異性装系魔法少女   作:麻婆うどん

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400突破!
ワーイワーイ


交友

結局あの後、情報交換出来ずに放課後になってしまった。

皆が部活動や委員会で忙し中、特に用事のない私はそのまま帰路につく。

 

特売日でよかったですね

「そうだな」

 

ここ最近、インクブスの出現が多くなり外出禁止令が続いていたためいくつか生活用品が少なくなっていたためスーパーで安く買えたのはありがたかった。

今日の夕飯の内容と出現数の増えたインクブスの対応について思考を巡らす。

 

「やったー!勝った!」

「あと一回!もう一回だけ!」

 

公園の前を通りかかると芙花と子供の声が聞こえる。

どうやら友達と公園で遊んでいるらしく、元気な声が外にも響いていた。

私と違って交友関係が広いことに喜びつつ、そろそろ外出禁止のサイレンが鳴る30分前であるため帰宅を促す為に中に入る。

 

「無理、疲れた」

「もう一回だけ!お願い!」

 

公園の中に入り子供たちの姿を見つけるとその中に一人、明らかに大きい体格の人影がある。

よく見るとその服装は普段目にする制服であることに気付く。

私が通っている高校の男子生徒、それも―――

 

「あ!お姉ちゃん!」

「あれ、東さん?」

 

昼休みに屋上に田中くんと一緒に現れた星影くんだ。

そのことを思い出し一瞬警戒するがすぐにやめる。

目の前の彼からは悪意の欠片も感じられず、周囲には私達以外のもまばらだが人の姿がある。

彼が何かするにしても人の目がある所でしてくるとは考えづらい。

 

「え?兄ちゃんも知ってるの?」

「クラスメイトだからな」

 

角刈りの少年が私と星影くんの顔を交互に見ながら聞いてくる。

私はかろうじてクラスメイトであることを覚えていた程度だったが、彼はしっかりと名前も覚えていたいたらしい。

 

「お姉ちゃんも一緒に一回だけやろ!」

「いや、私は・・・」

 

密かに自分の記憶力のなさを嘆いていると芙花が遊びに誘ってくる。

ウィッチになっているときならばまだしも、今の私は小学生にも体力で負けるほど貧弱だ。

今まで何をやっていたのかは不明だが全員が軽く汗をかいていることからそれなりに激しい遊びであることは間違いないだろう。

 

「残念だけど、今日はもう無理だぞ」

 

どう断ろうか悩んでいると思わぬところから救いの手が差し伸べられた。

 

「えー、なんでだよ?」

「もう時間だからだね。ほら」

 

星影くんはそう言ってスマホの画面を見せる。

星空の背景に浮かぶデジタル時計のさす時間は、そろそろ帰路につかなければいけないような時間だった。

 

「ほら、明日も用が無かったら来てやるから。今日は帰るぞ」

「「「は~い」」」

 

そう言って東屋の方を指差し鞄を取りに行かせる。

 

「慣れてるんだな」

 

私とは違って小学生の相手に慣れているらしい。

男女関係なく慕われている様子を見て思ったことを口に出してしまう。

 

「まあ、妹がいたしな」

 

いた(・・)、とわざわざ過去のこととして話すということは彼の妹は・・・

律の時といい私はこうも触れてはいけないところに触れてしまうのだろう。

 

「そうなのか・・・」

「ん?あ~、すまん言い方悪かったな。べつ妹は生きてるぞ」

 

私がどう返せばよいか困っていると手を振って訂正する。

ならばどうして妹がいることを昔のことのように言うのだろうか?

不思議に思っていると彼は微笑にも見える表情を浮かべ口を開く。

 

「ただ、男性恐怖症なんだよ。だから俺が会えないだけ」

 

何故(・・)そうなったのかは聞いてはいけない、踏み入ってはいけない。

なんてことの無いように話している彼がどんな心境なのかは察するまでもない。

芙花たちが戻ってくるまで、私たちの周囲には樹木が揺れる音のみ残っていた。

 

 

芙花を寝かしつけた後、ファミリアからのテレパシーによって観測したインクブスの群れを対処するため旧首都まで出向く。

ゲートは数個しか開いていないようだが1つ1つの群れの数が多くそれなりに強い個体も何体かこちら側に来ている。

 

東さん、その・・・

「慰めなら要らない」

 

パートナーがためらいながら声をかけてくる。

恐らく夕方の事を引きずっていることに気付いたのだろうが・・・

 

「知らなかった、だけで許されることではない」

 

不用意な質問でクラスメイトを傷付けてしまった事実はどんなことがあろうとも変わらない。

 

それは―――

 

パートナーが再度声をかけてくるがゲートの方角から聞こえる轟音に遮られ、会話も打ち切られる。

どうやら既に1つの群れとウィッチが交戦しているらしい。

 

どうしますか?

「一定距離を保ちながらインクブスを包囲するようにファミリアを配置する」

分かりました

 

ファミリアたちにテレパシーで指示を出しいつでも突撃できるように準備させる。

ついでにファミリアと視界を共有しておき、戦場を観測できるようにしておく。

共有した視界に写っていたのはオークやゴブリンといったインクブスの死体そして、1人のウィッチを守った状態で危なげなくインクブスの群れを対処している黒いウィッチだった。

 

東さん、彼女は

「ああ、間違いないだろう」

 

黒い衣装と輝く目に特徴的なマジックの詠唱、見た目やマジックの種類を見るにゴルドブルームが言っていた昨日助けに入ってきたウィッチで間違いないだろう。

 

凄いですね彼女

「ああ」

 

両手でウィッチを抱えているため武器は腰に収められたままだが黒い障壁や足技によってインクブスを近づけさせずに確実に数を減らしていっている。

メインウェポンを封じられた状態であそこまで戦えるウィッチが何人いるか。

簡単なことでは無いことは確かだろう。

しかし、彼女の戦い方にはいささか疑問が残る。

 

「妙だな」

妙ですね

 

追撃が可能なタイミングでわざわざ被弾しつつも後方へ向かうといった行動を私が見るようになってからずっと繰り返している。

逃げた方向に他のウィッチや安全地帯があるのならばまなしもその方角はもはや人どころかウィッチすら居ない旧首都しかない。

何か考えが・・・

 

「そういうことか」

どうしました

「彼女の考えが分かった」

 

私の読みが正しいのであれば確かに効率よくインクブスの群れを撃退できるだろう。

 

考えとは?

「後で分かる」

 

いくらか疑問はあるものの彼女の作戦に乗ってやるとしよう。

ファミリアたちの陣形を最適な形になるよう指示を再度出す。

と、同時に黒いウィッチが先程よりも無理矢理に旧首都の奥へ奥へと進んでいく。

衣装が破れ素肌が露出しつつも黒いウィッチは大きな交差点へとたどり着く。

しかし、そこには・・・

 

お!来たぞウィッチが2人も

黒い方も弱ってるぞ

 

他のゲートから湧いてきたインクブスの群れが待ち伏せしており、来た道もインクブスによって防がれ逃げ道がなくなる。

 

さーて、どこまで頑張れるかな〜?

 

ひときわ大きなオークが棍棒と円盾を構え群れの中からでてくる。

 

そおれ!

防御(シールド)(プラス)衝撃(インパクト)

 

空間を裂く棍棒の横振りを後方に跳んで躱すと足元にタブレットほどの黒い障壁を展開しその上に乗る。

乗った次の瞬間、周囲に黒い障壁が炸裂しオークや取り囲んでいたゴブリンたちに破片が突き刺さる。

そして、黒いウィッチは炸裂時の勢いを利用し少女2人分の重量があるとは思えぬ程高く飛び半畳ほどの障壁を作りその上に着地する。

 

おいおい、それで逃げたつもりか?

 

そうニヤつきながら劇薬が付いているクロスボウや周囲に落ちている破片を拾い頭上のウィッチたちを狙う。

たとえ万全な状態であったとしてもあの場包囲網から逃げ出すのは不可能に近いだろう。

しかし、その包囲の警戒は中心にしか向いていない。

 

リーダー!ファミリアが!

な!

 

ウィッチを包囲していたインクブスたちの背後から私のファミリアが襲いかかる。

彼女が逃げた交差点は他のインクブスの群れと合流できる場所であると同時にファミリアたちが襲撃しやすい地形でもあった。

いつ私が観測していることに気付きそして何故ファミリアたちが有利な場所が分かっているのか、気になる点はいくつかある。

が、まずはインクブスたちを潰すとしよう。




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