リリカルな世界が、一部原作崩壊しているなんて聞いてない 作:コレクトマン
なのはの父、士郎を回復させてから約二ヶ月が経った。
雄也たちは今何をしているのかというと、現在雄也達の自宅にてあるテレビゲームのレーシングゲームのバトルロワイアルモードで激闘を繰り広げていた。何故雄也達の自宅なのかというと、住んでいるマンションが丁度シンたち原作非介入派が住むマンションだった。都合が良すぎるあたり神が何かしらの因果律操作で雄也たちを一ヶ所に纏めたかもしれない。そんなことを思いながらも、雄也は現在危機的状況に立たされていた。それは、対戦モードで全員が敵のサバイバル戦の時にシン達が雄也を先に倒そうと徒党を組んで集中攻撃を受けていたからだ。
「ハイここで赤甲羅を使って……いらっしゃいませぇっ!」
「おい馬鹿やめろっ!? ここで緑甲羅トリプルによる結界を壊すな! ……ってやべぇっ!? 他の連中も俺を狙っていやがる!?」
「僕からバナナ攻撃だ! これでスリップしちゃえ!」
「……っ!」
「ミラージュは無言でさりげなく俺ばかり狙うな!? 後ミナト、無作為にバナナを置くな! 逆に自滅するぞ!」
「えっ? ……あべしっ!?」
「言わんこっちゃない……!」
雄也の言ったようにミナトは考えなしに自分で設置したバナナによって自滅した。そして雄也はお返しと言わんばかりに残り二個の緑甲羅を使ってシンに体当たりする。
「痛っ!? 緑甲羅で体当たりするか普通っ!?」
「俺ばっかり狙ってきたお前が悪い。んで、残りはミラージュだけか……」
最後に残ったのがミラージュであることを確認した後にアイテムボックスに触れてアイテムを獲得した。そのアイテムは……
「おっラッキー、スターゲット! ……って、ああっ!?」
スターをゲットしたものの、テレサによってスターを奪われた。その奪った相手はミラージュだ。奪ったスターを使い、無敵状態になってそのまま雄也に向かって突撃して来た。
「何でよりによってお前がテレサを隠し持ってたんだよ!? そんなのありか……って、ぐばぁっ!?」
「……切り札は最後まで取っておくものだ」
そうして激闘の末に見事勝利したミラージュ。雄也たちは激闘というか、混沌な戦い(ゲーム)を終えた後に少し休憩をしていた。その時にシンは気分的にジュースを飲みたいと思い、ジュースを買いに一旦雄也たちと別れて外に出た。
「うーん……ジュースを買おうとしたのはいいものの、どのジュースを買うかまだ決まってないんだよな……」
シンはどのジュースを買おうか考えながらも自販機に向かっていると、何やら只事ではない悲鳴が聞こえた。
「いや!! 離して!!」
「ちょっ、離しなさいよ!!」
なんと悲鳴の主は“アリサ・バニングス”と“月村すずか”だった。二人はなのはと同じ学校で友達なのだ。ある黒服に捕まり、車に無理やり積み込まれるところをシンは目撃してしまった。
「マジかよ!? ……こうしている場合じゃない!」
この光景を見たシンは即座に携帯に
《どうしたシン? ほしいジュースがなかったのか?》
「それどころじゃない! たった今、アリサとすずかが目の前で誘拐されるのを目撃した!」
《はいっ!? ……アリサとすずかはどうした?》
「今偵察ドローンを飛ばして車を追跡している! いまからそっちに戻るから雄也たちは……」
《わかっている。救出作戦を練ればいいんだな? 任せろ》
シンは急ぎ足ですぐに雄也たちの下に戻るのだった。長引けばアリサたちに危害がでるかもしれないとシンはがむしゃらに急いだ。
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そうして急ぎ帰宅したシンはそのまま即席ブリーフィングに参加した。
「皆、シンから聞いているかもしれないがアリサとすずかが謎の黒服たちに誘拐された。シンが飛ばした偵察ドローンからの情報によると、場所は○○区の港倉庫区である事が判明した。今回の救出作戦はステルス重視の電撃戦で一気にアリサとすずかを救出する」
「なんか行動とやり方が矛盾してるような気がするけど、分かった。問題は例の黒服たちはどうするの?」
「無論、非殺傷で無力化する。一応人数を確認したところ14人がいたが、なんか場違いなメイドたちもいた。そのメイドたちを偵察ドローンでスキャンしたところ、そのメイドは自律人形であることが判明した」
「自律人形って……もしかしてとらハ要素が混ざっている?」
メイドの自律人形はとらいあんぐるハートシリーズに出てくる自動人形である。因みにメタい話だが、執筆者はあまりとらハは知らない模様で、二次小説で軽く知っている程度であるのは内緒だ。
「そのようだが、そんなことは知ったことじゃない。アリサたちが誘拐されたことに変わりはない。要は、助け出せばいい話だ」
「問題は、その電撃作戦で誰を投入するんだ?」
「……私が出る」
シンはいったい誰が電撃作戦に参加するのかを聞き出すと、ミラージュが答えた。
「ミラージュが? いやっ確かにパワードスーツなら顔を隠すことはできるから問題はないけど、身長差的に大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。パワードスーツの方はオートフィットシステムが組み込まれているから自動的にフィットする。活動自体は問題ない」
「マジか……。んで、バックアップは誰が担当するんだ?」
「バックアップはミナトで、監視カメラのハッキングがシン。そして俺はその監視カメラの映像を見てルートを示す」
シンはまるでCODだなと呟きながらもミラージュがよりスムーズに行動できるようパワードスーツにエイオンアビリティ“ファントムクローク”や“フラッシュシフト”、“チャージショット”に“グラップルビーム(スマブラ仕様)”のデータを読み込ませ、スーツの機能を拡張させた。そしてミナトはバトルチップシステムを最大限に生かすためにダメージ無効系のチップや
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港倉庫区にて黒服たちが警備員や作業員がいないことやアリサたちが逃げ出さないよう周辺を警戒していた。
「おい、あの方はまだか」
「もう少しだ。どうせガキ共は逃げられねぇんだ」
「しかし……あのアリサっていうガキ、気の毒というかなんというかだな……」
「ああ……あの月村家の娘と友達だったか? その月村家の正体を知ったらどんな反応をするのやら」
「確かに……っ! 誰だ!?」
なにやら月村家についての秘密をぼやいていた。すると、一人の黒服が何かしらの気配を感じ取ったのかその感じた方角を見てみたが誰一人、人影すらなかった。
「おいどうした?」
「いやっ誰かいたような感じがしてな……“カーンッ! ”っ! いま明らかに誰かいるぞ」
「その様だな……」
黒服二人はSMGを手に警戒しつつも音の鳴った倉庫内の確認する。そこには音の正体であろう一本のパイプが転がっていた。
「パイプか。……となるとネズミが紛れ込んだのか?」
「ああ……それもデカい方のな。見ろ、人の足跡がある」
黒服がつい最近の足跡を見つけた。その足跡は黒服たちが履いている靴跡の形ではなかった。
「何だこの足跡……?」
「分からん。だが、侵入者がいるってのは確かだな。お前は周りの方を頼む。俺は倉庫内にいないか確認する」
「分かった。……何だか嫌な予感がするぜ」
そうして黒服の一人が倉庫から出て外で見回りを始めた。しかし、それが不運にも左側から謎のビームが黒服を捉える。
「な……なんだこれ、おわっ!?」
悲鳴を上げる間もなくそのまま引っ張られる黒服。そして倉庫内にいる黒服が外に見回りに行った仲間が急に消えたことに違和感を覚える。
「おいおい……勘弁してくれ。俺はこの手のホラーは苦手なんだよ……」
若干震えながらもSMGを構えつつ周囲を警戒していると、外から外に見回りに行った仲間の声が聞こえた。
「おい、こっちに来てくれ!」
「んっ? ……何だ、気のせい……でもないか。そっちに侵入者らしき人影でもあったか?」
そう言いながらも警戒を緩めず外に出てその声のする方に向かう黒服。するとだんだん急かすように声が聞こえる。
「こっちだ、急いで来てくれ。直接見た方が早い」
「直接? そりゃ気になるが、なんでそう急かすんだ? 例の侵入者を見つけたのか? 「『ああ、侵入者なら……』……いま背後にいるけどな」……!?」
仲間の行動に疑問に思いながらも声のする方に到着すると、そこには外に見回りに行った仲間が紐で拘束されて気を失っていた。何故仲間がこうなっているのかと思考していると、背後からその仲間の声が聞こえたが、別人の声に変わった。すぐ背後を向いてその正体を確認してみると、そこにはパワードスーツを着た謎の人物がいた。
「な、何っ!? “ガッ! バシュンッ! ”ぐがっ……!?」
黒服はSMGで撃とうとしたがパワードスーツの右腕のアームキャノンで弾かれ、無防備になったところをアームキャノンの放つビームに撃たれてそのまま気を失ってしまう。
そう、ミラージュがスーツに内蔵している音声変調機能で声を黒服たちの声に変えてわざと黒服の仲間を引き寄せて非殺傷モードに設定したビームで無力化していた。ミラージュがまた一人無力したのを確認した後に監視カメラに向けて左手でピースサインを送る。何故その様なことをしているかというと、その監視カメラは遠隔でハッキングしている雄也達に無力化したことの合図を送っていたのだ。
『ナイスステルス。そのまま目標に向かってくれ』
「それは分かったが、残りはいいのか?」
『あと残っている黒服や人形はこっちで何とかできる。当初の目的を忘れるな』
「了解。ミナト、こいつを頼む」
「了解、任せておいて」
ミラージュは当初の目的であるアリサたちの救出の為にアリサたちがいる倉庫に向かうのだった。そしてミナトはバトルチップのインビジブルで透明化でこっそりと侵入しミラージュが気絶させた黒服を拘束し、破壊したメイド人形を人目のつかない場所に移動させていたのだ。
こうして目的地に着いたミラージュは現在の様子を確認していた。そこにはアリサたちを誘拐を指示した黒幕が出てきた。ミラージュは何時でも突入できるようキャノンを構える。
「……ふむ、よくやってくれた」
「ああ……で、報酬の方は?」
「そこの金髪の娘を人質にして身代金でも要求したらいい。ちっとばかし金持ちの家だからな。別に犯そうが何しようが私には関係ない。そこの紫の娘の方の報酬は後で振り込んでおこう」
「別にそういう趣味はないし、興味ない。仕事は確実にこなす、それだけさ」
以下にも身の毛がよだつ邪悪さを体現した悪い大人が金の為に子供すら食い物にするという増悪さを感じ取れる。するとすずかが誘拐に巻き込んでしまったことをアリサに謝っていた。
「ゴメンねアリサちゃん……私の所為で、こんな事になって……本当にゴメンね」
「すずかだけの所為じゃ無いわよ……悪かったわね。多分、私のパパの会社に身代金を要求しようとしてるんだと思う……」
それぞれの理由で誘拐されたアリサたち。彼女たちは今の状況は最悪という二文字が目の前に出ていたが、それをぶち壊す者たちの手により状況がひっくり返るのだった。
「バトルチップ、“ミニボム”×100!」
何処からか子供の声が聞こえたと思いきや黒服たちの頭上から青くて丸い小さな球体が無数に降り注ぐ。その正体はミナトが繰り出すバトルチップ“ミニボム”を百個を黒服たちに向けて投げまくっているのだ。頭上から降り注ぐミニボムの雨から黒服たちがそれを躱すとミニボムが地面についた瞬間、小さな爆発が起きる。しかし、爆発そのものはただのこけおどし程度に威力を調整されているのか特に体に外傷を与える威力に成り得なかった。だが足止めには十分すぎる威力だった。
アリサとすずかはいったい何が起こっているのか状況がまるで追い付いていなかった。すると背後から誰かが来るのを感じ取った。
「誰っ!?」
「しっ……! 仲間が奴らの注意を引いてる。今縄を焼き切る」
アリサとすずかに近づいたのはファントムクロークを解除したミラージュだった。ミラージュは右腕のアームキャノンをビームをチャージし、そのビームの熱で器用に縄を焼き切るのだった。
「!? おいっガキどもが逃げてるぞ! 捕まえ……ぐわっ!?」
アリサたちがパワードスーツを着た人物に気づいた黒服は仲間にアリサたちを逃がすなと命じようとした瞬間、ミナトのミニボムが直撃してしまい煙が収まった時には黒服の頭がギャグマンガ的なアフロ頭になっていた。
「……何故にアフロ頭だ?」
『ミラージュ、アリサたちは?』
「丁度拘束を解いたところだ。脱出経路は?」
『そこから南50mに外につながる裏口がある。アリサたちを連れて速やかに脱出しろ。シンがその地点に催眠ガスが充満している爆弾を搭載している爆撃ドローンを向かわせた。巻き込まれればミラージュが無事でもアリサたちが眠ってしまって足かせになるぞ』
「分かった。……二人とも、ついて来い」
「あっちょっと、待ちなさいよ!」
「あ……アリサちゃん!」
ミラージュがアリサたちを誘導するように出口に向かった。無論それをただ見ている黒服たちではなかった。
「クッソ……! あのガキと変なスーツを着たやつを逃がすな! ここで逃がせば……」
「お……おい、何か聞こえないか?」
「あ? なんだこんなクソ面倒な時に“ブーン! ”……あっ?」
黒服の一人が妙な音に気付いた時には一機のラジコン飛行機が黒服たちが集まっている所に飛んできたのだ。そのラジコン飛行機には何かしらの筒が外付けで取り付けられていた。そしてラジコン飛行機は黒服たちが集まっている中心に地面に激突すると同時に外付けされていた筒から煙が放出される。そう、ラジコン飛行機こそシンが飛ばした爆撃ドローンなのだ。雄也的におもちゃが恐ろしき兵器に変えてしまうシンの行動に若干引いたのは別の話。
「な、なんだ!? 煙幕か!」
「こいつはただの煙幕じゃねえ……ゲホッゲホッ! お前たち、この煙を吸うな! こいつ……は……」
黒服の一人が仲間に煙を吸うなと警告するが時は既に遅く、催眠ガスを吸ったことで睡魔に襲われてその場で倒れ込んで眠ってしまう。他の仲間もバタバタと倒れては眠るのだった。
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アリサたちを連れて外に出たミラージュ。ミラージュはアームキャノンで周囲を警戒し、安全を確保したことを確認したところで黒服たちを足止めしていたミナトと合流した。
「ミラージュ、お疲れ。何とかいったようだね」
「あぁ。だが、まだお疲れというのは早い。彼女たちを元居る両親のところに戻すまでが任務だ」
そうミラージュがアリサたちの方を見る。アリサたちもミラージュたちの手際の良さに驚きつつもいったい何者なのか疑問が尽きなかった。
「その……助けてくれたことには感謝してるわ。でもあなた達って何者? あの黒服たちとは別の連中かしら?」
「ア……アリサちゃん」
アリサが疑うのも無理もない。子供とパワードスーツを着た大人がアリサたちを助け出したとはいえ、あの黒服の連中とは別組織にの可能性の否定できないのだ。しかしミラージュは自ら敵ではないことを証明するためにパワードスーツを解除し、本来の姿を見せるのだった。
「え……うそっ、私たちと同じ子供!?」
「もしかして、それが貴女の本当の姿?」
「あぁ、私は君たちと同じ年の子供だが少し訳ありだが、決して君たちの敵ではない」
「だからってパワードスーツを解除するのは早すぎると思うけど……」
ミナトの言う通りまだ自分たちが
「すまない。しかし、彼女たちに納得させるには……っ! ミナト!」
「っ! バトルチップ、”バリア”!」
ミラージュは瞬時にパワードスーツを再展開してアリサたちを庇う。そしてミナトはバトルチップ”バリア”を展開し、ミラージュたちの前に出て不意打ちの攻撃を防いだ。その不意打ちの攻撃の正体は9mm弾の拳銃による銃撃であり、バリアによって銃弾を防ぎミラージュたちを守った。
ミナトのバリアが消失したと同時にミナトはバスターを、ミラージュはアームキャノンを攻撃された方向に向ける。そこには誘拐したと思われる3人の黒服たちがいた。そのうちの一人は誘拐犯のリーダーだ。
「まさか……ガキ二人を誘拐したことでこんなことになるなんてな」
「助けに来たと思われる子供はともかく、パワードスーツを装着した子供が誘拐した子の救出に来たのはさすがに想定外だった……」
「ふざけやがって! これじゃあ身代金をいただく計画が台無しじゃねえか! しかも仲間との連絡も取れねえあたり裏の方の仲間もいやがるのかよ!」
黒服たちも今いるミラージュたちと、裏でサポートしている雄也たちに自分たちがやられるなんて思いもしなかっただろう。
「まぁ……即席とはいえ計画的に行動したからね。誘拐犯から彼女たちの救出と誘拐グループの無力化」
「つまり、私たちに目をつけられた時点でお前たちの負けは確定していた」
ミラージュたちが黒服たちに敗因を告げると、一人の黒服がある事を口にする。
「へぇ? じゃあ、君たちが助けようとしている子が
「
ミラージュが人ならざる者という言葉に疑問を抱いた。雄也たち転生者組は月村家こと月村すずかの実家が夜の一族であることは知っていたが、アリサに到ってはどういう意味と内心? を浮かべた。すずかは自分や家族の正体を知られたくないのか震えていた。
「ちょっと、それはどういう……」
「そこの紫髪のガキの、そして我々夜の一族の事さ」
アリサがすずかの正体が何なのか聞き出そうとしたときに別の人物の声が割り込んできた。その声の主は、こいつらとは真逆の白いスーツを身に纏った姿で現れた。両隣と後ろに表情の欠けたメイドを引き連れて。
顔は正に美男子そのものだが、ミナトたちを見る目は視線は養豚所の豚を見る様な目付き。ミナトたちもその人物を見て確信した。この人物こそが黒幕であると。
「……氷村の叔父様?」
そして、さっきまで震えていたすずかは顔面蒼白といった顔色のままに、こっちまで歩み寄ってきた男を視界に捉えてポツリと呟く。この時にミナトはすずかの正体を明かそうとした黒服の男と目を合わせながらも氷村と名乗る男に問い掛けるのだった。
「……それで、その氷村さんだっけ? 彼女がその貴方がいう夜の一族ってのは何か訳ありの一族か何かかな?」
「下等種如きが僕に話しかける等、身の程を弁えないとは……まぁ良い」
ミナトの言葉を聞いた氷村は、その言葉に不機嫌そうに鼻を鳴らしながらも、すずかの正体を明かそうとする。
「い……いやっ、言わないで……!」
「その娘は”バシュンッ! ”……ぐっ!?」
ところが、それを邪魔するかのように実銃とは似つかない変わった音が鳴ったと同時に氷村の右肩に何かが当たる。そしてその音の発生元をたどると、そこにはすずかの正体を明かそうとした誘拐犯が
「なっ……!?」
「お、おいってめぇ、クライアントに何しやが……」
他の誘拐犯がとち狂った仲間を見て何故撃ったのか問おうとするが、発砲主はそれを無視して他の誘拐犯に向けて発砲し、誘拐犯たちを無力化した。この状況にアリサたちも混乱した。
「ちょ……ちょっと!? あんた、あいつらの仲間じゃないの!?」
「あ~っごめんごめん。
その誘拐犯のフランクに接する態度にアリサたちは混乱を隠し切れない。ミラージュも同様だが、ただ一人ミナトだけは動揺している様子はなかったまるでこの展開を分かっていたような感じだった。
撃たれた氷村は雇い主である己を撃った裏切り者を睨みながら罵倒した。
「ぐぅ、ばぁかやろぅぅっ!!? 誰を撃っている!! 貴様っ!? フザケルナアァァッ!!?」
どこぞの新世界の神(笑)の如く誘拐犯を罵る氷村。その誘拐犯はまるで赤の他人のような態度で返した。
「ふざけてなんかないさ。僕はただ誘拐犯の主犯格であるアンタに一発お見舞いしただけだよ。もっとも非殺傷弾だから小さなボクサーにストレートをもろに食らった衝撃は痛いよね?」
「き……貴様……! 下等種如きが僕を欺くためにワザと仲間のふりをしていたの言うのか「『ちがうよ』、あいつならもうとっくにロッカーの中で眠ってるよ」……!?」
氷村の答えを否定するようにその誘拐犯は
「う……嘘っ!?」
「変身……した?」
「あいつは……! おいミナト、まさかと思うが……」
「あっははは……その点は後でちゃんと説明するから今は目の前のことを対処しよ?」
ミナトの言うようにミラージュはこの危機を脱するのが先決と判断し、後回しにするのだった。
一方の氷村は、突如と姿を変えたロボットの身体の少年が引き連れているであろうメイドこと自動人形である可能性に思考が走った。
「ま……まさか、イレインと同じ自動人形だというのかっ!?」
「自動人形? それも違うよ。僕はレプリロイド。まぁ、レプリカアンドロイドとでも言えそうだけどね。あっそうそう、自己紹介がまだだったね? 僕はアクセル、よろしく」
「レプリ……ロイド?」
「アクセル……?」
「……自動人形達ッ!! あのアクセルとかいう自動人形を含め侵入者たちを殺せッ!! イレインッ!! お前は僕を守れッ!!」
アリサたちもアクセルというレプリロイドという言葉を初めて聞き、氷村はアクセルが人ではないことを理解したのか優先的にアクセル達を始末するように指示を出した。するとメイドの自動人形6体が集まり、イレインと呼ばれる個体は氷村を守るように傍に立ち、他のメイドが剣や銃などの武器を手にしアクセル達に襲い掛かった。しかし、氷村は知らない。氷村が相手しているのはこの世界にとってイレギュラーである転生者たちとS級イレギュラーハンターの一人を相手していることを……
「バトルチップ、”Zセイバー”! ……からの、翔炎山!!」
ミナトが翔炎山で自動人形を切り裂いたことを皮切りにミラージュはアームキャノンからノーマルミサイルで自動人形を迎撃し、アクセルはアクセルバレット二丁による二丁拳銃で襲い掛かった5体の自動人形を破壊した。残すは氷村とイレインだけだった。この結果に氷村は驚きを隠せず、顔を青ざめていた。
「な……!? 自動人形達が、一瞬で全滅……!?」
「まぁ、イレギュラーハンター相手に分が悪すぎた訳だ。観念するんだね」
「くっ……この化け物共め! イレインッ!! この小僧共を始末しろッ!! は、早くッ!!」
「……了解」
氷村は切り札としてイレインにアクセル達の抹殺を命じ、イレインは人間では不可能な動きで一気に距離を詰めてアクセルを攻撃する。
「させないっ! 葉断突!!」
だが、イレインの斬撃に割り込み攻撃を防ぐミナト。その隙をついてミラージュがひそかにエネルギーをチャージしたアームキャノンのチャージ弾をイレインに向けて放つ。イレインはミラージュの攻撃を感知するや否やとっさにミナトと距離を取りつつもチャージ弾を躱す。そして戦法を変えるためにイレインはもう一本剣を取り出し二刀流で標的をミナトからミラージュに切り替え、真正面に跳躍してミラージュに切りかかる。
「……!」
ミラージュはアームキャノンによるカウンターメレーでイレインの斬撃を捌こうとするが、イレインの斬撃は常人の域を超えるスピードである為捌き切ることは不可能だった。ある程度ダメージを受けてしまったミラージュ。さすがにミナトとアクセルの不安が走る。
「ちょ……ちょっと大丈夫!?」
「ミラージュ、大丈夫か!」
しかし、ミラージュは冷静さを欠いてはいなかった。再びアームキャノンをイレインに向けて射撃体勢に入る。
「いいぞイレインッ! そのままそのパワードスーツの奴を殺せッ!!」
氷村はこのままいけば勝てると確信したのかイレインにミラージュに止めを刺すよう命令し、イレインも命令を受諾して再び跳躍し、ミラージュに向けて斬撃を入れようとしたその瞬間……
「ザケルガッ!!」
「……ッ!?」
突如として子供の声が聞こえたと同時に
「えっ!? 今のは電撃!?」
「もーっ!! 今度は何なのよ!?」
「今のは……!」
「……来たか」
雷の閃光こと電撃が来た方角を見てみると、そこには二人の少年がいた。片方は赤い本を持ち、もう片方はミラージュが来ている別系統の青色をベースとしたパワードスーツを装着していた。そう、何も書かれていないレプリカの赤い本を持つ雄也とアムドライバーの主人公”ジェナス・ディラ”が装着するアムジャケットを装備したシンがミナトたちの救援として駆け付けたのだ。
なお、二人の心境は……
((……なんでアクセルがここにいるんだ?))
本来救出作戦にいる筈の無いアクセルがここにいることに少しばかり頭の中で困惑していた。