!?」
湖の上を注視する。舞う土煙の中から、遊覧船に乗ったゼロが人質を乗せたゴムボートを連れて現れた。
『ブリタニア人よ。動じることはない、ホテルに捕らわれていた人質は全員救出した。あなた方の元へお返ししよう」
ゴムボートに乗っていた人質の中にユフィを確認できて正直ホッとしたがまだ安心できない。
『姫様、如何がされますか?』
「まだ動くな。今奴に手を出せば人質に逆戻りだ」
もしホテルの爆発が奴なのだとしたら、おそらく我々の足止めのためだ。
人質を連れて真正面から出た場合、我々が突入すればおしまいだからな。
『人々よ!我らを恐れ、求めるが良い!我らの名は”黒の騎士団”!』
テロリストがナイトを名乗るかっ……。
『我々黒の騎士団は武器を持たない全ての者の味方である。イレブンだろうと!ブリタニア人であろうと!日本解放戦線は、卑劣にもブリタニアの民間人を人質に取り無惨に殺害した。無意味な行為だ。故に我々が制裁を下した』
テロリストがテロリストを始末しただと?奴らは仲間ではなかったのか?
『クロヴィス前総督も同じだ。武器を持たぬイレヴンの虐殺を命じた。このような残虐行為を見過ごすわけにはいかない。ゆえに制裁を加えたのだ。私は戦いを否定しない。しかし強い者が弱いものを一方的に殺すことは断じて許さない!撃って良いのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ!!』
まさか、テロリストが正義の味方のつもりか?
『我々は力ある者が力無きものを襲う時再び現れるだろう。例えその敵がどれだけ大きな力を持っているとしても』
そして奴はマントをはためかせた。
『力ある者よ、我を恐れよ!力無き者よ、我を求めよ!世界は、我々黒の騎士団が裁く!』
そしてゼロとその私兵達が人質を乗せたゴムボートを置いて逃げ去る。しかし、それを追う事はしない。奴が今回人質を解放したのは事実、それをその日のうちに討ち取っては市民から批判もあろう。
今回だけは妹を救ってくれたことに免じて許してやろう。
だが次は容赦はしない。
無事確保した人質達の事情聴取を親衛隊に任せ、ダールトンにユフィと警護の者を連れてG1ベースへ連れてきてもらった。
「まったく、自ら名乗り出るなんて自殺行為だぞ」
「申し訳ありません。ですがお姉様」
「総督だ。ユーフェミア副総督」
前に政庁でも言ったとおり、血のつながった実の姉妹だからこそけじめが必要だ。
「申し訳ありません総督。副総督のそばについておきながら…」
「いや、貴公は十分職務を果たしている。そのことで咎めることはしないし、今後も妹の護衛を頼みたい」
「っ、畏まりました」
状況が状況だから仕方ない。
それに彼女もユフィと共にここに連れてきたのは責を問うためではなかった。
二人には直接人質になっていた時の状況を詳しく聞いてから、ベースにある休憩室で休んでもらい、私は椅子に座ってふうとため息を吐いた。
妹が事件に巻き込まれたのもあってか、今日は一段と疲れたな。
「失礼します姫様」
「お疲れのところ申し訳ありません」
「いや……大丈夫だ」
しばらくして、部下であるダールトンとギルフォードが報告に来た。
「先程ホテルの残骸から日本解放戦線のメンバーの遺体を回収しました。運良く損傷は少なく、首謀者である草壁のも確認できたとのことです」
「…死因は刃物による自殺か?」
「え?あっはい。日本刀という反りのある剣が心臓に深く突き刺さっていました。詳しい検死はこれからですが、武器の角度から見ても自殺ではないかとのことで」
「……そうか」
ユフィの証言通り、草壁とその部下が自殺したというのは本当か。
「となるとゼロは声高らかに制裁を下したという発言は噓になりますね……なぜそのような?」
「……奴はテレビ局の車を奪い、それを使ってエリア11の各回線に自らの存在をアピールした。主犯が自決したというより、自分達が始末したことの方がインパクトがあると思ったのだろう」
「事件そのものを自らのグループのデビューに利用するため、ですか。ふざけてますね」
ギルフォードの言う通り、ゼロはふざけた奴だ。
自らが正義の味方であるような言い回しで反ブリタニア活動を正当化しようとしているかのようだ。
「それにしてもあのイレヴンの少年、なかなか肝が据わってますなぁ」
「あのイレヴンの少年……人質の中にいた特派のか?」
「ええ。乱暴されそうになっていた学生を庇い、銃を突き付けられながらも顔色変えずに連中を言葉責めしていたとのことです」
「……詳しく聞こう」
聴取で人質達から聞いた内容と先程二人から聞いた話に食い違いはないようだな。
「肝が据わってるというより命知らずなのでは?一歩間違えれば自分が殺されてたというのに…」
「そう言うなギルフォード卿。なんにせよ日本解放戦線との繋がりはないようで、避難も積極的に行っていたこともあってジェームズ議長含むその他の人質や部下たちも彼がテロリストの仲間とは思えなかったそうです」
そう。誰もあのイレヴンの少年を日本解放戦線の仲間とは思っていない。人質達だけでなくダールトン含む親衛隊も。
だがなんだろうか。この違和感は……。
「あの、姫様…」
「どうしたギルフォード」
「実はつい先ほど例の収容所から連絡が」
例の収容所……あのイレヴンが入っていたところか。例の模擬戦闘の後すぐ奴の経歴について調査させていた。
「それで、なにかわかったのか?」
「いえ。それがどうも変なのです。彼がここ数年隔離区画にいたことは判明しているのですが……」
「だが、なんだ?」
「何時から入っているのかのと収容の理由などの記録が一切見当たらないとのことです」
「は?」
「なんだと?」
記録がない?
「いくら統治が杜撰だったとはいえ、収容している人間の情報管理の不備があるのか?」
「いえ、現在の所長も一切知らなく、前任者から”あれのことは記録に残すな。深く詮索するな”と深く釘を刺されていたと証言しております。看守も誰を収監しているのかも噂程度しか知らなかったようで……」
「噂?」
「旧日本政府の一部派閥が設立した人工的に天才を作り出す施設の被験者だと」
「人工的に天才を?」
馬鹿馬鹿しい。そんな都合よく作れるものか。まさかロイド伯爵はそんな噂を真に受けて引き取ったのではあるまいな?
「……ではその前任者が知っていると。近いうちに直接話を聞くか」
「残念ながらそれは叶いません」
「ん?何故だ?」
「収容所の所長の職を辞してほどなく亡くなったとのこと。銃で自らの頭を撃ち抜いたことによる自殺だそうです」
「自殺、だと?」
収容の記録情報はなく、知っていそうな前任者が辞職後の自殺。
不可解過ぎる。まるで機密情報を外部に漏らさないための措置ではないか。
だがそうまでして存在を隠すなんて……
「キヨナガ・アネコージ。奴はいったい何者なんだ…?」
小さいコードギアスのアニメ見た時はあまり気にならなかったのですが、最近見返してみて名誉ブリタニア人になることは仕方ないと思いました。家族を養ったりとか色々現実的な問題がありますし。