勝利の女神NIKKEの二次創作ですが、一話はあんまりNIKKE要素がありません。
ピピピッ!ピピピッ!
「ん~…」
目覚ましの音だ。そろそろ起きなくっちゃあいけないな、と俺は布団の中から手を出して目覚ましを止めた。目覚ましに設定している時間は結構ギリギリだし起きなきゃアイツも起こしに来る、それに今から準備しないと仕事に間に合わない。
手癖で窓を開けて換気しようとすると視界のど真ん中に巨大な柱が見える。今やこの街からのどこからでも見えるあの巨大な建造物は軌道エレベーターとかいうものだ。
『オハヨウ!オハヨウ!』
「ああ、おはよう。」
こいつは同居しているロボット。軌道エレベーターから家へ帰る途中にいつの間にかトランクの中にぎちぎちに詰まっていたヤツだ。
四角い見た目に四本の脚、配線はむき出しだが全体的には小奇麗だったから最初はこのあたりの住民が暇を持て余してロボット製作にでも取り組みだしたものかと思って警察まで行ってきたわけだが、3ヶ月ほと経っても誰も引き取り手がいないらしく俺のもとへ戻ってきてしまった。
それからは同じ部屋でまるで同居人のようにロボットと暮らしていたが一緒に暮らして数週間もすれば愛着がわいてくるし少しマシになるように改造してみたくもなる。昔に流行ったらしい飼い犬型ロボットをまねしてスピーカーでもつけてやったら言葉のようなものを発し始めたというのだから驚いた、どうやらこいつにはAIか何か積んであるらしいと俺は改造にのめりこみ始めた。
ロボット製作に精を出す暇人でもいるのかと思っていたが、どうやら俺のことだったらしい。などと考えながら支度を終えて玄関へ向かう。
「じゃあ、行ってくる。」
『イッテラッシャイ!」
しかし、ロボット相手とはいえ会話できる相手がいるというのはありがたい。一人暮らしの時は軌道エレベーターと家の往復をしているだけで気が滅入ってしまいそうだったからだ。
俺の仕事はパワードスーツを着て倉庫に運ばれてくる荷物を貨物運搬用のエレベーターまで運ぶことだ。同じく仕事に従事する同僚も何人かいるが仕事中彼らと会話することはほとんどない。正直言ってしまえばコミュ障なのだ、自宅でロボット相手に一方的に喋っているような人間だ、コミュニケーション能力が育たないのも仕方がないだろう。
今日も結局業務以外では誰とも話すことはなかった。少し沈んだ気持ちになりながら帰宅するとロボットが出迎えてくれる。
『オカエリ!』
「ただいま…」
飯を食ってシャワーを浴びてダラダラとしていればもうそろそろ寝るような時間になる。寝室に向かう途中窓の外が突然明るくなり、爆発音と建物が崩れるような音が連続してなり始める。
「!!何だ!?」
外を覗くと高速道路の方面、軌道エレベーターに近い街の北側から火の手が上がっている。過激な地球保護団体が遂にテロでも起こしたのかと一瞬思った。いや、そう思いたかっただけなのだと後にすればわかった。
戦車ほどの大きさのものが街に向かって砲撃している。玄関先から大声が聞こえる。どうやら隣の爺さんが何かを叫びながら走り回っているらしい。すぐに気づいた。そうだ、シェルターだ!
俺は玄関を飛び出し、慌てて北とは逆の方向にある共同の地下シェルターを目指した。道の両側には同じように逃げる人々の姿があった。泣き叫ぶ子ども、無言で走る男たち、手を取り合う夫婦。
頭上で何かがはじける音がしたかと思えば、体が地面に叩きつけられていた。肺の中の空気が全て押し出され、しばらくの間、息を吸うことさえできなかった。
「……くそ……」
かろうじて上半身を起こそうとしたその時だった。全身がまるで鉛で固められたように重い。目を凝らして自分の体を見ると、右足が瓦礫の下敷きになっていることに気づいた。コンクリートの塊がひしゃげた金属片とともに押し潰している。血が滲み、じわじわと地面に広がっていく赤い染みが目に入った。
必死で足を引き抜こうとするが、痛みが全身を走るだけで、動く気配はなかった。息を吸うたびに肺が焼けるような感覚に襲われ、額から汗が滲む。
「誰か……!」
喉から搾り出した声は思った以上にかすれていて、自分にすら聞こえないほどだった。
頭上で、「何か」が通り過ぎる音がした。さっき窓から見えた「何か」だろう。だが、その姿を確かめる余裕も力も、もう残されていない。視界がぼやけ、体温がじわじわと奪われていくのを感じる。
『アナタハ…ワタ…ガ………』
息を吸うのが辛い。思考が混濁していく中で、声が聞こえた。
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意識の底で、何かがはじけるような感覚がした。
それはまるで深い海の底から急浮上するような、もしくは、長い夢の終わりを告げるような、そんな感覚だった。
視界は暗闇。目を開けようと力を込めても、瞼は鉛のように重く持ち上がらない。けれど、奇妙なことに「見えている」。いや、正確には、視覚ではなく、全身で周囲を感じ取っているようだった。
目を閉じているのに、瓦礫が散乱した床や崩れた壁、破れたカーテンが風に揺れるのを「知っている」。さらに遠く、冷たい風が吹き込む音や、どこかで滴る水の音までもが鮮明に頭の中に広がっていた。
「……ここは……?」
声に出すと、喉の奥に違和感があったが、言葉は思ったよりも力強く響いた。
体を起こそうとした瞬間、妙な感覚が走った。以前よりもはるかに軽い。手を床についてみると、その指先に力が満ちているのを感じる。試しに立ち上がると、足にもしっかりと力が入る。まるで体の隅々に新しいエネルギーが宿ったようだった。
「なんだ…?どういうことだ?」
その時、頭の中に澄んだ声が響いた。
【お目覚めになりましたか、体の調子はいかがですか?】
突然の声に思わず体を硬直させる。声は耳ではなく、頭の中に直接届いている。
「誰だ…?」
【私です。かつて、貴方と共に過ごしていたロボットです。名前はありませんが、貴方はいつも『お前』と呼んでいました。】
「かつて共に過ごしていた、ロボット…」
確かに、そんな存在と一緒に暮らしていた。だが、それがどうして頭の中から声を出しているのか分からない。
「……それで、なんでお前が、俺の中にいるんだ?」
声は一瞬だけ間を置いてから応えた。
【あの時、貴方が瀕死の重傷を負われた際、私は救命措置として私自身を貴方に統合しました。それ以外に選択肢はありませんでした。】
その言葉と共に、記憶が断片的に蘇る。爆撃、瓦礫、息が途絶えそうになる中で感じた何か冷たく、それでいて温かな感触。
「……俺を助けたのか?」
【はい。それが私にできる最善の方法でした。ですが、融合の代償として、貴方の体はほとんどすべてがナノマシンとガッデシアムへと置き換わっています。】
左手に意識を向けると頭の中にはっきりと手の形状が浮かび上がる。それは人間のものと似た形をしていたが、皮膚の下は骨でなくそれより精密なもので構成されているようだった。
「……俺の体、どうなってるんだ」
【以前の状態とは異なります。ですが、機能としては向上しています。心配なさらないでください。】
そういえば、共に暮らしていたロボットなら少し違和感がある、あいつはこんなに流暢にしゃべれなかったはずだ。もちろん人間と融合したから、といわれたならばそう納得するしかないが。
「……お前、随分流暢に話せるようになったな」
自分でも驚くほど静かな声で呟いた。
【あの頃の私は、貴方との会話を通じて人間の言語を学ぶ最中でした。しかし、貴方が重傷を負われ、融合した後は、私が主体となって学習を続ける必要がありました】
「……俺が眠っている間に、勉強してたってことか?」
【はい。貴方に統合されて以降、周囲の環境データや言語資料を収集し、それらを元に学習を進めました。】
「……で、俺はどれくらい寝てたんだ?」
瓦礫の上で体を起こしながら尋ねる。まさか長くて数週間――そんな程度だろうと思っていた。
【4年と208日です。】
「……は?」
あまりに冷静であまりに具体的な返答に、思わず動きを止める。
「4年……?」
愕然とした。そんなに長い間、俺は意識を失っていたのか。
【はい。貴方の肉体を維持し、再構築するにはそれだけの時間が必要でした。そして、その過程で……私は多くの行動を余儀なくされました。】
「……余儀なく?」
嫌な響きだ。まるで後ろ暗い何かを抱えているような。
【最初の二年間、私は私の同胞からパーツを収集し、それを増設して貴方の体を維持しました。】
【彼らを破壊し、その構成部品やナノマシンを収集しました。その結果、貴方の肉体は次第に大きく拡張され、最終的には竜のような巨大な形態に至りました。】
「竜……?」
耳を疑った。俺が竜のような形になっていたというのか。
【それは最適化された結果でした。人類の攻撃に耐えうる体と、貴方の生命維持に必要な機能を両立させるための形態です。しかし、人類が新たにニケ呼ばれるヒューマノイドを生産し始めたことで、状況は変化しました。】
「ニケ…」
【はい。彼女たちは私たちへ対抗手段として作られた新型兵器です。ニケの登場により、私はより高性能で適応性の高い部品の収集が可能になりました。】
区切られることなく続けられる言葉、その冷静さが俺には圧力のように感じられた。
【私はニケたちと交戦し、その構成部品を貴方の体に取り入れました。ニケの身体を構成するガッデシアムと呼ばれる金属は安定した体の構築を目指す私にとって都合がよく、そして最終的に、ニケの身体を模倣することで、現在の人間に近い形態を構築することができました。】
「人間に近い形態……ってことは、今の俺は――」
【はい。現在の貴方の体は、ニケを基にしたものであり、その外見は以前の人間の姿に近いものです。ただし、細部には調整が施されております。】
俺は軽く拳を握ってみた。目が見えないにも関わらず、手のひらの感覚が妙に小さく、柔らかいことに気づいた。
「……あれ、なんかおかしいぞ。俺の体、変じゃないか?」
【現在の形態について、正確にお伝えします。貴方の新しい肉体は、最強とされたニケの体を模倣しているため、全体的に女性型に調整されています。】
「……は?」
頭が追いつかなかった。思考が空回りする中で、声はさらに続く。
【これはニケは女性型のみ存在しているからです。そのため模倣する際、その構造が最も適していると判断しました。】
「ちょっと待て……つまり、俺は女の体になったってことか!?」
【その通りです。しかし、全ては貴方の生命維持と機能の最適化のための選択でした。】
「おいおいおい、冗談だろ……!」
思わず叫びかけるが、声がかすれている。それでも、自分の体がかつての自分のものとは完全に違うことだけは、痛いほど感じ取れていた。
「……俺は、俺じゃなくなったってことかよ」
【いいえ。貴方の精神、意思、記憶は全てそのままです。変わったのはあくまで肉体のみです。】
声は冷静で、揺るぎがなかった。それでも俺は、その事実をすぐには受け入れられそうになかった。
「……これから、どうやって生きればいいんだよ……」
以下、オリ主の設定
主人公くん
あんまり設定が固まってない、寝て起きたら女の子になっていた。
脳内ラプチャーちゃん
主人公の体を作る過程でニケとラプチャー両方の陣営に敵対した。結構暴れてた。
イメージは渾沌に呻くゴア・マガラ