眠れ女神よ、勝利は遠く   作:ちしかん

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FAILED TAIL : END

 

風が冷たく頬を打つ中、俺たちは歩き続けていた。空は鉛色に曇り、乾燥した大地が延々と広がっている。その後ろには十数人の避難民たちが、疲れた足取りでついてきていた。

 

「まさかこんな大人数を引き連れることになるなんてな……。」

 

俺はため息混じりに呟く。隣を歩くシンデレラが、その声に応じた。

 

「仕方ないわ。彼らはアークに入れなかった人たちよ。」

 

俺は避難民たちを見やりながら言った。彼らの身体は薄汚れていて、多少まともな服を着れていることがせめてもの救いだろうか。それでも、彼らの目にはどこか強い意志が宿っていた。

 

「アークに見捨てられても、彼らは前に進むことを諦めていない。それだけで、美しいと思うわ。」

シンデレラが小さく微笑む。その笑顔に、俺もわずかに気持ちが和らぐのを感じた。

 

「それにしても、不思議だよな。こんなに目立つ集団で移動してるのに、ラプチャーにほとんど襲われないなんて。」

 

俺が言うと、シンデレラは少しだけ首を傾げた。

 

「確かに静かすぎるわね。でも、襲ってくるラプチャーは全て私が殲滅してるから問題ないでしょ?」

 

彼女の自信満々な言葉に、俺は思わず苦笑する。

実際、彼女がいなければこの旅はもっと危険に満ちたものになっていただろう。ラプチャーが現れても、彼女のガラスの靴から放たれるビームがすべてを一掃する。避難民たちはシンデレラに命を救われるたび、感謝の眼差しを向けていた。

 

「でも、2年近くもかかるとは思わなかったな。」

 

俺は遠くの地平線を見ながら呟く。

 

「彼らを連れているから仕方ないわ。」

 

シンデレラは肩をすくめたが、その声には不満の色はない。

 

「まあな。でも、いつまでもこの状況が続くわけにはいかない。どこか彼らが安全に暮らせる土地を見つけてやりたいんだが……。」

 

俺の言葉に、シンデレラもふと遠くを見つめた。

 

「それが見つかるといいわね。でも、私たちの本来の目的も忘れないで。私には、まだ仲間を探すという使命があるのだから。」

 

その言葉に、俺は静かに頷いた。避難民たちを引き連れたままでは、シンデレラの仲間探しも非効率だ。俺たちはこの旅路で答えを見つける必要があった。

 

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地平線の先に、崩れかけた建造物の影が現れ始めた。それは目指していたエリシオン第3ニケ研究所だった。

 

「ようやく着いたな。」

俺は呟き、避難民たちを振り返る。彼らの疲れた表情がわずかに緩んだように見えた。

 

「ここで少し休んで、次のことを考えましょう。」

シンデレラの言葉に、俺は小さく頷いた。

 

エリシオン研究所の外れに避難民たちのための簡易キャンプを設置し終えると、俺はシンデレラに声をかけた。

 

「少し研究所の中を見てくる。物資が残ってるかもしれないし、何か役立つものが見つかるかもしれない。」

「分かったわ。でも、無理はしないで。何かあればすぐに呼んで。」

 

シンデレラは周囲に目を配りながら、護衛の体勢を崩さない。

俺は頷いてから、崩れかけた研究所の方向へ歩き始めた。

 

近づくにつれ、研究所の荒廃ぶりが目に入ってくる。建物は所々が崩壊しており、風化も進んでいる。地面には瓦礫が散乱し、かつての施設が今はただの無残な遺跡となっている。

 

「……こんなところに、何か残ってるのか?」

 

呟きながら、注意深く周囲を見回す。幾つかの部屋を見て回った後に、俺はまだ稼働しているものを見つけた。地面に半ば埋もれるようにして、板のようなものが倒れている。それはただの壊れた機械に見えるが、俺はそれがまだ稼働していることがなんとなく分かった。

 

「……何だこれ?」

 

近づいてみると、画面がひび割れているようだがきちんと機能していることがわかる。

興味を引かれた俺は、板を調べ始めたが何が表示されているのか全く分からない。チョークの粉ですら感知し読み取れる俺の感知能力も凹凸のない電光掲示板には無力なようだった。

 

「何か分からないけど、これ以外に収穫も無いし取り敢えず持ち帰ってみるか。」

 

俺は掲示板を瓦礫から慎重に引き抜き、抱え上げた。重さはそれほどでもないが、大きさがあるため運ぶのは少し厄介だ。

 

キャンプに戻ると、避難民たちが食事の準備をしている。シンデレラは警戒態勢を崩さず、周囲を見張っていたが、俺が掲示板を抱えて戻ってくると興味深そうに近づいてきた。

 

「それ、何?」

「分からない。研究所の中で見つけた。」

 

俺が地面に掲示板を置くと、シンデレラはその画面をじっと見つめた。そして、驚いたように口を開いた。

 

「これ……懐かしいわ。『ラプチャーカウンター』ね。」

「ラプチャーカウンター?」

 

彼女は目を輝かせながら頷く。

 

「エイブが作ったものよ。地上にラプチャーがどれだけいるのかを計測する装置だったはず。まだ残っていたなんて……」

 

画面の数字を見つめる彼女の表情が、次第に驚きから喜びへと変わっていく。

 

「何だ?何かすごいものが表示されてるのか?」

「ええ、確かに。以前はただ∞という表示だったけど、今は……見えるわ、数字が。」

 

俺はシンデレラが何に感動しているのかはっきりとは分からなかったが、彼女がこの掲示板に強い思い入れを抱いていることだけは理解できた。

 

「無駄じゃなかった……私たちがしてきたこと、無駄じゃなかったのね。」

 

彼女の声には深い感慨が込められていた。その姿を見て、俺も少し安堵するような気持ちを覚えた。

 

──────────────────────────────────────────

 

キャンプに穏やかな時間が流れる中、見張りに立っていた避難民の一人が急ぎ足で戻ってきた。その顔には驚きと混乱が入り混じった表情が浮かんでいる。

 

「誰かがこっちに来る!一人だ!ニケみたいだ!」

 

その言葉に、俺とシンデレラは顔を見合わせた。彼女は即座に立ち上がり、目を鋭く細めた。

 

「一人……どこ?」

 

彼が指さした方向を見ると、確かに遠くからよろよろと歩いてくる影があった。砂埃にかすむ姿は、疲労と衰弱が見て取れる。

シンデレラの表情が一瞬で変わった。驚きと期待、そして何かを確信したような光がその瞳に宿る。

 

「エイブ……!」

 

その名前を口にした瞬間、彼女は駆け出していた。

 

シンデレラは砂埃を巻き上げながら影に向かって一直線に走り、次の瞬間にはその人物に抱きついていた。彼女の声が風に乗って聞こえてくる。

 

「エイブ!無事だったのね!」

 

抱きつかれたニケ――エイブは疲れ切った表情を浮かべながらも、驚いたようだった。

 

「……シンデレラ、生きて、いたのか…」

 

俺は少し遅れてその場に駆けつけ、二人の様子を見守った。エイブの衣服は擦り切れ、体中に小さな傷が見える。

 

「あー、エイブ、でいいんだよな?」

 

俺がそう声をかけると、エイブは視線を向け、小さく頷いた。

 

「ああ、そういうお前は……」

「俺はネフィリム。君の仲間が見つかって、本当に良かったよ。」

「ありがとう。私は……もう諦めかけていた。ラプチャーを避けながら、ただ探し続ける日々だったからな……こんな形で再会できるとは思っていなかった。」

 

シンデレラがエイブの腕をしっかりと握りながら微笑む。

 

「諦めずに探し続けたあなたは美しいわ。それに、私たちがしてきたことは決して無駄じゃなかったのよ。」

 

その言葉に、エイブの目が少し潤んだ。

俺はそのやり取りを見守りつつ、言葉を選んで口を開いた。

 

「ちょうど俺たちも、そろそろここを離れようとしていたところだ。エイブが見つかったなら、役割分担を考えるべきだと思う。」

 

エイブが少し首をかしげ、俺を見つめる。

 

「役割分担?」

「ああ。俺は避難民たちを守るつもりだ。どこか安全に定住できる土地を探して、この人たちが安心して暮らせる場所を作る。俺たちを信じて着いて来てくれたんだ。それが俺の役割だと思ってる。」

 

俺の言葉に、エイブとシンデレラは顔を見合わせた。次にシンデレラが軽く頷く。

 

「そうね。エイブとは合流できたけどヘンゼルとグレーテル、セイレーンも探しに行かないといけないもの。」

 

エイブも同意するように口を開いた。

 

「そうだな、でも土地探しには私も協力できると思う。」

 

彼女たちは互いの意志を確かめ合うように視線を交わした。

 

「それで、安全な土地の心当たりはあるのか?」

 

俺の問いに、エイブは少し考え込んでから口を開いた。

 

「海沿いは危険だ。海中に適応して地上を攻撃するラプチャーの存在も多い。だが、山間部なら比較的安全かもしれない。空を飛ぶタイプのラプチャーの脅威はあるがそれは地下にでも潜らないと回避できないからな。」

 

その提案に、俺は深く頷いた。

 

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「ここは結構良さそうな土地じゃないか?」

 

俺は山の中腹にたどり着き、目の前に広がる開けた土地を見渡した。周囲を木々が囲む静かな空間で、地面は平坦に近く、かつて人々がここで暮らしていた痕跡がかすかに残っている。

 

「ずいぶん静かね。」

 

シンデレラが隣で軽く笑みを浮かべながら言った。俺はその言葉に頷く。

 

「静かでいい。こんな場所なら避難民たちも安心して暮らせるだろう。」

 

俺は山頂の方を見上げ、ゆっくりと風を感じた。この風――肌に当たるわけでもなく、音が特別なわけでもないが、俺にはその流れがはっきりと分かる。

 

「いいな、気に入った。ここにしよう。」

 

俺は振り返り、シンデレラや避難民たちに告げた。

 

「ここを村にする。」

 

その言葉に、避難民の中から驚きの声が上がる。

 

「でも、こんな山の中で大丈夫なんですか?」

 

俺は少し微笑みながら答えた。

 

「この場所は風通しがいい。俺が鱗粉を放つには理想的だ。この風のおかげで、ラプチャーが来てもすぐに気付ける。」

 

避難民たちは顔を見合わせ、次第に安心した表情を浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

砂塵が舞う荒野で、巨大なモンスターと3人のニケたちが激しく交戦していた。

 

そのモンスターは四本足で地面を力強く掻き、鋭い爪と牙を誇る凶暴な獣の姿をしていた。古代に存在していたような恐竜を想起させる頭部を持ち、その目には凶悪な輝きが宿っている。皮膚は硬い鱗に覆われ、全身から発する咆哮は、辺り一帯の空気を震わせるほどの威圧感を放っていた。

 

「ちょっと!全然効いてないじゃない!」

 

ニケが叫び、持っていたロケットランチャーを再度構える。爆風がモンスターの鱗を傷つける、修復されているようでほとんど効果がない。

 

「いつの間に地上の生物はこんなに進化したワケ!?」

 

もう一人のニケが突進してくるモンスターの動きを見切り、ギリギリで横へ跳び退いた。モンスターの巨体が地面を抉り取り、深い溝を作り出す。その威力はまさに圧倒的だった。

 

「弾が通らない!もっと大口径の武器が必要よ!」

 

一人が背後へ飛び退きながら叫ぶ。彼女の声には焦りが滲んでいる。

 

「かぁーりょーくぅー!!」

 

もう一人のニケがショットガンで、モンスターの前脚の関節部を狙撃する。しかし、その箇所もまた鱗に阻まれ、ほとんどダメージを与えることができなかった。

 

「これじゃキリがない!」

 

モンスターは再び突進の構えを見せ、その巨体を低く沈めてエネルギーを溜め込むように見えた。

その時、上空から黒い影が舞い降りた。その動きは鋭く無駄がなく、一直線にモンスターの背中に降り立つと、そのままの勢いでその右腕を圧倒的な力で一気に振り下ろした。

バキンッ――!

骨の砕けるような音が響き渡ると同時に、モンスターの巨体は力なく崩れ落ち、動かなくなった。その一瞬の出来事に、ニケたちは呆然と立ち尽くす。

静まり返った空間の中、黒衣の人物は地面に軽やかに飛び降りた。その全身は体型を隠すほどの大きなマントで覆われ、フードが深く顔を隠している。その存在感はモンスターを圧倒した時と同じくらい強烈で、場を支配するような威圧感を放っている。

 

「無事か?」

 

その声は冷静で、どこか安心感を与える響きを持っていた。

 

"黒衣の…巡礼者 "

 

 




今話で過去編終わりました。
アンケートの協力ありがとうございました。
主人公にシャガルマガラムーブさせるならやっぱり天空山とシナト村が欲しいな、と思ったので今回少し無理があるかと思いましたけどぶち込みました。
OLD TAILSでアナキオールが街焼いてたしREDASHでもアークに避難する避難民の集団もいたし、遺失物でもラプチャー襲来後でも頑張ってた医師もいたからアーク封鎖後でも地上にはまだまだ人類が残っているはず。

モンスターに関してはどうしたらいいんでしょうかね。
クロスオーバーなので大型ラプチャーポジでいろいろ出したいという思いもあるのですが100年程度で大型モンスターが出てくる理由があんまり思いつきません。
今回はMH4のOPシーンがやりたかったのでティガレックスっぽいモンスターを出したけどどうこじつけようか…

今回のオリキャラ

黒衣の巡礼者(たち)
黒いマントに身を包む巡礼者。強大な力を秘めており、地上で出会うことがあれば探索の助けになるだろう。彼女らの周囲では量産型ニケや小型ラプチャーの身体能力が低下するが、克服することができれば能力を上昇させることができるだろう。

100年後の主人公はどのような形態がいいですか?

  • シャガルマガラ
  • 渾沌に呻くゴア・マガラ
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